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「アニソン総選挙2020」年代別に並べてみた(その3)【2010~2020年代 編】

【はじめに】

この記事では、2020年9月6日にテレビ朝日系列で放送された特別番組の『国民13万人がガチ投票! アニメソング総選挙』(以下、アニソン総選挙)について、年代別に並べ替えてみようという趣旨の企画です。

2000年代に何度も放送された、テレビ朝日系列、爆笑問題司会のランキング番組ということで、大変楽しみにしていて、個人的には満足したのですが、やはり20年近く経って、こうした番組の楽しみ方を理解できていない視聴者層による苦言のコメントが(予想以上に)多かったなという印象でした。

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その1では1960~1980年代、前回(その2)では1990~2000年代と年代を区切ってアニソンを紹介してきましたが、今回はついに最終回(その3)!2010年代~2020年のアニソンを抽出して公表していきます。

10位:2020年『Stories』/Snow Man ※

アニメ『ブラッククローバー』の11代目OPテーマとして、2020年4月からオンエアされた楽曲。様々な事情もあって、CDのリリースは2020年10月。つまり、フィジカルリリース前にTop30入りを果たすという快挙を達成。

メンバーの【佐久間大介】さんが第140話(2020/8/25)にマクサノース 役で出演。Snow ManのYouTubeチャンネルでも「アニメ/声優」関連動画がアップされたりしています。

ただ、このランキングが集計されたのが2020年夏だったということもあり、この楽曲がどの程度「アニソン」として、2021年以降に残り続けるのかは、過去の事例からしても不透明な側面があろうかと思います。
(今後、Snow Manが新たなアニソンを歌唱した際に、どう展開するか等。特に、佐久間さんらが更に活動を広げた場合の上書き度合いについて。)

( 注 )
アニメ、アニソンとしての知名度と比して、アーティスト人気などの影響が色濃いのではないかと思った場合には、(筆者の判断で)「※印」を付し、2025年ぐらいまでのスパンで人気の趨勢を注視していきたいと思います。

9位:2017年『Catch the Moment』/LiSA

アニメシリーズが2012年に始まった「SAO」。2017年公開の劇場版『 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の主題歌が9位です。

8位:2010年『RAY OF LIGHT』/中川翔子 ※

2010年4月に発売された、「鋼の錬金術師(2009年版)」のラストEDテーマ。『空色デイズ』などを上回り、8位(全体27位)にランクインしました。

【中川翔子】さんは、関連配信番組『アニメソング総選挙 後夜祭!! お願い!声優まつり presents アニメソング総選挙ベスト100 みんなで歌おうアフターパーティー!』にゲスト出演していた、という事情に鑑み、一応「※印」を付けました。

他のしょこたん曲や、1期を含めた「ハガレン」楽曲の中でも最上位に来た点において、「中川翔子さん人気」「ハガレン人気」「楽曲人気」などといった要素がどういった割合で票を集めたのかがやや気になりました。

7位:2011年『コネクト』/ClariS

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の主題歌「irony」で鮮烈デビューを果たした翌クールとなる2011年2月に発売されたこの曲は、言わずと知れた『魔法少女まどか☆マギカ』のOPテーマとして、ユニットの代表曲に。

東日本大震災により、アニメ中断が起きた一方で、CDは、リリース停滞も影響してか、ユニット最長のロングヒット。オリコン年間Top100入りを果たすなど、アニソンシーンに大きな衝撃を与えました。

(当時の)若年層は勿論のこと、番組内で爆笑問題・太田光さんがまどマギを熱弁していたことからも明らかな様に、幅広い層のアニメ好きに「作品」「楽曲」が刺さったことも上位進出の一因でなかったかと思います。

6位:2011年『オリオンをなぞる』/UNISON SQUARE GARDEN

Top20に惜しくも届かない次点(全体21位)だった『オリオンをなぞる』。しかし2010年代に多くのアニソンファンを魅了したサウンドは、令和の時代も変わらぬ支持を集めたといえるでしょう。

『シュガーソングとビターステップ』が(後ほど紹介しますが、)全体47位ですから、ユニゾンのアニソンの中では最上位となりました。

個人的には、『TIGER & BUNNY』は、キャラソン2曲のシングルも、根強いチャートアクションを展開していたことなどをしみじみ思い出しました。

5位:2010年『Snow halation』/μ's

リリースは2010年12月、オリコン初登場は年明け74位の1週のみでしたが、「ラブライブ!」が「μ's」と命名され、徐々に作品の規模が拡大していくに連れ、この楽曲の評価が高まっていくのを肌で実感したのを覚えています。

2014年の『ラブライブ!(2期)』第9話での演出も相俟って、シリーズを代表する楽曲に。そして、2017年にNHK BSプレミアムで放送された特番『カウントダウンLIVE アニソン ベスト100!』では、ラブライバーの熱い投票の結果、投票候補16,081曲の頂点(1位)に輝いたことも記憶に新しい所。

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それでも、NHKのベスト100から3年半近く経過したことや、投票方法が異なる事などもあり、2010年代5位(全体18位)という結果に終わりました。

4位:2011年『マジLOVE1000%』/ST☆RISH

1桁順位の楽曲を見ると、2010・11年の楽曲が多くランクインしています。(厳密には、2009年の楽曲も上位にランクインしていた。十年ひと昔か?)

