見出し画像

朝の支度

7:30
起きる。7:25から目覚まし時計をセットしている。仕事の日に寝坊したことは一度もない。起きてまずトイレに行き、顔を洗う。朝は水洗顔がいいとかパックがいいとか、そういうのはなんの変化も感じられずやめた。いや化粧品全般に関してそうで、ビタミン系の化粧水、美白系の乳液、効果を求めるものだと忘れ、惰性でただ塗っている。唯一、おっと思ったのはベネフィークのアクネウォッシュで、水を含ませた泡だてネットに8ミリくらい出してクシュクシュと泡立てると、顔中に広げても一センチくらいになる分厚い泡が立つ。誰かと泊まったときにそれを泡立てて顔に広げると、おどろかれた。

7:40
この頃には20%くらい起きている。弁当を用意する。オムライス、焼きそば、鶏ももの焼き肉丼、ナスの蒲焼丼、ピーマンの肉詰め、そういうのを延々とローテーションしている。2日連続同じ弁当でも平気だし、下手したら夜ごはんも同じものを食べている。
焼きそばを作るたびに、ちいさいころ母が、ちゃんとキャベツに焼き色をつけると 香ばしくておいしいね、と言ったのを思い出す。おそらくキャベツを胡麻油でところどころ焦げができるくらいにカラッと炒め、というよりあぶり、取り出してから麺を炒め、最後にキャベツを戻し入れ仕上げていたのだと思う。そのときは言っていることがよくわからなかったけど、うんおいしいねえと答えた。それが特別であることを知らなかった。わたしの焼きそばにはクタクタのキャベツがしょんぼりと麺の上に乗っている。
オムライスと焼きそば以外は2日分くらいまとめて作っておいて、朝は温め直してタッパーに詰めるだけのことがほとんど。学生時代は母が毎朝弁当用のごはんを土鍋で炊いてくれていたので、弁当には冷凍ご飯を使ってはいけないとばかり思っており、社会人になってから同期が冷凍ご飯を詰めてもいいのだと言っていたときは軽く衝撃を受けた。また社会人になったばかりのときに無印良品でちいさなアルミの弁当箱を買ったが、それは3歳児のお腹をやっと満たせるほどの大きさで、当時はその量で満足していたかというと全くそんなことはなく、昼休憩直後からお腹が空いていた。それでも、ちまちま、キュッキュと、彩りを考えながら副菜まで準備し詰めては真上から写真を撮った。曲げわっぱに憧れていたが、買わなくてよかった。詰めるものが焼きそばとオムライスばかりでは、曲げわっぱ職人に申し訳が立たない。
よく弁当を作ってえらいねと言われるけれど、料理と呼べるほどでもない料理をしながら目を覚ますのが自分にあっているというだけだ。

オムライスであればちゃんとケチャップの酸味を飛ばしたり、焼きそばに入れる肉には片栗粉をまぶしたり、そういうところに手間をかけられるのは、自分で自分に不思議


8:00
服に着替え化粧をし、髪を整える。ここは特筆すべきことがなに一つとしてない。わかりやすく愛情を持っていない。15分ほどで済ませる。極力熱を加えたくないので、髪は基本編んでいる。重度のドライアイで、コンタクトから離れ一年前から眼鏡をかける頻度が高くなり、経済的にも精神的にもすごくよくなった。ただ職場では眼鏡姿がデフォになってしまい、たまにコンタクトをつけると、自他ともに物足りなさを感じる気がするのがネック。

8:15
朝食を準備する。なんでもパンにサンドすればおいしいと教えられて育ったので、きんぴらごぼう、にんじんしりしり、ゴーヤの卵とじ、なんでも挟む。野菜がなにもなければただ卵を溶いてパンの大きさくらいに広げて焼いて、そこにたまにチーズが挟まる。
最近は前夜にすごい量のキャベツの千切りをタッパーに準備しておいて、それをくたっとするまで炒め、イタリアンソルトで味付けし、目玉焼きとともに挟むのにハマっている。ケチャップをかけると、ホットドッグのような気分で食べられる。一度ハマると一ヶ月くらいその熱が続くので、焦ったのは油そばとクロワッサンにハマったとき。逆によかったのは、納豆。
パン切り包丁は、買おう買おうと思って買わないものの代表格だ。普通の包丁で、少し焦げたくらいの食パンに切れ目を入れる。これに関してはすごくうまくて、6枚切りでも破れたりせずにスライスすることができる。実家で母がホームベーカリーで1.5斤のパンを焼き、それを4枚に切ったのを食べていた頃は、スーパーに並んだ6枚切りの食パンを見て、あれでどうやってお腹を満たすんだろうと訝しみつつ、魅惑的に映ったものだった。大学生になってからしか袋入りの食パンを食べた記憶がない。
飲み物は、水をコップ一杯と、なにかしらのカフェインを摂る。ハイになりたいときはそのへんで拾った粉のコーヒーをドリップする。寝不足のときはインスタントコーヒーを少量のお湯で溶かし水と氷で薄める。そして休憩中にどぅるんと濃い仮眠に落ちる。連勤最終日はたいてい、エナジードリンクの類のものを飲んで家を出る。豆を挽いてコーヒーを淹れるのは、だから、日常ではない。親しいけれど、敬意を持って接する、すごく特別な関係の友人のような存在。

すごい量のキャベツ。これでも少ないほう
卵はなぜか折りたたんで入れる。おいしいところは最後に取っておくスタイル。お金はないけどLサイズの卵は、心も体も満たしてくれる


8:30
YouTubeを見ながら、パンを食べる。アイドルであったり、出勤の日にフラットな心で見ることができる動画を流し見る。美しすぎたり、大切に見たい動画でない、朝ごはんにちょうどよい動画のありがたさ。
立ち上がるのは9:10でよい。おそらく動画を見ながらぐるぐると考え事をしたり、自分の疲れ具合を測ったりしていると思う。その時間があるなら寝ていたいという人がほとんどであろう一方で、わたしはなぜかこの時間を大切にしている。でも改善の余地があるとも思っている。寝不足の頭で動画ばかり見ていては、視界や脳内が狭くなり、クリアな状態からは程遠い。
わかっていてもね。これが時として栄養になり、毒になる。

9:10
食器を洗い、歯を磨き、持ち物の準備をする。読む読まない、書く書かないに関わらず、本を二冊(しかも単行本)と手帳は持ち歩くようになった。さっきまであんなにダラダラしていたのになんでこんなに焦るの、というのはお約束。毎朝。
相変わらず行ってきますはこわくて、行ってみます、と口ずさんだりする。

いついかなるときも、コーヒー豆を挽くことと弁当箱を包むのは、嫌いになることはないと思う


いいなと思ったら応援しよう!