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視覚支援にもリスクがある

*この記事は、すでにYouTubeやstand.fmで配信している音声を記事にしたものです。

よこはま発達クリニック・よこはま発達相談室の佐々木です。僕らは医師、心理士、ソーシャルワーカー、言語聴覚士、様々な専門職が連携を取りながら発達障害の方々の支援を専門にさせて頂いております。それ以外にも、色々な研修会だったり、こうした情報発信などもしておりますし、2021年の1月からは Facebook やこのnoteを活用し、有料のクローズのコミュニティを運営しています。常時200名を超える方々にご参加頂いており、毎週3000文字〜4000文字のコラム配信、月に1回リアルタイムでディスカッション、外部の先生をお招きしての対談を皆さんに配信しています。いずれも、皆さんから事前にご質問を頂き、可能な限り双方向のやり取りになるようにしています。基本的には Facebook でのご参加おすすめなのですが、実名登録が苦手な方は、note版ではコラム配信のみしておりますので、ご関心ある方は詳細(この記事の最下部にリンクを載せておきます)をご確認ください。

さて、先日は「なんでも視覚的にはNo」という配信をさせて頂きました。
今回は、もう少しそれに関連した内容として、Twitterでも「Visual Drive」についてコメントを頂きましたので、そのことについてお話をさせて頂きます。

Visual Driveという考え方

皆さんは、Visual Driveという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?

Visual Driveというのは、視覚支援のリスクと考えられていることの一つで、僕は当相談室代表の内山先生より教えて頂いた概念です。

これは、視覚的な刺激に対してDriveがかかる、つまり、「見るとやってしまう」という場合があるということで、「〇〇してください」と提示された際に、実際には納得しなかったり、嫌だったりすることでも、「やらなければならない」と応じてしまうことがあります。

これは僕も過去に失敗したことがあります。外で飲食されない方がいらっしゃったのですが、アセスメントの一環の中で、飲み物を飲むということを予定表に入れたところ、その場ではスムーズに飲んでくださったのですが、その後とても辛そうにしていた方がおりました。

強制命令になってしまうこともある

「拒否できない」というコミュニケーションの特徴があるのだと思うのですが、その方にとっては、僕の提示は「強制命令」になってしまったのだと反省するエピソードです。

ですので、応じてくださったものの、とても辛く、ご負担も大きかったのだろうと思います。

したがって、視覚支援を考える際には、「応じてくれた」=「納得してくれている」とは限らないということを頭の中に入れながら対応していくことが重要です。

コミュニケーション支援もセットで

同時に、拒否しても良いことを教えていったり、ご本人の本当の意向はどこにあるんだろうかなど、ご本人からの発信をサポートするようなコミュニケーション支援も非常に大切です。

視覚支援はASDの方々の支援においては、とても大切で有効なものである一方、「効きすぎることもある」ということもあるため、伝えたいことを伝えるためだけのものではなく、コミュニケーション支援ともセットで考えていくことが重要だろうなぁとも思います。

Visual Driveなのかどうかの判断は?

とはいえ、実際の現場やご家庭では、「どこまでがVisual Driveなのか?」の判断がつかないことが少なくありません。僕が失敗した例のように、その時、その後のご本人の様子やコンディションから推測していくこと、応じてくれたけれどもネガティブな反応があった場合には、「もしかして?」と考えてみることが良いのかなぁと思ったりします。

まとめ

今日は、
・視覚支援は有効だけれども、リスクもある
・Visual Driveという考え方があり、実際には嫌でも、見ると応じてしまう人がいる
・視覚支援とコミュニケーション支援はセットで
・はっきりとした線引きはできないからこそ、ご本人のその時、その後のサインを確認していこう

そんな話をさせていただきました。
本日も最後までご清聴いただきありがとうございました 。

よこはま発達相談室
佐々木康栄


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