見出し画像

【クレームの後に交わした握手】

こんにちは!!

NEXT PERSON CREATION
唐木です!

ブライダル業界を中心とした、
人材育成、施行サービスコンサルティングをしております。



さて、今日は、
僕が実際に体験したお客様とのエピソードを
ご紹介致します。


忘れもしない出来事で、
私のチームの『失敗』から、
とあるお客様が大激怒しました。


しかし、そのあと、、
お帰りになる時には
お客様とはガッチリ固い握手を交わして、
笑顔でご挨拶をさせていただきました。


その時のお話や、
そこから学んだ事を書きたいと思います。


宜しくお願いします(^^)




⬛️『料理の盛り込みミスから』

まだほんの1年くらい前の出来事です。

とある披露宴でのこと。


乾杯直後、
オードブル提供の時でした。

お皿に『天使のエビ』が
乗るはずだったのですが、
とあるお客様の分だけ、盛り込みミスが発生してしまいました。
※天使のエビ・・・ニューカレドニア産で、『天国に1番近い島』と呼ばれる場所で取れる品質の高いエビ。

 ※写真はイメージです


もちろん、盛り込みミスがあるにしろ、
デシャップ(料理がキッチンからあがる場所)に立っていたスタッフも、
サーブするスタッフも、
気づいて止めなくてはならなかった。


しかし、
誰も気づくことなく、お客様のもとへ。



披露宴責任者だった僕のところへ、
「お客様に1つエビが乗ってなかったみたいでして、大変お怒りになられてます。」
とサービススタッフから報告があがりました。


お客様は『新郎様の叔父様』。


僕はスタッフからの報告を受けた後、
すぐにお客様の元へ謝罪へ向かいました。


「失礼致します。この度は大変申し訳ございません。すぐにお取り替えし、新しい物をご用意させていただきます。」


お客様からの返答は何もありませんでした。



すぐに新しいお料理に取り替え、
お持ちしたのですが、
お客様は、
呆れたような顔で僕を見たあと、
そのままお料理を食べ始めました。



そのお客様の呆れた顔を見て、
お客様の「期待」や「想い」を
とても裏切ってしまったのだと
改めて痛感したのでした。




⬛️『式場としての対応』

お詫びに行った際の
お客様の状況と合わせて、
担当プランナーと支配人へ報告をあげました。


『このままお帰りいただくわけには、、』

そんな想いでいっぱいでした。


・担当のウエディングプランナー
・式場の支配人
・披露宴責任者の僕

3人は険しい表情でお客様への
『次の対応』について話し合いました。


「もちろん、これで許される訳では無いが、
この後提供するヴィアンド(お肉料理)の時、
グレードアップしよう。その時に改めてお詫びの気持ちをお伝えしよう。もう一度披露宴責任者(僕)からお詫びしてきてくれ。その後、新郎新婦様への報告もあるから担当プランナーからも行かせる。」

式場支配人からのご判断でした。


お肉料理のグレードアップは、
肉のランクの最上の物に変更し、
更にフォアグラのソテーを添える。


式場としての『誠意』としては、
こういったカタチを見せるしかないのかもしれない。


しかし、お客様のお気持ちを想像すれば、
『モノ』を渡してご納得いただけるようなことではない。


僕はとても複雑な気持ちだった。




⬛️『いざ、お客様の元へ』

支配人の指示通り、
見た目にも分かるほど豪華なヴィアンド
手に持ち、僕はお客様のところへ向かいます。


先程、謝罪した時に見せた、
あの呆れた顔が脳裏によぎります。

(また、無視されてしまうのではないか。)
正直、そんな怖さもありました。



※僕は今回のお詫び、
クレーム対応はまだまだだと思っております。
間違った対応ももしかしたらあるかもしれません。ご了承ください。


僕は、お客様のところへ到着。

「先程は大変申し訳ございませんでした。
こちらは、ほんの少しのお詫びの気持ちですが、お肉を最上の物に変え、フォアグラを添えて、ご用意させていただきました。」

お客様がまた、あの呆れた目で僕を見る。

(やっぱり、余計に怒らせてしまった)


怯みそうになる自分を押し殺して、
僕は言葉を続けました。
『モノを渡して許してもらおうなど微塵も思っていないこと』
を分かって頂きたかったからです。


「お客様、この度は本当に申し訳ございませんでした。このようなモノで、許されることではございません。私たちは、新郎新婦様が夢にまで見たこの1日に、どれだけの『時間』や『想い』が込められているかを、1番に理解し創り上げなくてはなりません。ただ、今回の一件。
私たちの行動はあまりにも軽率で、その『想い』に寄り添えていない行動だと痛感しております。」


そこまで話した時、
お客様の表情は大きく変わり、
口がようやく開きました。


「そうやねん。俺もな、昨日大阪から乗り込んでホテル泊まってここに来とんねや。
新郎は自分の息子同然に可愛がってきた甥っ子やしな。それに、今回はワシやからよかった。新郎が大切にしてきた友人や上司にこの料理が出てたら新郎は大恥かくやろ?そんなんあってはならんからな。」

