【記事まとめ】新生銀行のデータビジネス実践

出典

<https://special.nikkeibp.co.jp/atcl/ONB/20/sp/wingarc_0204/index.html>

データを使える現場にするための課題はスキルである

データをビジネス上の価値につなげるために必要な視点では、実際に顧客との接点を務め、豊富な経験を持つ現場のほうが圧倒的に有利だ。現場に足りないのは、データを抽出したり、加工したりするスキルや環境だけである。

データ活用の理想の1つが現場主導のアプローチである

データの収集や分析に時間がかかり、キャンペーン施策などのPDCAサイクルにタイムラグが発生しているといった課題を抱えていた同行は、営業現場主導のデータ活用によってそれを克服しようと考えた。試行錯誤を繰り返し、現在、同行はSalesforceをベースに営業担当者がリアルタイムでデータを確認してディスカッションを行い、施策の改善などに役立てられる環境を実現している。

どのようにして、この理想的なデータ活用環境を実現したのか

最初に取り組みが本格化したのは約10年前。ビジネスアナリティクス(BA)、およびビジネスインテリジェンス(BI)のためのツールを導入して、大量の顧客データの分析に取り組んだ。
しかし、この取り組みはすぐに課題に直面した。
データの加工や分析のための手作業が多く、キャンペーン施策を実施しながら並行してデータを確認し、改善を繰り返すというようなリアルタイム性の高いPDCAを実現できなかったのである。

2016年には、CRM基盤のSalesforceへの刷新を機に、再び環境整備に挑戦した。Salesforceファミリーとして提供されるBIツールを導入したのである。データの一元化と可視化により、施策のPDCAサイクルを高速化できると期待したものの、今度は別の課題に直面した。現場が使い慣れたExcelのような行数列の多い集計表など、表現力や柔軟性の面で思い描いたダッシュボード作成ができず、現場に定着しなかったのである。

ウイングアーク1stが提供するBIダッシュボード「MotionBoard」

各種データベースやオンラインストレージ、Salesforceやサイボウズのkintone、名刺管理のSansanなどのクラウドサービス、そして、社内システムに分散するデータをまとめて可視化して、次のアクションにつなげるBIダッシュボードソリューションである。

実際、新生銀行も「MotionBoardであれば、グラフだけでなく見慣れた集計表で表現することができるため、現場にもなじみやすいだろう」との判断が採用を後押しした(画面1)。また、Salesforce との親和性の高さも評価したという。例えば、Salesforce内のタブを切り替えるだけでMotionBoard のダッシュボードにアクセスできる点などだ。

導入効果

導入から約1年で1日当たりの閲覧ユーザー数は150 人程度まで増加。計数管理部署でのデータ集計や加工にかかる作業効率が上がったことから、営業現場でリアルタイムに現状把握をしながら、状況に応じた対策を講じられるようになってきたという。何より、データを共通のコミュニケーションツールとしてディスカッションできる土壌が築けたことで、営業現場の意識にも変化が生じている。

次の課題

現在は、さらに現場主導のデータ活用を加速させ、特定の部門や担当者が介入することなく、現場が自らデータ活用のPDCA を回せるようになることを同行は目指している。

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