「μ's」を上回って4位になったのは、「うたプリ」発の大人気ユニット『ST☆RISH』。ヒットの時系列では「μ's」よりも先でしょうか? デビューから絶大な人気を誇り、2010年代を通じて高い売上を記録し続けました。

11~32位

ではここで、11位以下も見ていくことにしましょう。

11位:2016年『History Maker』
12位:2017年『限界突破×サバイバー』
13位:2017年『ピースサイン』
14位:2014年『unravel』
15位:2015年『シュガーソングとビターステップ』
16位:2015年『春擬き』
17位:2018年『Defiance』/ジェジュン ※
18位:2011年『サムライハート (Some Like It Hot!!)』
19位:2014年『Rising Hope』
20位:2010年『一番の宝物 〜Yui final ver.〜』

前述のNHKのベスト100では総合4位だった『History Maker』は、3年近く経った2020年では11位(全体32位)。やはりこうして定点観測みたいな形でランキングを適時作っていかないと行けません。

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17位の『Defiance』は「ゾイドワイルド」の2代目OP。ただ恐らく、アニメソングとしてよりもアーティスト・ジェジュンさん人気に基づく投票が大半を占めるものと思われるため「※印」を付しました。

特に驚いたのは、16位に『春擬き』が入った点でしょうか。【やなぎなぎ】さんも「俺ガイル」も『春擬き』も良いのは間違い無いのですが、熱心なファンの多そうなコンテンツに囲まれての16位は特筆すべき快挙でしょう。

21位:2020年『NAVIGATOR』/SixTONES ※
22位:2018年『Prayer X』/King Gnu ※
23位:2014年『イマジネーション』
24位:2012年『crossing field』
25位:2012年『名前のない怪物』
26位:2014年『Daydream café』
27位:2016年『ヒカリアレ』/BURNOUT SYNDROMES ※
28位:2020年『ANIMA』/ReoNa ※
29位:2014年『This game』
30位:2020年『PHOENIX』/BURNOUT SYNDROMES ※
31位:2016年『FLY HIGH!!』/BURNOUT SYNDROMES ※
32位:2015年『プライド革命』

まずは、こむちゃでも首位を独走した「SixTONES」の歌う『NAVIGATOR』(富豪刑事)と、『白日』が1億再生を突破した「King Gnu」初のシングルCD楽曲『Prayer X』。
そして、2曲ランクインした『ソードアート・オンライン』のうち、ReoNaさんが歌う『ANIMA』は完成度の高い楽曲ではあるものの、2020年夏の楽曲で、集計時期と重なったことも考慮し「※印」を付けさせてもらいました。

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そして、「1人3曲まで投票できる」という投票システムの影響が露骨に出たのが『BURNOUT SYNDROMES』の歌う「ハイキュー!!」3曲でしょう。

これは「選挙」ごと全てに共通しますが、レギュレーションによって大きく結果が左右される側面は否めないと思います。SPYAIR『イマジネーション』などよりも今回は同バンドの楽曲が3曲上位にランクインしましたが、今後もその傾向が続くのか注視していきたいと思います。

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しかし、そこまで極端な偏り(LiSAさんやSAOなどに票が集まったのは想定の範囲内だし、一定の人気があることは事実)もなく、ベスト100(各年代では30位程度)までランキングを提供できた点、私は高く評価しました。

さあいよいよ、本題に戻って「2010~2020年代」のベスト3の発表です!

3位:2019年『インフェルノ』/Mrs. GREEN APPLE ※

"デビュー5周年となる2020年7月8日21時8分、フェーズ1完結と共に表舞台での活動休止・事務所からの独立とフェーズ2に向けての新たなプロジェクトProject-MGAを発表”したMrs. GREEN APPLE(ミセス グリーン アップル)。2019年7月に発売された『インフェルノ』は、年を跨いでのロングヒット。

原作ファンだというボーカル(大森元貴氏)が手掛けた詞・曲については、アニメ『炎炎ノ消防隊』の躍動感あるオープニング映像ともマッチ。YouTubeでは(総選挙放送時点で)バンド最多の7,000万再生を記録しておりビルボード・チャートにも長らくチャートインしていました。
(ちなみに、バンドリ!でAfterglowが2020年3月にカバーしています。)

この曲も、バンド人気、活動休止という話題性などの状況を鑑み、「※印」を付しました。『弐ノ章』が放送されていますし、『ミセス』のフェーズ2の動向も注視していきたいと思います。

