トランジションを制する。ケーススタディ
サッカーにおける4局面の2つ
サッカーにおける4局面。そのうちの2つであるトランジションについて今回はケーススタディしていければと思います。
サッカーは
①攻撃→
②攻撃から守備→
③守備→
④守備から攻撃
というふうに4局面に分かれてると言われております。このような局面分けの他には、
①ボール保持局面
②ボールロストからボール非保持
③ボール非保持
④非保持からボール保持
という言われ方もすることがあります。
言っていることはほぼ同じですが、この言い方の違いはボールを持つことで結果的に守備の時間が減るから、という見方をすることや、もしくは保持局面の時点で守備のことも考慮されているから、という考え方に由来します。
ですが、いずれにせよボールを持っているときはゴールを目指すことが前提に置かれているので、ボール保持≒攻撃という解釈で大きな間違いはありません。
兎にも角にも、今回はその局面の移り変わりの部分の話をしていきます。
サッカーの得点の割合
トランジションを深掘りしていく前に、サッカーというスポーツの得点の分布を見ていきましょう。この分布を理解することで、トランジションの重要性が理解できるかと思います。
こちらのカタールW杯のテクニカルレポートによる得点分布は以下の通りになります。
総ゴール数172のうち
セットプレー46・・・26.7%
その内訳
CK16・・・9.3%
FK13・・・7.6%
PK17・・・9.9%
オープンプレー126・・・73.3%
その内訳
トランジション40・・・23.3%
攻撃86・・・50.0%
つまり、得点全体の約1/4はトランジションに起因するものとなります。サッカーというゲームにおける重要度の高さが伺えます。これを無視することは出来ません。
また、トランジションによる得点分布をより詳しく見ていくと、自陣深くのディフェンディングサード(D3)で奪ってのロングカウンターは13/126点(10.3%)。ピッチ中央のミドルサード(M3)で奪ってのミドルカウンターは18/126点(14.3%)。相手陣地深く、アタッキングサードでの得点は9/126点(7.1%)。
このエリア・ゾーンごとの各考え方・ケーススタディは後述していきます。
トランジションを制するものが試合を・・・
前述のトランジションを起因とする、試合における得点の割合を見ていただければわかるように、トランジションにおける原理原則を理解することで試合を優位に進めていける可能性を高めることに繋がることは理解していただけたかと思います。
頭を整理し、それに必要な技術を身体を身につけていく。この頭の部分について、しっかり整理していきましょう。
【原則】守備から攻撃への移行ーポジティブトランジション
さて、ひとつずつ見ていきましょうか。守備から攻撃への移行は基本的にポジティブトランジション。略してポジトラと言われます。ここをしっかり抑えていくと相手陣地に侵入していくことができ、そしてゴールに結びつけることができます。また、ここの理解をしておけば、トランジション合戦になることを回避できるかもしれません。
1×1局面
1×1でのボール奪取後のポジトラの話です。ここで優先すべきことはまずはボールを奪い返されないです。
青チームの攻撃方向に対して並行走りの状態からボールを奪うことに成功するシーンです、ここでよくあるのが、ボールを奪った地点からそのまま攻撃方向へ切り返してしまうことです。これでは、相手との距離感が近いので相手・ボール・自分の関係になることも多く、またボールを失ってしまう可能性があります。
並走のなかでボールを奪った際には、自陣方向だろうが、まずはボールを相手から遠ざけることを優先しましょう。関係性として相手・自分・ボールの関係性を構築するわけです。まずは自分たちのボールに確実に持ち込む。これが非常に大事です。
こちらでは相手の攻撃方向に対してほぼ正面から向かい撃てるシーンです。ここでも先ほどと同様、奪ったあとの関係性の構築を優先します。
並走時と比べて、このまま相手・自分・ボールの関係性に持ち込むことは比較的容易いです。ですが、ここで調子に乗ってはいけません。相手はボールを懸命に追っかけてこようとするので、しっかりと関係性の構築を目指してボールをコントロールし、次のプレーに繋げましょう。
ドリブル、パス、シュート。あなたの目の前には広大な景色が広がっています。が、うかうかしていると、次のDFがやってくるかもしれませんね。
2×1局面
2×1局面においても、奪ったケースによって少し変わります。このあと3人4人と増えても原則の2×1が理解出来ていればそこの応用なので、この2×1局面までは、もう少しじっくりと見ていくことにしましょう。
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