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「執事が見たイギリス王室」

原題
Secrets of the Royal Servants

制作
Elephant House Studios (イギリス 2018年)

放送
NHK BS世界のドキュメンタリー

・イギリス王室には執事、料理人、乳母など千人以上が働いている
・おおむね低賃金の長時間労働だが、今もって人気の職業
・王や王子に近づける、意外な職種も…


この番組の主役は王室で働く使用人たち。

★使用人の職種~過去には「王様のおしりふき」の仕事も。以下、追加調査を含め職種まとめ。

■執事(上級使用人・バトラー)

王族の最も近くにいる。原義は酒瓶を扱う者の意味。高価なワインの管理から始まったが、今では主人の代わりに男性使用人全体を統括し、その雇用と解雇に関する責任と権限を持つ。主人の身の回りの世話をする。

■フットマン(男性家事使用人・従僕)

食事の用意、服、その他
馬車に並走する役割であることが原義。

■メイド

清掃、洗濯、炊事などの家庭内労働を行う女性の使用人。
maiden(未婚女性)が原義で、過去には結婚前の若い女性が奉公に出された。

■コック

食品の調理を担当する家事使用人。

■過去にあった特殊な職種

・ウイッピングボーイ(鞭を打たれる少年)

王子が家庭教師から授業を受ける際に、王子が教師の言う事を聞かないと、代わりに鞭を打たれる。
王子が仲の良い少年を鞭で打てば、王子か心を痛めて言う事をきくだろうと考えたのだが、中には、鞭で打たれるところを見たくて、わざと反抗した王子もいたそう。

・Groom of The Stool(トイレの花ムコさん?)

王の排泄および清め(おしりふき)
当時は憧れの仕事。賄賂を使ってでも手に入れたかった仕事。国王と2人だけで話をできる。権力や地位も手中に。妻の王妃よりも王に近づける。

★彼、彼女らがその職を目指した理由に関するインタビュー

子供のころから王室の役に立ちたいと思っていた。
子供のころ、女王の誕生日パレードを見に行った。ロイヤルファミリーのテレビや本を読み漁った。王室の求人広告に申し込んだ。

以下、見終わった後調べた内容も含めメモ。

・エリザベス2世は1952年から長きにわたり女王を務めている
・王位継承権の1位はチャールズ王子
・チャールズ王子には長男ウイリアムと次男ヘンリーがいる

・長男ウィリアム(王位継承権2位)には幼い3人の子がいて、年長者から王位継承権が3位、4位、5位

現在の王位継承法は、王の長男とその子が優先される。最近次男ヘンリーが王室を退くとの宣言をしたが、お兄さんに子供ができるたびに王位継承権が下がって現在ヘンリーは6位。何をかいわんや…。

イギリス王室の開祖は1066年イングランド王に戴冠したウィリアム1世とされる。少なくともそこからは、現在のようないわゆる使用人たちと王室との関係があった。

Wikiによると家事使用人の制度は、人類の歴史上世界中のいたるところであり、古代では家事労働は奴隷の仕事、のちに中世のイングランドでは、貴族がより高位の貴族の家に奉公に出るようになったそうだ。これは、雇う側も、家の中に入れる使用人に信頼できる人を望むようになった結果。

前述の使用人たちのインタビューから、王室の使用人は憧れの誇り高き職業であることが分かり、今回はそれを一番新鮮に感じた。

アメリカが英語を使うように、イギリスは西洋の文化の発展に中心的な役割を果たしてきた国。つまり西洋文化の「使用人」は、日本語でいうところのそれのイメージとは違うのかも知れない。

これは、少子化に悩む現代にとって、大きなことではないか。今の日本は、まず家事労働は家族(血縁)で担うものという現代の常識に加え、核家族化が進んだことで、上記した奉公人がいる生活に比べると2段階ほど家事、子育てがしんどいのではないか。使用人という立場が、誇り高き職業として見直されることが必要なのではないか・・。そんなことを思ったのだった。

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