彼女は死んだ 一度も海を見ることもなく


高橋幸宏が死んだ

坂本龍一が死んだ

チバユウスケが死んだ

やるせない気持ちで心がいっぱいになる

ただ、失礼ながら
YMOに関しては明らかに死が見えていた

坂本龍一のasyncを聴いたときからもう彼は死ぬのだと僕はわかっていた

ボウイのブラックスターと同じ匂いがしたから

高橋幸宏も自分の記念ライブに顔もビデオレターも出さない時点で相当まずいのだと気付いていた

チバユウスケに関しては驚いたけど
ガンの話自体はわかっていたので
ああ、そちらのルートなのかと思った

過呼吸になったけど


数年前に猫が死んだ

僕の猫だ

死ぬだろうと思っていた

「ガタカ」じゃないが生き物は生まれた時から大抵のことはわかる
特に寿命なんてものは


猫は死ぬと思っていたので

なんとなく保冷剤を捨てずにいたり部屋に段ボールを残しておいたり葬儀屋を探しておいたりした

そして死んだ

僕には悲しい気持ちが生まれなかった

死ぬと思っていたものが死んだ
わかっていたことが起きただけ

押し殺そうとしたわけでもなく淡々と受け入れた 

自分の父もあと5年やそこらだろうと思う

だけど別に話すことがあるわけでもないし
何か贈り物やあれこれがしたいわけでもない

おそらく「淡々」が待っている

ジョジョ6部のプッチ神父が

悪い出来事の未来も知る事は「絶望」と思うだろうが、逆だッ! 明日「死ぬ」とわかっていても、「覚悟」があるから幸福なんだ! 「覚悟」は「絶望」を吹き飛ばすからだッ!

と言っていた。

ここまで僕がだらだら書いたことをこうもひとまとめに出来るわけだから荒木飛呂彦はすごい

わかっていて覚悟が出来ていれば大抵のことは耐えられる?

これまた数年前に入院をしたことがある

非常に痛いとされる脊椎への注射が必要だった

とてもとても痛いけどなんとか我慢してほしいなんてことを言われた

僕は「これから世界一の痛みに合うぞ。おそらく人生で1番の痛みだ。すごい経験をするんだぞ。」と自分に言い聞かせた

結果注射はさほど痛みを感じず 

痛かったでしょうにと同情してくれた看護師に「いや思っていたより全然でしたね」と答えて首を傾げられることになる

単調なエピソードから教訓を得るのはあまり好みではないのだけれど

覚悟があるとなんでも耐えられる 
というよりは
覚悟がないと耐えられないことが多い 

という感じがする

ガンの患者に
「衝撃段階」「不安定段階」「適応段階」
があるように

「いきなり」は衝撃と共に話が終わる

適応を挟む隙がない

だからみんな

準備運動をしてから飛び込むように

相手の覚悟の時間を挟んでから物事を進めてほしい

「覚悟がまだ!覚悟がまだなので!」

と言って粘る光景はちょっと面白いかもしれない

ちなみに平沢進に関してはまだまだ覚悟が出来ないのであと20年はお願いします



オチのないこの話もいきなり本題なので

つまらないかもしれないぞ

と覚悟をする間もなく読むことになる

覚悟がないので幸福もない  

そもそもこんなアカウントのこんな文字を追っている時点で幸せにはなれないが


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