
Papers & Laboの事業の始め方
先週、Papers & ZINEをβリリースした。今回は、Papers & ZINEをリリースする前に踏まえた順序を紹介する。
前提
「当たるかどうかわからないけれど大金を突っ込んでやってみる!」は怖いのでやらない。その事業が当たるかどうか出来る限り検証して、確度を高めてからスタートさせる方法を取っている。
概要
事業の検証から実際に事業をスタートさせるまで、大まかには次のような流れとなる。
1. ニーズを見つける
2. ニーズ検証
3. PMF
4. グロース
1. ニーズを見つける
Papers & Laboのメンバーが携わっている業界、あるいは過去に携わっていた業界で、困っていることをあげてみる。全然関係ない業界のニーズを考えるよりもニーズの質が高いので、自分と関係のある業界で考える。あなたが街のパン屋さんだとして、パン屋さんのニーズはすぐに思い浮かぶだろうけれど、バイク屋さんのニーズは浮かぶだろうか?無理くりニーズをひねり出すのではなく、日々自分たちが感じていることを事業のタネにする。
2. ニーズ検証
ニーズをピックアップしたら、そのニーズがどれだけ求められているかを検証する。ここで重要なのは出来るだけコードを書かないということ。ニーズ検証の方法として、コードを書いてプロトタイプして人に見せてっていうのは中々コストのかかる方法だったりする。潤沢な予算があるならまだしも、多くの場合はこの段階でそれほどお金があるわけじゃないだろう。本業が別にある場合は時間もそれほどない。そんな時はコード書きたい欲をグッと堪らえよう。
じゃあ具体的にどういう方法で検証するかというと、LPや動画、note、Adobe XDのモックなんかで事業をイメージ出来るものを作り、想定ユーザーに見てもらう。参考までに、Dropboxは動画をアップして反応を見た。Zapposは靴の写真をWebサイトに掲載し、ネットで靴を買うユーザーがいるかどうかを検証した。このようにコードを書かずに出来るニーズ検証方法はいくらでもあるのでこの段階ではなるべくお手軽に素早く検証する。検証してイマイチだったニーズは一部修正するか潔く捨ててしまおう。
3. PMF
ニーズ検証が終わったら、そのニーズを満たす必要最小限のプロダクト(MVP)を作ってどんどんユーザーに意見を貰っていく。ユーザーに熱狂的に使ってもらえる状態=Product Market Fit (PMF) を達成するまでひたすらUXを磨く。後述の参考書 起業の科学 ではPMF達成基準を次の3つとしている。
1. 高いリテンションを保てるか?
2. カスタマー獲得から売り上げを上げるまで再現可能なパターンがあるか
3. リーンキャンバスの全体をみて成立している か?
つまり、売上を上げるまでの流れが確立されていて、既存ユーザーが定着していることがPMF達成の条件となる。そのために定性分析と定量分析を行い、想定したUXを常に検証し、更新しつづける。
4. グロース
PMFを達成したらいよいよグロース段階に入る。ドカンと資金調達し、一気にユーザー数を広げるのがこの段階だ。磨き抜かれたUXを備えたプロダクトを武器に、一気にグロースさせていこう。
Papers & ZINEはどのフェーズ?
Papers & LaboはZINE・リトルプレスのマーケットプレイス Papers & ZINE を運営している。本来であれば大量のコードを書かないといけないプロダクトだけれど、EC機能込みのWordpressテーマを使って1日ほどでWebサイトを構築した。それからZINE作家さんへのインタビューを行ってその内容を掲載し、各媒体にPRを送ると共にSNS広告も打ってその反応を見ている。上記の4つのフェーズでいうと2番のニーズ検証の段階にあたる。
参考文献
この投稿にある方法論は基本的に田所 雅之著 「起業の科学 スタートアップサイエンス」に則っている。
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