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22/11/04 『そことかしこ』原画展、ありがとうございました

青山ブックセンター本店さんでの『そことかしこ』1巻発売記念原画展、
10/25をもちまして、無事終了いたしました。
みなさま、本当に本当に、ありがとうございました。

漫画を連載すること、単行本を出すこと、デジタルを併用した原画を展示すること、イベントでトークをすること、
思えば初めてのことばかりの日々で、
うれしい経験がたくさんあり、とてもありがたく幸せな気持ちでありました。

「夜と鉛筆」より

会場では、1巻に収録された12篇中、9篇分の原画と複製原画、カバーなどの原画が並びました。
スペース等の都合上、全部のお話を並べるのはちょっと難しく、どの話を選定するかもかなり迷いました。惜しくも外れてしまった回の原画をご覧になりたかった方にはすみません。

また、今回の展示では1ページあたり2枚の原画を展示しておりましたが、
実際は、3枚以上の原画で仕上げているものも多くありました。
細かく比較をしていくと、あれっと思われた向きもあるかと思います。

「うたたねと雪」より

ちなみに殊「原画の枚数多いな……」と記憶しているもので言うと、↑の「うたたねと雪」などが思い浮かびますが、
この時は、普段は1枚で仕上げている基本の鉛筆の線も、2つに分けるということをしており……今思うとそこまで分けなくてもよかったのかもしれない……
とか色々、原画を見ていると思い出しますね。

連載のときから、「大変そうですね」と時々言われたのですが、
自分は漫画の連載をしたことも初めてなら、この描き方で定期的に作品をつくることも初めてだったので、大変なのかどうか正直よくわかりませんでした。
今でもよくわかりませんが、うーんまあ、大変なのかもしれない。言われてみれば。とにかく原画の枚数が多くなるのは事実です。

単行本描き下ろしを仕上げたときに、
「ページ数のわりに原画いっぱいあるなあ」と思って撮った写真
(下書きも混ざっています)

でも、展示会場でも何度か話していたのですが、
自分の好きな鉛筆と色鉛筆のタッチを、理想的に活かせる方法として、今のところこのやり方が一番なのです。
その点で、ちょっと試した原画もあったりしたのですが、お見せしたくても泣く泣く展示から外したりして(前述の通り、もろもろの都合で……)、まあそのうちお目にかけられる機会があればいいですね。

カバー原画より

原画展をさせていただけることになったとき、
やっぱり不安であったのが、「デジタル仕上げなので、完成原稿と同じ状態の原画がないこと」だったのですが、
制作の過程が見えるのは面白いですよと、編集の方からもたくさん励ましていただいたり、
完成原稿とあわせて展示するように考えたりして、なんとか踏み切れました。

「墨と道行」より

というか、自分自身が、描く側としては「こんなのを見せてもいいのだろうか」と思うのだけれど、
絵を見る側として考えたら、「描く過程が感じられる絵をみるのは大好きだし、それは見てみたいな」と思うということに、はたと気がつき、それで思い切れた節があります。
まあ、思い切るも何も、原画展ならこの原画を出すしかないんですけど……気持ちの問題。
そんなわけで、展示には、敢えて修正痕が残っている原画を選んだりもしました。
久しぶりに出す原画は、自分でも直したところを忘れていたりして、新鮮さもありました。

「夜と鉛筆」より

そんなふうに悩みながらも、
原稿を仕上げて、残った原画を眺めたときに、「完成ではないんだけど、これはこれで、なんか良さがあるんだよなあ」とも思っていたのもまた事実で、
それを丁寧に受け止めてくださる方が、たくさんいらしたことに、本当に救われました。
温かいお言葉をいただくことも多く、こちらの気持ちもほっこりと温まりました。そして安堵しました。ありがとうございます。

今回あまり在廊ができなかったので、会場には、
芳名帳を兼ねて自由に書いていただけるように、ノートを設置していたのですが、たくさん素敵なお言葉をいただき、
おかげさまで、すっかり「開くと元気が出るノート」になりました。
在廊時にいただいたお気持ちとあわせて、次の作品への活力といたします。

繰り返しになりますが、
原画展にお運びくださった方、単行本をお手にとってくださった方、
会場で直接ご感想をくださった方、会場のノートやSNSでご感想を届けてくださった方、静かにそっと受け止めてくださった方、
展示やイベントの準備にご尽力くださった、青山ブックセンター本店のみなさま、光文社のみなさま(殊に担当Sさんには、何かとバタバタ本当にご苦労をおかけしました)、
単行本に素敵な帯文を寄せてくださった西村ツチカさん、帯に加えイベントでもお力を貸してくださったネルノダイスキさん、
みなさま本当に本当に、ありがとうございます。

またこの続きを、よいものを描いていけるように、がんばります。

カバー原画より

引き続き、『そことかしこ』1巻は光文社熱帯COMICSより、
全国書店、オンライン書店、各種電子書籍で発売中です。
どうぞよしなにお願い申し上げます。

そしてすぐ次の展示のお知らせなど、書くことがあるので、また来ます……!!
あっという間に時が経つ……