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木人で身体能力を研ぎ澄ます

「木人」ってご存知でしょうか。元々は中国拳法を練習するのに使用する道具です。

 私みたいな中年世代になると多分、ジャッキーチェンの木人拳を思い出してしまいますが

実際は「木人椿」(広東語はモックヤンジョン簡体字なら木片に庄、日本語では「もくじんとう」と読むらしいですね)という名称で、・・動きません。

ちなみにこれは私の自宅にある木人椿↓↓

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 昨日から書き始めた私の「武」の趣味についての記事から新しくお知り合いになった方と、武道の話で大盛り上がり。

 話は木人にまで及びました。日本では木人がとても高いとお聞きしましたので、この記事はそれに対するお返事です(木人についても勿論いつかは書こうと思っていたので渡りに船でした。)

私が自分の兄弟弟子らと「偉大なる淘寶タオバオ」で、木人を購入した時(2014年)は1200元(約19000円くらい)でした。

それでもその頃は、香港で木人を買うと3~4000$(約4万円~55000円くらい)が市場価格でしたので、その半額以下。「さすが陶寶はパねえな」と当時も皆興奮気味で買ったものです(購入当時も市場価格の半値以下でしたが、品質は全く問題ありませんでした!)

 それが最近はこの木人も、更なる価格破壊を起こしていて、「偉大なる淘寶」では、日本円にして5000円どころか1000円代で買えてしまうもの続出・・。

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しかも木じゃないものまで出て来てますので、初心者や女性が木人に慣れるには良いかもしれません。(個人的には木人である程度の痛みや衝撃を受ける方が上達は早いと考えていますが。)

まあ、木人も消耗品で、使っている間に木が裂けて来たり足が折れたりしますから、ここまで安くなってくれるとありがたいです。

日本だと運賃の方が高くつくくらいでしょうね。

本来の木人は動きません。ジャッキーの映画のように動かせてしまうくらいなら、対人練習をしたらいいわけです。

世間では、木人に対して大きな誤解があるようです。

木人は決して「素手で木をたたく事によって筋肉を鍛える」とか「表皮を硬くする」とか、そういう目的であるわけではありません。

その要素がゼロかどうかと言われたらゼロではないでしょうし、武道の種類や流派によっては、まさにその為に木人を使用しているという事もあるかもしれません。

でも中国拳法では、力を込めてあの手や足の部分を打ったり蹴ったりというよりは、どういう歩の進め方で、効率的かつスピーディーにその手足を回避するかという部分に重きが置かれていると思います。

少なくとも私が師匠や兄弟子から教えてもらった木人はそういう使い方ではありません。

木人は動かないからこそ、自分が動いて調整するしかありません。動きませんが、手と足を模倣して突出させている箇所がそこに固定されていて動きを阻害しています。それがいいんです。

この木人と練習をすることで、自分のリーチや歩幅を明確に体に自覚させ自分のアタックの角度や力用などを模索する練習ができます。反覆練習の中で自分の型が定まっていきます。

 自分の攻撃がどこまで届いて、どこから届かないか。届く為には自分はどれだけ踏み込めばいいか、果ては自分がどれだけの踏み込みをしたら、上半身は脱力した状態での攻撃が有効になるか等、本当に深い練習ができる道具だと思います。

つまり静止状態からの攻撃幅の把握です。静止状態での自身の攻撃幅が、身に沁み込むほど練習できたら、動的状態での間合いの精度もより増すと思いませんか。

あとそれ以外では、普通に歩いていても、重力や慣性の法則とか色々な外的作用が働いて、ピタッと一瞬で動きを止めたりできない事ってありませんか。そういう事が対人練習でしょっちゅう起こると不可抗力で怪我をしてしまいます(実際生徒同士の練習だと、そういう怪我が多いと思いますが)

全て自分が能動で動く練習から、その動作にどれだけの力を籠めるか力を抜くか、自分で自分の身体をコントロールする身体能力を高めてくれる道具だと思います。

師匠や兄弟子からは「木人を人と思え」と言われております。
自分の妄想で木人を生身の人間とイメージして、攻撃を繰り出されているという緊迫感を持ちつつ型を運用する事で、更に自分の身体表現を高める事ができるらしいのですが、私は残念ながらまっだまだそういう境地には至っておりません。

いつか、そういうイメージの敵と組手できるようになりたいです。


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