【専門家兼FPが解説】発達障害と親亡き後
みなさん、こんにちは。よこはま発達相談室の佐々木です。今回は「発達障害と福祉制度や親亡き後」について、少しですが書いていきたいと思います。なぜ私がこのような記事を書かせていただくかと申しますと、私は公認心理師/臨床心理士ですので、一番の専門は心理としての評価・療育・相談になるのですが、同時に精神保健福祉士(精神科領域専門のソーシャルワーカー)でもあり、ファイナンシャルプランナー(FP:お金に関する専門家)でもありますので、そうした立場からお話をさせていただくことも少なくないためです。これも、昨日の記事に書かせていただいたジェネラリストを目指すという形の一つです。
情報(福祉制度/サービス)+情報を使う力が必要
自分がお会いさせている方々の中には、福祉制度について詳しい方もおられれば、そうでない方もおられます。特に、後者の場合の多くは、そもそも情報がないという課題があります。
ですので、まずは必要な情報をきちんとお伝えすることが私たちに求められることだと思います。それを使うかどうかは別として、「知らなかったから使えなかった」というみなさんの不利益は極力減らすためには、支援者の立場としては、様々な情報を持っている必要があるだろうと考えています。加えて、必要があれば、それを活用するサポートも必要になってきます。クリニックのソーシャルワーカー、区のケースワーカー、基幹相談支援センター、発達障害者支援センター、相談支援事業所などがまずは窓口になってくると思います。
親亡き後の備えは?
親亡き後はどうすれば良いのか?何を、どう、いくら残せば良いのか?そうした疑問については、個人的にはいつも次の資料のようにご説明しております。そのためには、いかに支援チームを作っていくのかが非常に重要です。もちろん、それが難しいのは重々承知ですが、誰かがキーマンとなりやらなければならないことだと思います。そのキーマンを誰がするのかというのも、臨床場面ではよく考えます。
でも、必要な情報はきちんとおさえて
とはいえ、必要な情報(使える制度)はご理解して頂いた上で、何を、どこから手をつけていくのかというのは個々に判断していくことになります。
ただし、どのような制度も万能ではありません。例えば、成年後見制度についてはお聞きになったことがあるでしょうか?ご自分ではお金の管理が難しい方に対して、法的に財産を守ってくれる制度です。こう聞くととても安心する方も多いかもしれません。ただ、デメリットもあります。一つは報酬の問題で、平成25年の東京家庭裁判所によると、平均で月額2万円です。1年間で24万円、10年間で240万円です。身内の方が後見になった場合には、報酬がかからない場合もありますが、必ずしも身内の方が後見人になれるわけではありません。それがもう一つのデメリットです。もちろん後見人の推薦はできるのですが、誰を後見人に選任するかは家庭裁判所の判断になりますし、近年は身内の方ではなく弁護士や行政書士、社会福祉士などの専門家の方を選任することも増えているようです。また、「相性が悪いから後見人を変えてほしい」ということもできませんし、一度後見人がついた場合には、こちらの都合でやめることはできません。つまり、担当になった方に対して、それぞれの障害特性について時間をかけながらご理解をしていただく、関係を築いていくという必要があります。こうしたことについては、身近な相談先としては、上述した相談先だけでなく、社会福祉協議会へのご相談が可能です。
これらのことについては、Webセミナーでもご説明をさせて頂いております(有料になってしまいますが、1時間半くらいの動画と資料をお渡ししております)。ご関心のある方は、5分程度の紹介動画もありますのでご覧ください。
※なお、Webセミナーのご確認はコチラからお願い致します。
それでは、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。宜しければフォローの方も、よろしくお願い致します。
よこはま発達相談室 佐々木康栄
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