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授業資料:Webとマーケティング

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2020年度前期の授業資料です。 授業の進捗に合わせて公開して行きます。
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記事一覧

Webとマーケティング 授業資料(16)

改めて人の繋がりここまで、少し遠回りしましたが、ソーシャルメディア上に点在している人々の対話の断片を、拾い集め、形態素解析をして頻度をカウントし、さらに共起などを元に、会話の連鎖を抽出して、サイコグラフィック変数を明らかにする試みをしてみました。 実際には、ツールを使ってもっと大量のデータを扱いますが、ごく僅かのTweetでも、デモグラフィック変数を元にユーザを選別して行くと、それなりの結果を得ることが出来ます。 いかに人々が、SNSでは無防備な発言をしているかということでも

Webとマーケティング 授業資料(15)

Tweetから抜き出した会話の断片 しばらく空いてしまいました。継続していた課題に関して、学生さんのワークをもとに考察して行きましょう。 課題は女性の大学生のペルソナを設定して、さらにその層、その人に向けた商品やサービスを考えるという、非常に抽象的で、取り留めも無いものです。 完成度を高めるのではなく、手法としてのソーシャルリサーチをエスノグラフィック的に行い、それを元に設計問題を考えて行くという、プロセスの体験を目的としたものです。 尚、あえてもう「女子大生」という言葉は

Webとマーケティング 授業資料(14)

感染症と情報若干遠回りをしましたが、改めて、人の繋がりについて考えてみます。 「つながり-社会的ネットワークの驚くべき力-」,ニコラス・クリスタキス,講談社2010から引用した、グラフについて考えてみます。 この繋がりは、人間の関係なのですが、どういう繋がりかわかりますか? ネットワークの特徴を指摘してみると、まずネットワークの密度が低いのがわかります。各ノードの次数が低いのに合わせて、3点間の繋がりであるクラスターが全く存在していません。そして、ノードがあるのに繋がりが

Webとマーケティング 授業資料(13)

企業は消費者を知りたい先日、自粛生活に少々疲れてしまって、ジャンクなものが食べたくなり、コンビニで、レトルト食品とかカップモノとかをいくつか買ってしまいました。 こう言うと一様に驚かれるのですが、食に余り関心が無く、死なないまじないが食事だと思っていますので、率先してこれが食べたいなどと思うことが余り無いのですが、外出自体が珍しいことになってしまっているために、ついモノ珍しいものを購入してしまったわけです。 その中に、袋めんの辛ラーメンがありました。 (株)農心ジャパンの人気

Webとマーケティング 授業資料(12)

改めてペルソナ前回、ソーシャルメディアから特定の人を選んで、その人の繋がりを抜き出しました。その人をペルソナと考えるわけではなく、ペルソナを作るためのリサーチをするための起点と考えるわけです。 そこから、その人を含んだデモグラフィック属性を持った人々の繋がりを追いかけて、そのクラスター(広義です)の情報を集めていくわけです。 単純にその人のソーシャルメディア上の情報を収集、分析しても、例えば一人の女子大生のストーカになってしまうのは、以前述べた通りです。 そこから抽象化を

ソーシャルリサーチ(Webとマーケティング 授業資料⑪)

ソーシャルリサーチをしてみる ソーシャルグラフの特性について考える前に、ここまでの知識で、どこまでリサーチが出来るか、試みてみます。 まず確認です。Facebook、Instagram、Twitterの、代表的なソーシャルメディア上の情報発信は、どういうポリシーで使い分けていますか? 要するに、あなたのペルソナは、各ソーシャルメディアによってどう異なっていますか? これは授業中に受講生の皆さんの匿名調査をしようと考えています。 以下のページに、企業による調査結果が公開され

Webとマーケティング 授業資料(10)

人の繋がりの特徴を考える 「社会的ネットワーク(social network)」という考え方があります。 人々や企業、国など、あらゆる社会単位をノードと捉えて、そこにある相互の関係性を表した構造を指す概念です。 社会学や人類学、経営学、組織論等の学問分野で、対象をグラフで捉えることで、新たな知見が得られており、有効性が明らかにされています。 この授業の内容でもある、マーケティングでも、社会的ネットワークの典型であるソーシャルグラフとWebを用いた新たな手法が行われています。

