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京都大学経済学部特色入試2016年解答例

【自己紹介】

 私は、2016年(特色入試初年度)に京都大学経済学部に特色入試で入学しました。論文試験では500点中317点でした。これは(おそらく)この年度の最高得点になります。 
 推薦入試専門塾での勤務経験もあり、小論文カリキュラムを作成したり、京都大学特色入試をはじめとした難関大学受験生の小論文指導経験があります。
TwitterID:@yc5sh4

この記事では、実際に私が入試本番で記述し、317点だった解答を紹介させていただきます。模範解答ではないため至らない点もありますが、ご了承ください。

【2016年論文試験概要】

 2016年の論文試験は、2015年まで行われていた論文入試の傾向を引き継いでおり、二つの課題文を読んで、設問に答える形になっています。2015年までとの変更点としては、それまで設問は3つ、多い年でも4つであったのに対して、5つに増えているという点です。しかし、全体の解答字数は2800字であり、増減なしです。難易度も初年度ということもあってか、特別難しいものではありませんでした。

 課題文は[A] 石田雄『日本の政治と言葉 上』「第一章 西欧諸『自由』概念の導入と伝統的要素」の一部、[B] 内山節『自由論』「第四章 『自然』が投げかけている問いについて」の一部でした。

 2016年は難易度、設問ともにオーソドックスであり、過去問として取り組むにはちょうど良いと思います。課題文の内容も論文入試時代の出題傾向を濃く引き継いでおり、これぞ京都大学経済学部論文試験という内容です。

課題文は著作権の観点から掲載しませんが、Twitterなどで相談してくだされば個別に対応させていただきます。そのほか、質問などもございましたらDMやリプライで対応させていただきます。

【設問】
設問1[A] で述べられているフランス型とイギリス型の「自由」について、それぞれ簡潔に説明しなさい。合せて400 字以内で記述すること。 (100 点

設問2[A] の著者は、西欧における「自由」という概念 フランス型とイギリス型 が日本でどのように導入され、受容されたと論じているのか。400 字以内で説明 しなさい。 (100 点

設問3[B] の著者が、「近代的自由」を超えて主張している「自由」とは何か。 (400 字以内で説明しなさい。(100 点

設問4[A] で取り上げられているフ ランス型「自由」とイギリス型「自由」 、 及び [が主張する「自由」について、それらの共通点と相違点を論じなさい。800 字以内で解答すること。 (100 点

設問5 設問 4 と関連づけて、現代における「自由」の問題を一つ取り上げ、論じなさい。800 字以内で解答すること。 (100 点

【解答例】

設問1 〔A〕で述べられているフランス型とイギリス型の「自由」について、それぞれ簡潔に説明しなさい。合せて 400 字以内で記述すること。

 イギリス型の自由は複数形の自由で、個別具体的な権利の複合体の自由を守る。フランス型は単数形の自由が中心で、フランス革命のような抽象的理念としての自由だ。イギリス型はロック主義的自由主義 で、国家からの自由とみなす。一方フランス型はルソーの影響を受けた国家本位的自由主義だ。それは政治的自由と民主的国家を同一視 し 、自由を国家を通じて獲得しようとした。ま た フランス型は思弁的、合理主義的でユートピア建設を目指す。イギリス型は経験的で非体系的で伝統の中で成長した。イギリス型は 自発性 と強制 のないことに本質を見出して緩慢な 、半意識的な成長を支持し、フランス型は集合的目的の追求と達成により自由を獲得できるとした。 この イギリスの経験主義的世界観とフランスの合理主義的 接近方法の背景は対照的だ。 フランス型は個人の具体的自由をおびやかす危険性が あり 、イギリス型はこの危険からまぬがれるが、保守的で改革に消極的になる。
(400字)
<入試本番では、このように記述したのですが、設問の問われ方から、「イギリス型は~であり、一方でフランス型は~である。」と記述した方が構成上きれいで、字数も節約できたと思います。ばらばらと書くと汚いですね。反省です>

ここからは有料記事とさせていただきます。設問4.5では二元論機械論的な観点から答案を作成しています。ぜひ購入していただいて、過去問演習のたすけになればと思います。

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