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劇団、公演のウェブサイトはどうすればもっとよくなるか(1)

ここ数日、美術館サイトはどうすればよくなるかという話で盛り上がっています。起点はウェブ版「美術手帖」編集長の橋爪さんがしたこのツイートから。

このツイートに対してさまざまなレスが付いて意見が集まっていましたが、THE GUILDの深津さんが叩きを作ったことでより議論が白熱した感じになっています。

深津さんが作ったアイデアは観客目線で美術館サイトにアクセスしたときに必要な情報をまとめたものだと思いますが、これにはこれで批判があったりしました。この話題から出た意見は下記のようなものだと思います。
観客として必要なサイトの場合には
・ 美術館に行って、必要十分な体験をするために知っておくべき情報が一覧で把握できる
・スマホでアクセスすることがほとんどなのでレスポンシブで実装されている(といった機能面)
といったものが必要というアイデアでした。
ただ、これとは話が大きく食い違ったのが、特別展示やコレクションをデジタルアーカイブとして残すことを考えた場合で、こんなペラペラな情報ではダメだろうがと、いろいろと批判が出ています。この辺は「WWWとは」とか、「ハイパーメディアとは」みたいな話から詳しい方がいるので、僕レベルではこの視点からちょっと書きにくいのですが…。

考えてみたいこと

こうした議論を劇団や公演のウェブサイトに置き換えて、どうすればよくなるかや、最低限どういった情報はあったほうがいいのかという話に置き換えても面白いのでは?と思ったのがスタートです。
ただ既に書いた通り、僕はアーカイブ周りの議論についてはほとんどわかっていないので、「観客としてみたとき」の話で進もうと思います。演劇の作品も舞台芸術なので、アーカイブが残るべきというのは基本的には賛成です。ただ、美術館のような資本も人員も(理想とは違っていたとしても)ある程度ある組織体と、多くの劇団の多くの公演とでは状況が大きく異なります。そのため、まずはこれが最低限載っているべきだというラインの話があり、その上でそのサイトへのリンクが残っているから批評が成り立つとかそういった話に進んでいければと思っているためです。
また、演劇の場合には作品を製作する主体がどこにあるのか(例えば、劇団なのか公共劇場なのか、民間のアートギャラリーなのかなど)という問題もあるので、一旦は劇団の主催する公演ということに限定したいと思います。

必要なデータの統一化について

エクスキューズが長くなりましたが、こうした内容を書かないとなとツイートしたらこんな指摘をもらいました。

これに関連することとして、公演の一覧化みたいなことは考えていなくはないのですが、そもそもそうした一覧を作る上で統一すべき必要な情報とはなんなのかという指摘です。いきなりアーカイブ絡みなのですが、これについては既にある程度まとまったものがあって、劇場公演についてはschema.orgというある情報を構造的に考えるフォーマットがあるのですが、その中にTheaterEventという形で定義があります。

詳細はページを見てもらったほうが正確なのですが、htmlとか書いたことないという場合には事例を見てもわからないと思うので、個人的な判断で演劇に関係がありそうな項目を列挙しますと…
・タイトル
・俳優
・監督(小劇場界隈だと演出家ですかね…)
・ディレクター
・入場開始時間
・上演時間
・イベント終了日
・イベントのスケジュール
・ファウンダー(どこそこの助成とかかな)
・場所、会場
・参加可能な人数
・イベント主催者
・サブイベント(アフタートークとかはこれに該当するかも)

これらに加えて戯曲についての情報もあるので、
・戯曲のタイトル(とその戯曲に関するURL)
・戯曲の作者(とその作者に関するURL)
なども記載することができます。

また、ロングランで上演されている場合を想定してか、レーティングやレビューなんかも項目としては存在します。
戯曲や作者に関するURLというのがわかりにくいとは思いますが、例えば、チェーホフの「三人姉妹」を上演する場合には、チェーホフに関する記述はwikipediaにありますし、三人姉妹に関する記述もwikipediaがあるのでそれらをリンクとして加えるイメージです。もちろん新作の場合には該当するページはないので、必須ではありません。
照明とか音響とか舞台美術の人とかどこに書くのとかはありますが、今挙げた情報は「TheaterEvent」として定義されている項目なので、ウェブサイトがあった場合には載っている可能性が高いものだと考えられています。

僕が開発しているPASSKETではこの一部は登録可能ですが、俳優や演出家のようなデータは管理しておらず、全てがデータで管理できている訳ではないというのが実情です。また、一観客視点では、上演時間なども事前に書いていて欲しいな…と思いますが、当日知ることが多かったりします。

これをちゃんと書くと何がいいことがあるのというと、検索結果の表示がちゃんとしたりします。例えば、PASSKETで取り扱っている y/n「カミングアウトレッスン」という公演がありますが、TPAMのサイトはこの構造化が書かれていないので公演の説明が書かれているだけですが、PASSKETの予約ページではイベント日時や会場、その場所が検索結果に表示されています。

schemaの説明

作品名で検索してもらう場合に、検索結果画面である程度情報がわかったほうが良いので積極的にやらない理由があまりなかったりします。

その他の実装的な話

もっと総論的な話を書こうと思ったのですが、なんだか各論も各論の実装っぽい話になってしまいました。。

おまけ情報的に最後にもう一つだけ書くと、twitter等でURL等を貼った差異にリッチな表示ができる埋め込みの情報というのがあります。例えば下記のような感じです。

twitterで貼るとこんな感じで表示されます。

twitterカード

どうやったらこういった表示になるのかといった詳細は下記の記事を見てください。Goolgeやtwitterといったサービスがリンク先に何が書かれているかというのをリッチに表現する方向に進んでいるのであったほうが目立ちますし、どんなサイトに飛ばされるかわからないリンクよりも親切です。

次は

もう少し総論というか、マーケティングや観客への鑑賞体験としてどのような情報が必要なのかということについて考えてみたいと思います。

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