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映画【TENET テネット】 超絶時間逆行体験!

「素晴らしい!この時間表現はまったく新しいッ!」

昨日劇場公開された「TENET」。早速観てみました。結論から言うと、とんでもない映像体験の連続で「最高!」の一言です。

観た後も、各シーンの意味や、物理現象のメカニズムをアレコレ想像して楽しめます。

一回観ただけでは全てを味わい尽くすことがほぼ不可能な作品ですので、観る人を選ぶかもしれません。しかし、映像を観るだけでもこの映画が唯一無二で、新しいことに挑戦していることがわかります。

この映画の凄さをご紹介します。

TENETとは

ウクライナのオペラハウスで、突如としてテロ事件が発生。現場に突入した特殊部隊に、ある任務を帯びて参加していた“名もなき男”は、大量虐殺をなんとか阻止したものの囚われの身となる。仲間を救うために自殺の毒薬を飲む決意をする主人公。しかし、その薬はいつの間にか鎮静剤にすり替えられていた。目覚めた男は、死を恐れず仲間を救ったことで「テストに合格した」と告げられる。謎の男から未来の技術「時間の逆行」を使い、未来に起こる第3次世界大戦を防ぐというミッションにスカウトされる。混乱する男に、謎の男は「TENET」という言葉を告げる。果たして、男の運命は、未来の世界大戦とは何なのか、男は世界を救えるのか。

https://youtu.be/77Wu1ZF_hZc

クリストファー•ノーラン監督による「ダークナイト3部作」「インセプション」「インターステラー」「ダンケルク」に次ぐ3年ぶりの作品。

「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描いたスパイアクション。

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TENETのココがスゴイ

1.「時間の逆行」という新しい映像体験
まずは何と言っても新感覚の映像体験。この映画で描く「時間の逆行」はタイムスリップのような瞬間移動ではなく、地続きで時間が戻るということ。この地続きという所がすごい。逆行する主人公の視点では、逆回しする世界を生きることになります。順行時間と逆行時間を一つの映像で表現しています。

「並行世界」や「パラレルワールド」ではなく、同じ世界の同じ時間に自分という存在が2つ共存するという関係を視覚的に表現しています。これは映像的にはかなりハードルの高い挑戦であり、観客からすると超絶な新体験となります。

壁やガラスの弾痕から銃口に弾丸が戻るアクションは奇妙でユニークです。百聞は一見に如かず。ぜひ劇場で体験いただきたいです。

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2.時間逆行の伏線回収の魅力

時間をテーマしにした映画といえば伏線回収がその魅力の一つ。この映画もその魅力がありますが、ひとひねり加えています。時間逆行中には物理法則をベースにしたいくつかのルールがあります。その一つがマスク。逆行中は普通の呼吸ができなくなるという設定になっています。

このマスクが映画をより盛り上げるツールになっています。ストーリー上マスクの男に助けられたり、戦ったりしますが、マスクゆえにはじめは誰かわかりません。それが誰だったのかを後のシーンで回収していく伏線回収の楽しさがあります。

設定と脚本と小道具がうまくかみ合わさって謎解きの魅力を高めています。

ちなみにタイトルのTENETも順行と逆行、どちらから読んでもTEN。何のTENなのかは観てのお楽しみです。

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3.「名も無き男」という設定

この映画、主人公は人物描写がほぼありません。どんな過去を持っていて、どんな素性なのかはほぼ描かれていません。その極め付けが名前が無いこと。主人公なのに、そんな映画ある?と思うのですが、斬新すぎる設定です。パフレットを読んでも終始「名も無き男」と表現されてます。

これは観客をミッションに集中させる狙いもあります。人物への感情移入よりも、映像の新しさと困難なミッションをいかに達成するかに観客を集中させてくれます。

そんなややこしい役所を演じるのはジョン・デイビッド・ワシントン。元プロのアメリカンフットボールの選手であり、お父さんは実はあの名優デンゼル・ワシントン。アカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務め、今作が主演2作目。素晴らしい演技で映画全体の質を高めてくれています。

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4.超絶難解アクションの連続

時間が順行する人と逆行する人が共存し、かつその2人が殴りあったりするのでとんでもなく複雑な格闘シーンがあります。

また、カーチェイスシーンや最後のミッションも同様に順行と逆行が共存するので、初見ではあまりの複雑さに何が起こっているのかを把握するのはほぼ不可能なレベル。ただただ奇妙で斬新なアクションに圧倒されます。

こうしたシーンは後から見直したり、どうやって撮影してるのかを想像したり、一度観た後でも余韻を楽しめる要素にもなります。

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5.「理解しようとするな、感じろ」

この映画、とにかく「理屈」が複雑です。「時間の逆行」「来るべき第三次世界大戦」「それがなぜ起こるのか」「黒幕の狙い」など、少ない情報で物理学的に見ても極めて難解な要素を膨らませながらストーリーは展開します。

エントロピーなど物理の授業に登場した物理法則によって現象が説明されますが、主人公もはじめは頭に「?」状態です。もちろん観客も。そんな時にある人物が言うセリフがこちら。

「理解しようとするな、感じろ」

ブルースリーの教えのようなこの言葉。これは私が思うに監督から観客に向けられたメッセージのように思います。

ストーリーはある程度の物理法則を土台に組み上げていて、荒唐無稽なSFアイデアをリアルな映像で表現しています。そこにはただただ脱帽するのみですが、「そんな難しいことは考えずに、感じて楽しんでね」というノーラン監督からのメッセージだったのかなと思います。

また「知らない事が武器になる」という考え方もこの映画で貫かれているテーマ。なぜなら知ってしまうと行動が変わり未来が変わるから。これは観客にも言えます。この映画は初めから予測もできないし、知らないままで見たほうが面白い設計になっています。「よく分からなかったなぁ」という感想を抱くと思いますが、そういう感覚を楽しんで欲しいという事だと思います。

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まとめ

時間をテーマにした映画はこれまでもありましたが、「時間の逆行」というテーマをスパイアクションで表現した今作は極めて稀有な作品です。

ノーラン監督は007 を撮りたがっていましたが、ようやく撮れたスパイ映画ということもあり、その熱の入り方は半端ではないです。

以前インタビューでノーラン監督が語った中にこんな言葉があります。

「全ての映画がそうあるべきだとは思わないが、映画の醍醐味は感情が揺さぶられる体験だ」

「時間の逆行」という、現実では起こり得ない事象を映像化するのは並大抵の努力ではありませんが、それだけに観客は1シーンごとに感動します。それはまさに感情が揺さぶられる映像体験。

ぜひこの4連休に劇場でお楽しみください。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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最後にもう一言。この映画、見終わった後にパンフレットを買うことをオススメします。ストーリーのプロットを再度追えて、物語の理解度がグンと上がります。仮説の答え合わせができ、謎が一つ一つ解けていく楽しさがあります。また、物理現象の仮説なども盛り込まれていて読み応えがあり、映画そのものの価値を上げてくれる一冊です。900円は決して高くはないでしょう。オススメです。

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