見出し画像

腎について

腎のはたらき
気を納める/津液を管理する/先天の精の入れ物/命門の府

命というものに一番関わりが強いのが、腎です。
人間は腎の気を分けて、男女のそれぞれを合わせて、次の世代を作り出します。その合わせてもらった気を、自分の腎に納めて、私たちは生まれてきたわけです。この人が生まれる際の最初の生命エネルギーである気を「先天の精」と呼びます。
これに対して、生まれてから食べ物からもらって命を繋いでいく分を「後天の精」と呼びます。(これは脾が作ります)
お父さんお母さんからもらった先天の精を使いつつ、そこに食べ物からもらった後天の精を継ぎ足しつつ、人間は生きてます。老舗の鰻屋さんのタレのようです。
腎のこの「精」が腎気でもあり、腎陰、腎陽にもなります。腎の陰と陽は相互に生み出し合う関係が他の臓腑に比べて強いです。十分に腎の陰陽を蓄えることで、歳を重ねても若々しくいられるとも言われます。「命門の府」とも呼ばれます。
命門の府の「府」は「納めておくところ」「蔵」の意味です。命門は同名の経穴がありますがそれとは違って(リンクしてますが)、文字通り命の出入り口がここにある、ということになります。命門の火と水がここに入ってます。
文字情報としてはこうなのですが、イメージしやすいのは、時代劇などに出てくる行燈(あんどん。油皿で検索するとイメージしやすい画像が出てきます)だと思います。お皿に油が入っていて、こよりの芯を浸してあかりを灯すものです。その油が命門の水であり腎陰、火が命門の火であり腎陽。とみなし、このあかりが「命の灯」としてもらうと、腎が命というものに深く関わっていることが分かりやすいのではないかと思います。
この行燈の火を消さないようにすることが、中医学的アンチエイジングとも言えるのではないでしょうか。実際、腎は髪、耳、脳、骨とリンクしているので、腎の元気さを維持することで白髪が出にくかったり毛量が減りにくかったりということがあります。

先天の精を入れて生まれてくる所なので、その後も気を納める機能を維持します。呼吸をする時に、お腹を意識するよりも、腎に納める意識を持つことでより深い呼吸が出来ます。
説明が遅くなりましたが、腎というのは骨盤の中にあります。ですので、呼吸を使う様々な所で出てくる「丹田」という経穴ともリンクしてきます。腎に溜めてある気を丹田により活用するのでしょう。この辺りの話はそちらの専門家にお任せしたいと思います。
腎が弱ると気を納める力も弱くなるので、呼吸自体が浅くなりますし、浅い呼吸が続くと気が足りなくなり腎気も足りなくなり、腎自体が弱ってくる(老化?)という相互の因果関係が成り立ちます。日頃から深い呼吸を心がけるだけでも、元気を維持できるかもしれませんね。

また膀胱と表裏の関係にあり、津液の管理もしています。現代医学では腎臓は血液をろ過して尿をつくります。中医学の腎は、津液のうちまだ使える部分を腎陽により再利用し、汚れた部分を膀胱に移動させ排出します。
腎陽が足りないと、リサイクルが出来ずに大量に膀胱に移してしまいます。高齢になると頻尿になるのはこの仕組みです。

腎は常に弱っていく、つまり虚していく臓です。(他の臓腑は虚したり実したりするけど)ですので、養生としては補腎が基本です。補腎陰、補腎陽、他に温腎などがあります。
補腎陽:ブロッコリー、海老、栗、胡桃
補腎陰:黒きくらげ、うなぎ、なまこ、枸杞、黒胡麻
補腎気:山芋、蓮の実
温腎:ピスタチオ

トップの写真は湯河原町のどこだったか忘れました。何となく、水の写真を…

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
古今東西の健康に関する知恵を、月額1000円で発信しています。
詳しく学びたい方はそちらをご検討ください。
「継いでいきたい知恵【門】」

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

ほとんどの記事を無料公開しています。 なので、「新しい記事待ってるよ!」「頑張れ!」「おもしろかったよ」など思っていただけたら、ご支援いただけますと嬉しいです。 100円から可能です。お気軽にどうぞ。