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【悪夢のキャプテンデビュー戦】

こんにちは!
NEXT PERSON CREATION
代表の唐木です。

この記事は、私の中でも特別なお話です。
ご一読頂ければ幸いです。


今でも思い出す、9年前の
悪夢のキャプテンデビュー戦
その日起きた、大失敗の数々。
その披露宴の後起きた奇跡のようなお話。
そして、新郎新婦様が私に教えてくれた事。


こちらのお話をさせていただきます。



⬛️『いざ!デビューへ!』

あれは、忘れもしません。
今から9年前。
2011年10月1日土曜日。



ここにはもちろん書きませんが、
新郎新婦様のお名前も、お顔も、
全て鮮明に覚えています。


私は当時、
香川県で1,2位を争う
オープンして3年目の
結婚式場で働いていました。


入社して、初めて目にした披露宴で
【キャプテン】
という一際輝くものに心奪われ、
それ以来ずっと、
キャプテンデビューする日を夢見て
過ごしていました。 


※【キャプテン】※
別名:エスコーター兼披露宴会場責任者。
披露宴で新郎新婦様のエスコートや、
進行タイムキーパーなどを兼任する
披露宴スタッフの花形。


入社して2年目、
そのチャンスは突然訪れます。

2011年(2年目)夏。
私の先輩にあたる男性が、退職となりました。

その方の退職により、
キャプテンの枠が一つだけ空きます。

そこに、上司の方が
私を推薦してくださり、
キャプテンデビュー決定となりました。


待ちに待ったキャプテン。
ずっと憧れ続けたデビューに、
胸を躍らせながら、
上司からの研修を必死にこなし、
その日を待ちました。


本デビュー(1人立ち)の前に、
上司がバックアップについての
仮デビューが待ち構えます。


その仮デビューのテストに合格して、
晴れて本デビューとなります。


仮デビューを2〜3戦終えて、、
上司は『GO』を出しました。


入社から1年半。
待ち望んだ【キャプテンデビュー】
をようやく掴んだのです。



⬛️『デビュー戦で起きた悪夢』

2011年10月1日土曜日
秋晴れが気持ちいいと感じる朝。


いよいよ目の前に迫った
キャプテンデビューに、
私はかなり緊張をしていましたが、
どこかワクワクして、胸が踊っていました。


披露宴スタート前。ミーティングの時間。
サービススタッフ、司会、音響スタッフの
円の中心に私はいました。


『最高の披露宴にしましょう!!!』


そう(調子よく)意気込んで、
ミーティングを終えました。


そして、披露宴入場の時。
新郎新婦様にご挨拶を済ませ、
入場説明を終えた私は、
インカム(無線機)で
『スタンバイOKです!入場します!』
と伝えました。


※オープニングムービーを上映後、
披露宴会場中央のドアが空く。
しかしそこには新郎新婦様はいない。
ダミーオープンです。
と思ったらガーデン側のカーテンが開き、
シャボン玉の中、お2人が登場というシーン。


オープニングムービーが終了し、
お2人指定のBGMが鳴り響く。


ガーデンでお2人は、
「驚いてくれるかなぁー?」
と、ワクワクしながらカーテンが空くのを
待っています。


僕もそんな新郎新婦様を見て
緊張はしているけれど、
今から開くカーテンを眺めながら
気持ちが高揚していました。


しかし。
ここで、普通じゃない声。
スタッフのインカムが入ってきます。


『会場中央ドアが開きません!!!!!』

そこで全て気づきました。



会場中央のドアは、
キャプテンである私が指定のタイミングで、
ノック合図】を出し、
その合図で、ドアスタッフが
オープンさせるようになっていました。



会場の中にいないといけなかった私。


私はあろう事か、
新郎新婦様がいるガーデンにいたのです。



全て気づいた時には、すでに遅かった。



新郎新婦様の前で
バタバタと会場の中へと走って入っていきます。


会場の中は、「ん?なにこれ?」
という異様な空気になっていました。


急いで走って、ドアをノック。
オープンさせましたが、
お2人がイメージしたような
ダミーオープンや、サプライズ感は
全くありませんでした。


お2人が入場し、
エスコートをしていますが、
頭は真っ白になり、記憶がありません。



笑顔はおそらく全く作れず、
とにかく恥ずかしくて情けなくて、
その空間から消えてしまいたいと
思うほどでした。


そのあとすぐの、御来賓様の祝辞。
挨拶中にふと顔を上げて、会場を見渡すと、
支配人、担当プランナーなど
たくさんのスタッフがインカムを聞いて、
披露宴会場に駆けつけていました。



