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どうして理由を考えて支援するのか?

皆さんこんにちは。よこはま発達相談室の佐々木です。いつも記事をお読みいただき、また「スキ」「フォロー」「シェア」してくださっている皆様、ありがとうございます。

前回の記事では、”本当の意味で理解するとはどういうことか”について、僕たちの考えについて述べさせていただきました。その中では、行動の背景にある要因を考えて、適切な見立てのもとに支援を考えることの必要性に触れました。もしまだ読まれてない方がおりましたら、ご一読いただけますと、より本日の記事はわかりやすいと思います。

お困りなのはよくわかります。でも…

相談やコンサルの現場では、「〇〇で困っています。どうしたらいいでしょうか?具体的な対応を教えて欲しい」とご相談を受けることが稀ではありません。現場やご家庭では本当にお困りなのはよくわかります。でも、実際に起きている現象だけを伺って、「こうすればいい」とは言えないのです。そうした状況に至っている理由もわからなければ、ご本人の現状もわからないという状態ですので、正直、「わかりません」というのがお返事になります。そのように聞くと、「何もしてくれないのか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、その場しのぎ的な発言をすることはできるかもしれませんが、専門家としてそれはあまりにも無責任ですし、すべきではないと考えています。もちろん、僕個人の専門家としての知識、経験、技術が足りていないというのもありますが。

だからこそ一緒に考える

じゃあ、何も考えないのか?というもそれもまた違い、関わっている方々で情報、知恵を出し合って状況を整理し、理由を推測しながら、一緒に考えていくことが大切です。そうしたプロセスを踏んでいく時に、僕がよく例に出すことがあります。それは、”優れたものでも合わなければ意味がない”ということです。例えば、僕は割とApple社さんの製品を好んで使うのですが、それは自分のライフスタイルにとって便利だからなんですね。例えば、日頃からメール等のやりとりは多いので、いつでもどの端末でも確認できることで、優先度を考えながら仕事ができます。PCを使うことも多いのですが、文書作成以外のことも色々しますので、そうなると個人的にはMacが使いやすいんです。ですので、僕にとっては自分の生活にとっては優れたツールなんです。でも、じゃあ、これが「皆さんにとってどうか?」と考えた時に、当てはまらない人も少なくないのではないでしょうか?研修会でも、PC、スマートフォン、タブレット、時計の全てをApple社製のものにしている方はどれくらいいるか質問する時があるのですが、圧倒的に少数です。そこで僕が、「どうしてこんなに便利なものを使わないんですか?絶対に使ってください!」と力説したとしても、「じゃあ帰りに買っていこう」とはならないわけです。もちろん費用の面での問題もありますが、1番の理由は、”自分の生活にとっての必要性を感じないから”なのではないかと思います。自閉症の方への支援も同じだと思うのです。どんなに良さそうで、みんなが使っているものでも、今目の前にいる自閉症の方が、それが同じように便利なものとなるかどうかは別問題なのではないでしょうか。そう考えると、ご本人にとって”意味がある””便利”と感じていただくことと、僕らにとっての”意味がある””便利”は=(イコール)ではないということをいつも念頭に置いておく必要がありそうです。そのためには、”どこでお困りなのか”を考える必要があると思っています(ここでいう”どこで”は現象のことではなく、背景にある理由のことです)。それは、コミュニケーションかもしれませんし、見通しの問題かもしれませんし、あるいは全く別の問題であるかもしれません。その上で、どのような支援をすれば役に立ち、安心に繋がるのかを考えることが、僕らに求められることのように思います。

優れたものでは意味がない

ASDの方(もちろん我々も)は多様なのだから、方法も多様で

一見すると同じような現象に見えるものでも、人や状況も違いますので、同じ理由でお困りの状況が生じているわけではありません。つまり、理由も違うわけですので、”方法は一つじゃない”ということです。それをご本人、保護者の方、その他関係者の方々を一緒に考えていくこと=支援者として伴走させていただくことが大切なように感じます。

いつも最後までお読みいただき、ありがとうございました。

よこはま発達相談室 佐々木康栄

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