父と僕を繋いださくらんぼの詩
昨夜Twitterを見ていると馴染みのある名前が目に飛び込んできました。
閉まっていた感情が一瞬にして蘇って、感情を言葉にせずにはいられませんでした。
父の書斎にはお菓子BOXというものがありました。
高い本棚の上に置いてあるため僕や妹の背では届かず、それはそれは特別輝いて見えました。
ご飯ができて父を呼びに行ったり、母に頼まれて何かを渡しに行った時、にやにやしながら箱を指差しせがみました。
父がくれるお菓子はチョコレートやクッキーなど甘いものが多かったのですが、常備してあったのが「さくらんぼの詩」という飴。
父はいつもこれを1粒だけくれて、「パパはこの味が一番好きなんだ」と言っていたのを覚えています。
大きくなるとお菓子BOX目当てに書斎に行くことはなくなりました。
でもある日ふと存在を思い出し、父の書斎に忍び込んだことがあります。
もう届くようになった本棚の上から箱を下ろして開けてみると、そこには大量の「さくらんぼの詩」と、僕や妹が書いた手紙や似顔絵が入っていました。
お菓子BOXはいつの間にか、思い出BOXになっていたのです。
それでも父は僕らが来ることを期待して、いつ来てもいいようにと飴を準備していたのかもしれません。
今年の春で父と母が離婚して1年が経ちます。
寂しくなる時も話したい時も会いたい時も、もちろんあります。それでもその感情を押し殺し、ごまかしてきました。
「さくらんぼの詩」が終売するというニュースを見て、あの頃の父の愛情が本物だったことを思い出せました。
美しい思い出は、歪ませず大切に、心で記憶しておきます。
父がこのニュースを見て同じことを感じていてくれたら…安心できます。
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僕が何者になるか、あなたに見届けてほしいです。