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気血津液と臓腑の関係

※中医学の専門用語が色々出てきます。が、漢字の意味の通りなので気負わずに読んでください。そして覚えようとしないで下さい。覚えることに意味はありません。

体の中を流れている大事なもの「気血津液」

体の中の色んな働きをコントロールしている「五臓六腑」

五行論なのに六がある(しかも六臓目もほんとはある)ことは一旦置いておいて。

五臓六腑の機能を知る時に、気血津液とどのように関わるのかが分かっていると分かりやすいのではないかと思うので、その部分だけまとめて書いておきます。とはいえ、主に臓と気血津液の、です。

ただし、中医学の臓腑と科学医療の臓腑は名前が同じものがありますが、別物だと考えてください。結構、機能が似ている部分もあるけど、別物。そして、中医学の臓腑は、物体の名前というよりは、機能の名前と捉えてもらう方がスムーズかもしれません。こういう一連の機能を持ったナニカを「◯◯」と呼んでいる、それがたまたま科学医療側の臓器の名前と同じである、ということです。中医学の学習が進んできて、科学医療の方も少し深く学ぶと、共通点などが見えてきてまた新たな面白さも出てきますが、最初からそれをすると混乱の元になる気がします。(10年前とかの、多くの受講者さんがそうだったと思うので。あの頃は、話し方がまずかった)

五臓 肝(木)、心(火)、脾(土)、肺(金)、腎(水) の5つです。

ではまず、気と五臓。

人体を動かしたり様々な機能が働き続けるのに必要な生命エネルギーの素である「気」は、食べ物から作られます。その工程は「脾」という臓で行われます。

食べ物から作るだけでなく、本来は呼吸によって空気中からも補給しています。こちらは「肺」がしてくれます。肺は、気を全身に向けて撒き散らすスプリンクラー的存在ですが、現実問題として気を巡らせるポンプ機能は「肝」です。このポンプ機能はよくオーバーヒートするので要注意です。肝のこの機能が故障して気が巡らなくなるのを「肝気鬱結」と呼びます。また、肝がオーバーヒートする状態を「肝火上炎」。肝気鬱結のせいで火がつくのを「肝鬱化火」といいます。気はエネルギーの塊で、肝も陽の臓なので、肝の辺りに溜まってしまった気自体の熱で火がつくんですね。

気は常に適量あり、適度なスピードで巡っていて欲しいのですが、量については自転車操業になるのは怖いです。つまり、貯蓄しておく事が必要です。食べる事ができない、呼吸が浅いなどが続いた時に、貯蓄を崩して活動できるようにします。その溜めておく場所が「腎」です。歳をとって腎が弱ってくると、自転車操業に拍車がかかってきます。腎が弱って貯蓄力が落ちてくると「腎不納気」となります。


では次に、血と五臓の関係です。

血は、気と津液から作られます。作られる場所は、肺と書かれている時もあれば腎と書かれている時もあります。厳密に「作る」とするならば腎なのかもしれないし、肺に注がれて血となるということなので完成させるのは肺なのかもしれない。大事なのは、血が足りないという時に、「肺や腎も弱っているかもしれない」と考えることができることです。血が足りない「血虚」の原因は、材料(気津液)が足りない、生産工場(肺腎)が弱ってる、ということが考えられるわけです。

血のポンプ機能は「心」が担当しています。単純に血が足りないのではなく、隅々まで行っていない場合は心が弱っている可能性も出てきます。また心が弱ってポンプ機能が低下すると、「瘀血」という血の滞り物質ができる場合があります。

血も蓄えをした方がいいので、肝がその役割を担います。この役割がちゃんと果たせない時、「肝血虚」となります。肝にある時の血は少し特殊な役割を持ちます。陰のエネルギーとして働くことです。ですので、肝血虚は肝陰虚につながりやすく、血が足りないのに熱っぽい症状が出ることがあります。(血虚と貧血は別物ではありますが、血が足りないなら冷えそう、というイメージと逆になるかと思います)


最後に津液と五臓。

作るのは飲食物から脾が作り出してくれます。

そして気と同じく肺に運搬して、肺から全身に散布されます。その後のポンプ機能はまた脾が担います。

通り道とされる「三焦」は、気の通り道「経絡」や血の道「血脈」と違って、どこにあるのかどんな形なのか分からないとされています。(更に、上半身を上中下に分けて上焦中焦下焦といい、合わせて三焦と呼ぶものとも別でややこしい)

肺はこの三焦という道をきれいに管理することもしています。

排泄の管理は腎がしており、科学医療の腎臓に似てはいますね。


このように、気血津液の管理を五臓が共同でしています。ということは、五臓に不調があれば、気血津液もおかしくなるということです。うまく作れず足りなくなったり、うまく巡らず塊ができたり、隅の方に行かなかったり。そういう時に、気血津液に対する対策のみでなく、五臓六腑へのケアも必要な時が多いということです。

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