お客様は先程とは打って変わって穏やかに、『想いの丈』を述べてくださったのです。


そこに私は続けます。


「おっしゃる通りでございます。結婚式は新郎新婦様だけのものではございません。
そのお二人を支えて来られた、ご友人様、会社関係者様、そして何より成長を近くで見守って来られたご親族様。たくさんの方の『想い』の集まる場所です。私達はそれらを背負って立たなくてはならないと思っております。新郎新婦様の大切な1日と、お客様の想いを守れず、本当に申し訳ございません。」


そこにまたお客様は話してくれます。



「そこまで分かってくれてるならいい。その気持ちがなんか踏み躙られた気がして嫌だっただけやから。丁寧にありがとな。お肉とフォアグラ冷めてしまうから、遠慮なくいただくわ!!」



お客様の想いの丈を聞き、
その想いを守れなかった不甲斐なさと悔しさが止まりませんでした。


そして、大切な想いを踏み躙られたのに、最後まで僕の話を真剣に聞き、理解しようとしてくださったお客様の
『お心遣い』に込み上げてくるものも
ありましたが、
その涙は違うとグッと堪えました。




⬛️『最後は固い握手で』

その後の披露宴は、順調に進み、
そのまま御披楽喜を迎えました。

僕はどうしても、
そのお客様に最後にお礼が伝えたくて、
エレベーター前でお帰りになるゲスト様を
お見送りしておりました。


遠くにそのお客様が見えた時、
お客様の方から
「おー!!」と手を振り、
僕の方へ歩み寄ってきてくれました。

「お客様、今日は本当に申し訳ございませんでした。そして、貴重なご意見を頂戴し、
大切なことに改めて気づかせていただきました。本当にありがとうございました。
またお会いできる日があるかは分かりませんが、次回、ご来店いただきました際には、
必ずお客様に最高のものをお届けできるよう、成長しておきます。」



「もう気にせんでええよ。でも、また来る時があったら楽しみにしてるで!ごめん、名前なんやったっけ?」



「ありがとうございます。唐木と申します。」


「唐木くんね、ええ男やね!頑張れよ!」



そういってお客様は、
僕に右手を突き出しました。

そこで、僕は両手で返す。
お客様と目を見合わせて、
固い握手を交わしたのでした。


「このまま大阪へ戻られるのでしょうか?」


「そや!明日仕事やからな!」


「そうですか、どうかくれぐれもお気をつけてお帰りくださいませ。本当に、ありがとうございました!!」


僕はお客様が見えなくなるまで、
ずっと頭を上げなかった。
込み上げてくるものをグッと堪えながら、
心で何度も何度も
『ありがとうございました』と唱えました。



こうして、お客様とはお別れしました。



先ほども書いたように、
僕のこの一連の対応は、
サービスや結婚式のプロの方からすると、
言葉の使い方、話し方、対応内容、
どれをとっても完璧なものとは
呼べないかもしれません。


ただ、僕はこの日のことを、
一生忘れることはないと思います。

お客様にたくさんのことを
教えて頂いたから。
そして、いつか本当にお客様の前で
サービスをする機会があると信じて、
自分を磨き続けたいと思っています。



どんな業界でもそうだと思いますが、
お客様の怒りの矛先は
そのほとんどが
【温度差】なのだと思うのです。


お客様は来店することや、
その商品やサービスを購入するにあたり、
そこには、それぞれの
『想い』や『背景』があります。

『価格』『希少価値』『期待』
様々なものに比例しながら、
お客様のその温度は上昇しています。



そして、その温度に見合うものが提供できなければ、
きっとお客様は残念に思うでしょうし、
時に怒りを持たれるのでしょう。



もちろん、クレームや、
お客様に不快な思いを与えないことが
1番なのですが。


もしそうなった時、どうすればいいのか?



いろんなビジネス書に書かれている
「クレーム対応マニュアル」
も、もちろん大切です。



しかし、
1番はその【温度差】を埋めることだと
僕は思っております。


それが一番難しいんですけど。。



だからこそ、サービスに携わる人間は、
常日頃から『相手を想うこと』から初め、
目には見えない『想い』や
そこに至るまでの『背景』を
想像し続けることが大切だと思うんです。


これが乏しい人間は、
きっとサービス提供者として
価値を届けることは難しいとすら思っています。

結婚式はやっぱり特別な日。
でも『その本質は何も特別なんかではない。』

僕は最近そう思います。


親から子への愛。
友人とのたくさんの思い出。
生きていく上で避けては通れない、
たくさんの壁や試練。



そんな日常に、
当たり前のように転がっている、
『人の想い』の延長線上に
結婚式も存在している。
これを忘れてはならないと思うのです。


まだまだ分からない。
『サービス』『結婚式』『人』。


もっとたくさんの経験をして、
学んで、考えて、
研究し続けていきたいと思います!!!



ありがとうございました!!




NEXT PERSON CREATION
代表 唐木裕介




office.yk010711@gmail.com


よろしければサポートをお願いいたします。 貴重なサポートは必ず、誰かの役に立てるように活動資金として使わせていただきます!!!