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冬季性うつと呼ばれる状態について

 これを書き始めている今日は「白露」。空気が冷えてきて、草花に朝露がつき始める頃。夏の暑く湿った空気が、少しずつ冬の冷たく乾いたものになっていく。
 秋は五行論では「金」の行の季節。金行の五志は「悲」。なので、秋になるだけでもなんとなく悲しくなることが増える場合もあります。それくらいなら、もういっそのこと季節のせい、(暦の)気のせい!として、冬になるまで乗り切るのもありです。
 しかし、厄介なのは、冬になって鬱っぽくなってくるパターン。
 まずは科学的に、どう解釈されているかをまとめておきます。

冬季性うつの科学サイドの解釈と対策

 冬になると気分が落ち込んでくる気がする。仕事に行くの嫌になったり、好きだったことも楽しめなくなったり。そんな自分が嫌で、イライラしたり悲しくなったり。メンタルだけじゃなくて体もだるくなったりする場合もあります。
 一般的な鬱状態と違って、食欲や睡眠欲はUPすることがあるのは、冬季性うつの特徴と言われています。
 科学サイドでは、うつ状態になるのはセロトニン不足(量的不足だけでなく、うまく機能しないことも含め)のせいが大きいとされています。
 そして、セロトニンの分泌には日照時間が関係していると言われます。環境的な日照時間と捉えるよりは、自分がどれだけおひさまを浴びられるかにかかっている、と言っても良いかもしれません。実は冬季性うつは、日照時間の短い北国で多いというデータもあるようです。(とはいえさらっと検索してみるとそうでもないデータが出てきます。因果関係はともあれ、冬にはセロトニン分泌が落ちる、というデータはあります)

 そこで、冬季性うつのある方は積極的におひさまを浴びるようにするといい、とされています。それだけでなく、散歩などの有酸素運動も良い。こちらは冬季性うつに限らず推奨されます。
 セロトニンが脳内で作られるには強い光が必要です。2500〜3000ルクスの光が必要で、室内の蛍光灯では全く足りません。部屋の中でもいいので、太陽光がしっかり浴びられるところに30分程度いられるといいようです。30分って結構長いので、まずは寝起きにカーテンをバッと開けて、目から一気に強い光を入れるのもおすすめです。 
 逆に、夜に強い光が目に入ってしまうと、セロトニンがメラトニンに変化しづらくなり、睡眠の質が下がります。朝から昼間にかけて日光を浴びてセロトニンをたくさん作り、夜は強い光を目に入れないようにしてセロトニンをメラトニンに変える。すると、よく眠れる。朝起きやすくなる。このサイクルを作るだけでも冬季性うつの改善に繋がることもあります。夜中に眠れなくてスマホ見てしまったりしますが、本当によくないんです。そして、朝の光の効果を高めるために、しっかりと遮光できるカーテンなどの方が良さそうです。

冬季性うつの中医学的解釈

 では中医学の目線で見てみるとどうでしょうか。
 まず、うつ状態については他の記事にも書いたように、「元気!」の素である気が足りなかったり、うまく巡ってなかったり。「機嫌が上向く」ための陽気が足りなかったり。また、各種臓腑の乱れによって、感情の波が起きやすい状態になったりすると解釈しています。これ以外にも、細かい原因や因果関係はありますが、一旦これらについて考えてみます。

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薬剤師で薬膳師であり、鬱で入院経験のあるやわるしす塾長が、経験を織り交ぜつつ、薬膳に限らずこころのケアをご紹介します。 一括料金です。月が…

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