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終末のウィークエンド

父と二人で熊本に旅行に行った。

"息子と父、始めての二人旅行"といえば聞こえは良いかもしれないが、
特に会話が盛り上がるわけでもなく、爽やかな三月の空気とは裏腹に
ボソボソと会話を繰り広げるいつも通りの二人がそこにいた。
それはそれで僕ららしくて、今思い出しても笑ってしまう。

「良い天気でよかったなぁ〜」
いつも"自分勝手な感想だなぁ"と思いながら呟く。
きっと干魃に苦しんでいる国にの人は燦々と照りつける太陽のことを恨めしく思っているに違いないし、第一"雨が悪い天気”というのも誰目線で決めているのかもわからない。
でも、そんなことも忘れてしまうぐらい良い天気だった。

最後、別れる時に「予定、わざわざ空けてくれてありがとうございます。」
と父が照れくさそうに言った。
思い出から味がしなくなっても、できればずっとそばに置いて生きていきたいなと思った。

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