そこには、【1人立ちOK】を出してくれた
私の上司の姿もありました。


屈辱恥ずかしさ。
どうしてこんな事もできないのか、と
自分に対する憎しみの気持ち。



そして、何より
新郎新婦様の想いを踏みにじった事
申し訳なくて、
私は今にも泣き出しそうでした。



誰か変わってくれ
僕には無理だ
何度も披露宴中、そう思いました。



この披露宴はその後も、
スタッフとして最悪の結果でした。

●アレルギー対応お料理の出し間違い。
●サービススタッフの粗相。など

そのまま披露宴は結びとなりました。



今思うと、なんでもない場面。

その時の私は
メンタルコントロールも未熟で、
頭が真っ白になり、浮き足立ち
取り返しのつかない大きなミスをしました。


こうして、
私の【キャプテンデビュー戦】は
最悪の形で終えたのでした。


終えた後、全身の力が抜け落ち、
涙が止まりませんでした。
担当プランナーや、育ててくれた上司は
「お疲れ様」とだけ声をかけ、
一切、私を責めたりしませんでした。


1番泣きたいのは、
上司やプランナー。
そして誰よりも、新郎新婦様なのに。


業界歴11年で、悔し涙を流したのは
この日だけです。  



当時の私は、今よりもずっと
ぬるく、甘えた人間でした。



この日を悔み、二度とこうならない為に
前向きに努力する気持ちよりも。


「私のような人間は、こんな仕事に
携わるべきではない。辞めよう」


そう思っていました。



⬛️『新郎新婦様が呼んでいます』

【悪魔のデビュー戦】から3日後のこと。


新郎新婦様は式場へ来館。
お支払いに来ておりました。

そこで内線電話が鳴ります。


「10月1日土曜日の新郎新婦様が、
唐木さんをお呼びです。」


きっとクレームを伝えに来られたのだ
思いました。


当然です。
何を言われても返す言葉もありません。



全てを受け止める覚悟で、
式場内の打ち合わせブースへと向かいました。


お2人の目をしっかりと見ることが
できないまま、お2人の前に立ち、
「先日はありがとうございました。おめでとうございます。」と伝えました。


顔を上げると、お2人はなぜか、
にこやかな表情でこちらを見ています。

そして、袋の中から

・プリザーブドフラワー
・御礼金
・メッセージカード

これらを取り出し、
私に差し出してきたのです。



私の頭の中は完全にパニックでした。


何が起きているのか、
全く理解が追いついておりませんでした。


そんな私に新婦様は
驚きの言葉をかけてくださいました。

「唐木さん、先日はお世話になり、ありがとうございました。大変失礼かもしれませんが、まだお若く、経験が浅かったんですかね?唐木さんや、プランナーさんは何度も謝ってくれましたが、私達、全然嫌な気持ちになってませんよ。主人とも帰ってから話してたんです。ホント一生懸命、私達の結婚式の事考えて、必死にやってくれたんだろうねって。だから、気にしないでくださいね。」


私は、あろう事か
その場でボロボロと泣きました。


大切な結婚式を、台無しにされ、
それでもまだこんな私を気遣ってくれる。


また、とてつもない悔しさと、
歯痒さが押し寄せました。


しかし、それ以上に、
その味わったことのない
『温かさ』に触れ、
涙を止めることができませんでした。


新郎新婦様はそんな私を見て、
クスッと笑っておられました。


そして、私は何度も何度も、
「ありがとうございます。」と
お2人に伝え続けました。


今もこの記事を作成しながら、
グッと感情が込み上げてきます。



その後、1人になって
お2人がくれたメッセージカードを開くと、
そこには

「唐木さんへ。これから、もっともっと素敵なスタッフさんになってください。また来ます。唐木さんにサービスしてもらえるのを楽しみにしています。」

まるでドラマや、映画のワンシーンに
いるかのような出来事でした。




私は、この日を振り返ると
とてつもなく大きな、
ターニングポイントになったと思っています。


このお二人じゃなかったら、、、

私は既に、この業界にはいないでしょう。


「この仕事を辞めよう」と
逃げることを考えていた自分を憎み、
必ず成長して、
未来の新郎新婦様を
結婚式を大切にしようと誓いました。



あの日、あの時間はもう2度と取り返せない。


だったら、
新郎新婦様がくれた
お気持ち』や『温かさ』を
必ずカタチにできるサービスマンになろうと
誓ったのです。



⬛️『震える手』

それからというもの、
私はこの仕事への探究心姿勢
ゴロッと変わりました。


来る日も、来る日も四六時中、
サービス、キャプテンの事ばかり考え、
『どうすればもっともっと上にいけるか』
を考え続けました。


この私に、チャンスを与えてくれた
新郎新婦様がそれから数カ月後の
美食会』にご来館されました。


※美食会:式場の年2回ある、イベント。
厳選食材を使った豪華フルコースと、
厳選したワインなどを楽しむイベント。



私はそのお二人の
担当スタッフではなかったのですが、
全てのお料理提供が完了した後、
私のところへ、
すぐお2人が駆けつけでくださいました。


「唐木さん、お久しぶりです!遠目に見てましたよ!なんかたくましくなられましたね!」


私としては
「まだまだです。」と思いながらも、
お二人に褒めて頂けた事は
少し照れたし、素直にとても嬉しかった。




それから、、、

9年という時が過ぎ、
キャプテンとしての施行件数は
およそ、1,000本となりました。


しかし、入場シーンの
ドアをノックする場面になると
あの日の事を毎度欠かさず思い出します。



おそらく、誰にも気づかれていませんが、、


ドアをノックする直前、
私の手は、怖くて、
今でも『小さく震えています』。



その『小さな手の震え』を
見る度に、私は強くなれる気がします。

『結婚式』や『サービス』

それは、【青天井】です。


ゴールは無いし、
100点をつける事は無い。


そこにたどり着いたと感じた瞬間、
この仕事は終わりに向かうと思っています。



私は、その小さく震える手を見ながら
『もっと上へ。もっともっと上へ。』


そう思いながら今も
最高のパーティー、結婚式を創るために、
学び、考え、悩み、進み続けています。



そして、、
いつかまた、あの優しい大切なお2人の前で、
キャプテンができる日を夢見ています。



ありがとうございました!!


NEXT PERSON CREATION


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