Webとマーケティング 授業資料(9)

ソーシャルグラフで明らかになること では、ソーシャルグラフでは、何が明らかになるのでしょうか。人間の関係は、どういうものなのでしょうか。これから、ソーシャルメディアを使ってリサーチを行いますので、そこでわかる関係が、どういう性質を持っているかを知るのは重要です。 地図によって、その地域の地形が俯瞰できるのと同様に、人間の関係も、ネットワークとソーシャルメディアが登場してきて、初めて明らかになってきました。 まずは、ネットワークの性質を理解してください。 ネットワークの外部性

Webとマーケティング 授業資料(8)

グラフというモデルについて 様々な繋がりを表現するモデル、グラフについて考えてみましょう。 オイラーとケーニヒスベルグの橋ソーシャルグラフは、コミュニティなど様々な人の結びつきを、抽象化して記述したものです。 元々グラフとは、数学の世界で、「繋がっているもの」を抽象化してモデルとするために生み出された考え方で、その起源は18世紀にまで遡ります。 1736年に、スイスの数学者、レオンハルト・オイラー(Leonhard Euler)によって、通称「ケーニヒスベルグの橋渡り」と

Webとマーケティング 授業資料(7)

データを見ること前回の、データに関する問いかけの解説です。 これからソーシャルリサーチを行って、実際の消費者のデータを求めていきます。そのための思考問題として提示したものです。 ①なぜ、スペイン内陸部にはネアンデルタール人がいなかったのでしょうか? ②戦闘機の帰還率を上げるためには、どこの装甲を強化するべきでしょうか? ①は、ネアンデルタール人そのものではなく、端的に言えば、そこに行って化石を発掘した研究者がいなかったということにしか過ぎません。 データが無いことに対して

Webとマーケティング 授業資料(6)

ソーシャルリスニングとデータ分析・ソーシャルメディアとマーケティングソーシャルメディアとマーケティングの関係性について、再度確認しておきます。 まず最初に、「脅迫マーケティング」という概念を提示しました。 特にエンドユーザに対してモノやサービスを提供するB2Cの場合、どうしても意思決定が感覚的になってしまうことや、商品のコモデティ化などによって、広告宣伝も極端なものになりがちです。特に、その商品の特性、利便性などを強調するために、それを欠く状態を強調した、脅迫的なモノになる

Webとマーケティング 授業資料(5)

ソーシャルメディアについてソーシャルメディアとはどういうものですか? なぜマーケテイングに、それが使えるのでしょうか。 これは、この授業で課題にアプローチする上で、非常に重要なポイントです。ソーシャルメディアの機能を使って、マーケティングを考えていくわけですので。 一般には、2008年から10年頃までを、ソーシャルメディア元年と呼んでいるようです。 日本では、2011年に東日本大震災が起こり、一気に一般化して行きます。 携帯電話などの移動体通信が、1995年の阪神淡路大震

Webとマーケティング 授業資料(4)

5.ソーシャルリサーチとペルソナソーシャルメディアを使って、マーケテイングのためのリサーチをしましょう。 ここでやることを整理します。 ・人々のグルーピング 前も述べましたが、マーケティングやメディア、広告の世界では、視聴者、消費者、生活者などを、グルーピングして行きます。それは、例えば買う人が少ない女子大に缶コーヒーを置くことを避けるためです。 そのグルーピングには、普通、性別と年齢の2つの軸が使われます。 男性(Male)、女性(Female)、そして子供(Chil

Webとマーケティング 授業資料(3)

F1のペルソナ(女子大生はどこにいるのか?)これからやることこれから授業でやることを、確認します。 使うのはWeb、ソーシャルメディアで、対象はマーケティング、ビジネスです。 まず、ソーシャルメディアを使って、マーケットのリサーチをします。それをソーシャルリサーチと言います。 そのためには、人の繋がりの実態を、理論的に知っておく必要があります。ちょっとした実験をしながら、繋がりについて考えます。 その後、この繋がりを使ったビジネスプランについて考えてみましょう。 最後に、