繰り返す腰に

割引あり

という看板を掲げた整体屋さんがあったんです、近所に。
すごいコピーだなと思っていたら、ある日、全く違う看板に変わってしまった。
分かりやすいし、共感をもってあのコピーを読む人は、めちゃくちゃたくさんいるんじゃないかと思ったんだけど。しかし。
だめだったか。

なんて思っていたら、
自分が繰り返す腰痛になってしまいました。
繰り返すというか、中々治らない腰痛といった方がいいかな。
いつもは、やっちまったと思ったらすぐ、代表にお灸してもらって、動き方や姿勢を意識してたら、その日のうちに治るのに。
今回は既に3週間、治ってきたり、悪化したり。
今回のは、いつものぎっくり風味のではないのは分かっていたんだけど、中医学理論的に教科書通りの流れだったので、書き残しておこうと思います。


きっかけは寒邪

11月に入って、まだまだ三寒四温かなーなんて思っていたら、急にぶわっと冷えたんですよね。その時に、今日はちゃんと防寒しなくちゃいけないなと思って、そんな感じのツイートまでした。
元々厚着なので、少し詰めが甘かった。
ネックウォーマーとレッグウォーマーもすればよかった。
しかし、首という首から寒邪が入ってしまったみたいです。

寒邪とは、文字通り、寒いエネルギーを持つ邪気。
邪気と言っても、本来は寒気という名前で、単純に寒いエネルギーというだけのもの。
それがたくさんになりすぎて、体に悪影響を及ぼすから邪気と認定し、寒邪と呼びます。
この寒邪は、もちろん冷やす作用があるんだけど、それ以外にも、「凝滞・収引」という作用を持ちます。
漢字の意味をそのまま受け取って貰えばいいんですが、
「凝りかたまって、滞る」
「収れんし、引っぱられる」
という感じです。
これらが筋肉で起きると、肩が凝ったり、脚がつったりします。
そして腰で起きると腰痛になります。
ぎっくり腰なんかは腰のねんざとも言われ、筋肉が柔軟じゃないと起きやすくなるわけで、寒邪の増える冬にはぎっくり腰が増えるのも、寒邪の凝滞・収引の働きによるものがあるからです。

冬になると腰痛が増える。もしくは寒邪が増えると腰痛が増える。
その理由の一つを紹介しました。
が、実は他のパターンもあります。
それが、寒邪による陽気の損傷によるもの、です。

関連記事:五邪六淫

ベースには腎虚

陽気の損傷の前に、腎について話さなくてはなりません。
腎というのは腎臓ではなく、骨盤周り全体がもつ機能を指します。詳しくは、マガジン「陰陽」の「腎について」を参照していただきたいです。
腎という骨盤周りの機能に何か起きると、そこが痛みを発する。
これはわかりやすい展開ですよね。
つまり、「腰痛」という骨盤周りの痛みは、腎の不具合が原因な時もある、ということです。
この「腎」という機能は、基本的には「弱る」という不具合がメインです。
「肝」や「心」は、「弱る」ではなく「暴走する」不具合もよく起きますが、腎はそれはほぼありません。
弱る、一択。
そして、さまざまな理由で弱ります。
例えば、年齢。それから妊娠・出産。睡眠不足。甘いものの食べ過ぎ。房事(性交)過多。子宮摘出などの骨盤内の臓器摘出。

腎が弱るというのは、腎の中の「陰陽」が減ってしまうというイメージがわかりやすいかと思います。陰陽というのは2種類の対極な特徴を持つエネルギーと捉えてもらうといいでしょう。
そして、腎の陰陽どちらが減っても、腰痛は起こります。(症状の感じ方が若干違う)

私の場合、年齢は40代後半に差し掛かり、そんな年齢で妊娠・出産。
産後は1年半毎晩、夜間授乳があるのでゴリゴリの睡眠不足。
最初の3つをクリアしています。腎がめちゃくちゃ弱っているのです。
そして、そこへ寒邪の侵入。
寒邪は「凝滞・収引」の他に「陽気を損傷する」という力を持っています。これが腎で発動。
つまり、もともと弱っていた腎の陽気が、寒邪の侵入によって一気に減らされる、という現象が私の腰で起きたわけです。
普通の生活をしていると腎の陽気は中々補充されませんし、今は寒いので寒邪の侵入は続き、腰痛は長期化するという仕組みです。

これが冬に腰痛が増える仕組みの2つ目。
そして、もう一つ、直接ではないのだけど、間接的にあるかもしれないものが、今回の私の腰痛のベースにはありました。

関連記事:腎について

そもそもの脾虚

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