見出し画像

お金にならない早期離職白書をつくる理由

早期離職者100人にインタビューしようと思い立ったのは2012年の春頃のことです。

この時点では白書をつくろうなんて構想はありませんでした。とりあえず100人インタビューすれば何か見えてくるのではないか?というものすごく漠然とした考えでのスタートでした。正直、起業した直後で仕事がなさすぎて、何かしないとおかしくなりそうだったので仕事っぽいことをやりはじめました。

当時はfacebookが急速に日本で広がり始めた時期だったこともあり、インタビュー協力者はfacebookを中心に集めました。

毎日のように「100人インタビュー目指してます!」と呼びかけることで、少しずつ紹介してくれる方が増え、インタビューに協力してくれた方がまた別の人を紹介してくれるという感じでつながっていきました。


インタビューしたあとどうするの?に答えられない日々

ある程度インタビューがうまくいくと、周囲からは「100人インタビューしてどうするの?」と聞かれることが増えてきました。

当時は白書の構想などもなかったので「いや~考えてないんすよ~」と言ってごまかしていました。

ある日、知り合いから「白書にしてみたら?」と言われ、その場で「そのアイデアいただき!」と言って白書をつくることを決めました。白書が具体的にどんなものかもわからない状態でした。


白書を製本するお金がない!

なんとか100人のインタビューが終わったはいいものの、その時点で貯金は尽き果てていました。ある日、通帳を見たら130円になっていたこともありました。

白書というと製本して出さないといけないという考え方にとらわれていた私は、なんとか製本代を工面しなければと思い、私募債という形で知り合いからお金を借りました。その時クラウドファンディングの存在を知り、私募債でお金を集めたにも関わらずクラウドファンディングでもお金を募るという暴挙に出ました。結果的に合わせて100万円近くのお金を集めることができました。

このときお金を出していただいた方々がいなければ、私が今こうしてnoteを書いていることもないでしょう。本当に感謝です。



どうやって儲けるの?に答えられない日々

私募債の募集説明会のときに多くの方々から言われたのは「白書つくったあとにどうやって儲けるのか?」です。そりゃそうですよね。お金出したのに儲けられなくて会社がつぶれてしまったのでは出資者としてはたまったものではありません。

「どうやって儲けるのか?」の質問に対してなんと答えたのか、正直覚えていません。ただ、最後は「絶対返します。もし会社が潰れたら内臓売ってでも返しますから、お願いします。」と言ったのだけは覚えています。


早期離職白書のおかげで「早期離職の専門家」へ

私募債とクラウドファンディングという二重の支援もあって、2013年1月に無事に早期離職白書2013を発行することができました。

その後「早期離職白書を発行した早期離職に関する専門家です!」と自称して自分を売り込み、早期離職対策に関するセミナーや研修、コンサルティングのお仕事をいただけるようになり今に至ります。

1年くらい経つと「次はいつ白書だすの?」を聞かれることが多くなり、焦ってつくったのが早期離職白書2016です。この時もクラウドファンディングで20万円ほどお金を集めました。お金を出していただいた方には本当に感謝、感謝です。


「白書では儲けない」という決断

早期離職白書は有料で販売もしていますが、取材費や製本代を考えるとまったく割に合っていません。仮に印刷した分がすべて定価でうれたとしても人件費を考慮すると利益は出ません。

だから私は決めました。「早期離職白書では儲けない」と。

現在、早期離職白書2019を準備中ですが今回はクラウドファンディングもやらない予定です。

儲からないのになぜやるのか?

はっきり言って、自分がやりたいからやります。つまり、私のわがままです。


「やりたいからやる」でもいいんじゃないの?

「やりたいからやる!」というと、無責任だといわれることもあります。経営者失格だ!と言われることもあります。それでも私は「やりたいからやる」と言っています。

やりたいからお金をかけて、儲からなくてもやるんです。利益だけを追求するならわざわざお金も時間もかかる白書づくりはやりません。目に見えてのリターンもありません。利益にならなくても、やりたいという気持ちだからできるんです。

企業として利益を確保することは大切です。利益がなければ継続していくことは難しいでしょう。でも、もっとやりたいからやる!って人や組織が増えてもいいと思うのです。

だって、私は「白書はやりたいからやるんだ!」って自信を持って言えるようになった今回の白書づくりか一番楽しいんですもの。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?