残る2曲は、2010年代に「NHK紅白歌合戦」出場を果たしている人気楽曲。

2位:2013年『紅蓮の弓矢』/Linked Horizon

全世界で1億部を売り上げたという人気漫画『進撃の巨人』のアニメ初代の主題歌。2013年年末には「NHK紅白歌合戦」にも出場する人気ぶりでした。

2010年代前半に社会現象とも言える話題を呼んだ漫画を原作とするアニメの主題歌として紅白歌合戦に出場したのが『紅蓮の弓矢』とすれば、それから約5年を経て2010年代の後半、そして令和・2020年代にまで大きな注目と話題を呼んだ『紅蓮』がこちらでしょう。

1位:2019年『紅蓮華』/LiSA

「アニソン総選挙2020」OA前からファンの間では『残酷な天使のテーゼ』か、『紅蓮華』のマッチレースになるのではないかと予想されていました。スタジオでも唯一複数名が「1位予想」に挙げた『紅蓮華』は、惜しくも、四半世紀の王者たる『残酷な天使のテーゼ』には敗れたものの、全体2位

アニメと漫画そしてこの『紅蓮華』という主題歌が、相乗効果を巻き起こし2019年年末のNHK紅白歌合戦にLiSAさんが初出場。

同年12月に公開されたYouTube「THE FIRST TAKE」の『紅蓮華』は、本家PVを上回る再生回数を記録。ルックス、歌唱力、歌詞・メロディー全てが10代を始め幅広い世代(特に女性層)に刺さった結果のこの順位と言えます。

J-POPの世界では、米津玄師の『Lemon』が平成から令和にかけてロングヒットを記録しましたが、この『紅蓮華』は平成の最後に先行フル配信され、令和に本格的なヒットに移行していきました。

2019年(平成31年)4月6日 : アニメ初オンエア
2019年(平成31年)4月22日 : 先行フル配信
2019年(令和元年)7月3日 : CD(フィジカル)リリース

新元号・令和が発表された直後にアニメの放送が始まり、改元を挟んでのCDリリース。これを「平成の曲」と言うべきか、「令和の曲」と言うべきか、また、「2010年代の曲」と言うべきか、「2020年代の曲」と言うべきかは、未だ確定して言うことは避けたいと思います。

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少なくとも、そうした時代の境目といった時代を代表する楽曲として、今後語り継がれていくのではないかと思います。

勿論、10代の方々を中心に、思春期に『大好きだったアニソン』として心に刻まれることが期待されますし、その他の2010年代以降の楽曲と比して、『親世代にも浸透している』割合がかなり高いと見えます。

今後、ちゃんと時代を超える『アニソンの定番曲』となっていくかどうか、長いスパンで見守っていきたいと思います。

【おわりに(その3)】

2010~2020年代のベスト10を改めて掲載しましょう。こちらです。

1位:2019年『紅蓮華』
2位:2013年『紅蓮の弓矢』
3位:2019年『インフェルノ』
4位:2011年『マジLOVE1000%』
5位:2010年『Snow halation』
6位:2011年『オリオンをなぞる』
7位:2011年『コネクト』
8位:2010年『RAY OF LIGHT』
9位:2017年『Catch the Moment』
10位:2020年『Stories』

年号で振り返ってみますと、『紅蓮の弓矢』と『Catch the Moment』という年間1位クラスの大ヒットソングを除いて、他の楽曲は全て「2010~11年」か「2019~20年」と偏っています。すなわち、真ん中(2012~2018年)がごっそりと抜けているような印象です。

ただこれは、その時期にランクインするような曲が無かったことを意味しているのではなくて(例:2016前前前世、2014ゲラゲラポーのうた など)、『10年前で思い出に残ってる曲』派と、『最新曲で印象に残ってる曲』派で投票行動が分かれ、数年前の楽曲に票が集まり辛かっただけだと思います。

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故に、投票時期が数年ずれたり、投票方式が違った場合に、この順位通りに行くかと問われれば、1・2位は別格としても3位以下は相当、時節の影響を色濃く受けていたものと判断しました。(最新のランキングで、過去から振り返ると、意外なラインナップだったりすること良くありますもんね。)

だからこそ、最新の時期を含めたランキングはその歪(ひず)みも考慮し、定期的に実施しなければ「トレンド」を見誤ってしまいかねないのです。

アーティスト人気の曲、現在放送中のシリーズの最新主題歌、ゲームカバーされた直後云々といった事象がどの程度、持続するのかを含めて楽しむのがこうしたランキングだという風に考えます。果たして数年後、同様のランキング企画が実施された時に、どう変動しているのか。今回のランキングで、何が『一過性』で、何が『歴史を超える曲』だったのか、それを分析するための一つのマイルストーンとしてのランキングとして意味があったと言う風に私は考えたいと思いました。

これは2020年の記事ですが、将来、この記事を偶然見つけて、『令和の最初はこんな曲がランクインしてたのか~』などと新しい発見をしてくださる方々のご来場を信じて、3回シリーズの記事を終わりたいと思います。

その1(1960~1980年代)も、まだの方はぜひご覧ください。ではまたっ!


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