こころの薬膳 まえがき

 開いていただきありがとうございます。このマガジンを見てみようと思ってくださったのは、何故ですか?タイトル通り、こころが不安定なのだったら、少し悲しい。でも、そんな人の為に書いたので、ご自身に合うところ合わないところあるとは思いますが、最後まで読んでみてください。
 このマガジンは、以前に出した「やわるしす、いかがですか?こころが不安定な方のための薬膳入門書」を基盤に作っています。薬膳でこころのコントロールをすることをメインテーマにしています。
 やわるしす塾長は、20代の最後にうつで入院するという経験をしています。薬膳を学んだのは27歳の時。ドラッグストアのお客様に薬膳情報も合わせて提供しながら、OTCや健康食品の話をしていました。ただ、私と同じように、自分の気持ちがコントロール出来ずに困っている方、周りに迷惑をかけたと思って悩んでいる方、そういう方々の気持ちが少しでも楽になればなあと思い作った本でした。
 本当は、うつなら病院に行った方がいいと思います。
 でも、完全にうつ病というほどではなく、自分の気持ちの不安定さに自分が振り回されているように感じる方は、受診しにくいとは思います。そこで、中医学の理論を使った養生のヒントをお伝えしようという主旨です。

 注意してほしいのは、医師からの診断を受けている方。
 担当医のいう事はよく守ってください。その上で、漢方薬や薬膳を使ってみる相談をしてください。一番よくないのは、担当医さんの処方してくれる薬を勝手にやめることです。塾長は薬剤師でもあるので、薬の話も書けたらいいなと思いつつ、マガジンの形での発行を開始します。

 このマガジンでは、ココロが辛いパターンを3種類に分けて考えます。

「誰彼かまわず当たっちゃう イライラタイプ」
「なんだか浮かない もやもやタイプ」
「根拠のない自信喪失 そわそわタイプ」

 この3つは、西洋医学では同じ薬が処方されたり、カウンセリングでも特に区別されずにアドバイスをされたりします。でも中医学では、これら3つは全く別の原因で起きていると考えます。
 「そわそわ」「いらいら」「もやもや」の言葉から受けるイメージで、該当ページを読んでみていただいてもいいですし、それぞれの症状を解説しますので、ご自身の状態を見極めてみるのもおすすめです。

 具体的な話の前に、薬膳とは、という話を少し。 
 薬膳とは「中医学の基礎理論を使って体の状態を判断し、最適な食品を選んで食べる」ための知識です。
 世間には、「体にいい食べ物」「ヘルシーな食べ物」「栄養満点」などの情報やお店がたくさんあります。薬膳を提供するお店もたくさんあります。特に薬膳を提供するお店に共通しているのは、高麗人参やなつめ、変なにおいのする根っこや茎みたいなものが入っているという、「薬膳のイメージ」そのままなこと。つまり、きちんと「生薬」が入っていることです。日本の薬事法で医薬品とされているものは使えませんが、生薬の一部で、そこまで味を損なわないものがつかわれています。
 ここで紹介する薬膳は、生薬を使う難しいものではなく、日頃食べる食材を選ぶときに使える中医学と薬膳の知識です。ですので、材料が手に入らないかもしれない…という心配は無用です。少し珍しいものも、今は大体ネットで手に入ります。便利な時代だ。
 たとえば、風邪をひいてしまったけど、薬がないなあという時。風邪の症状もいろいろありますが、のどが痛ければ大根おろしや蜂蜜、咳が出るなら蓮根、寒気がするなら生姜と葛、お腹に来そうな感じならシナモンなど。おばあちゃんの知恵袋みたいですよね。
 おばあちゃんの知恵袋と薬膳の違いは、その裏側に医学的な根拠があるかどうかです。医学的と言っても、中医学的な根拠です。中医学は陰陽論に基づいて系統立てられた立派な理論です。ベースは統計学なのです。中医学は陰陽論に五行論というものを足して、人体と自然の仕組みをうまく説明しています。そして、素敵なのは、人体も自然の一部だと捉えていること。なので、自然の変化は人体に大きな影響を及ぼすし、人体の変化は自然と同じ仕組みで整えることができる、と考えています。
 マクロビオティックも同じように陰陽論に基づいています。薬膳との違いは、マクロビオティックには「食べてはいけない食材」がありますが、薬膳はそれ単体で「食べてはいけない食材」はないところ。ただ、「この人はそれを食べないほうがいい」というものはあります。個別対応が基本なのです。そこが、薬膳が普及しにくい理由だとも感じています。
 「これを食べれば健康になれる」「これは食べてはいけない」という方が簡単です。でも、あなたの体調はあなたのもの。あなたの心があなたのものであるように。だから、食べた方がいい食材も控えた方がいい食材も、あなたのためだけに選んでもらいたい。そのための知識を持ってもらえたらなと思います。
 そして、西洋医学では解明されていない栄養素がまだまだあるはずなのです。西洋栄養学ではほとんど水だといわれていたキュウリやナスも、薬膳ではちゃんとチカラを持っています。スイカも昔は砂糖水と言われていましたが、リコピンやシトルリンなどすごい成分が含まれていると、ここ10年程度で知られるようになってきました。それらの成分が、薬膳的チカラとどのようにつながっているのかの解明が待ち遠しいところです。ムコ多糖類やフィトケミカルなどの研究も待たれます。

 それでは、次から、3種類のこころの不調について順番に紹介していきます。できるだけ早く、いいテンポで更新してこうと思います。応援よろしくお願いします。
 基礎理論の詳細はマガジン「陰陽五行中医薬膳」も参照していただけると助かります。あちらも読んで、こちらも読む、というのがお勧めです。マガジン「陰陽五行中医薬膳」は全て無料公開しております。

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薬剤師で薬膳師であり、鬱で入院経験のあるやわるしす塾長が、経験を織り交ぜつつ、薬膳に限らずこころのケアをご紹介します。 一括料金です。月が…

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