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どのくらいの難易度なら人はチャレンジするのか? 挑戦意欲を高めるメカニズム

「求められているレベルが高すぎると思うんです…」

先日、知人と話をしていてこんな言葉を聞きました。自分のレベルに合っていない仕事を求められているようで、モチベーションが低下している状態でした。

仕事は簡単すぎるとハリがなく、自己成長も望めませんが、難度が高すぎるのも問題です。彼のように、途方もなく高いレベルを求められていると感じてしまうと、むしろやる気が失せてしまいます。

チャレンジは人を成長させますが、その難易度をどうコントロールすれば良いのでしょうか。自己効力感の視点で考えてみます。

自己効力感(セルフ・エフィカシー)

自己効力感とはセルフエフィカシーとも言われ、自分で設定したゴールに自分の力でたどり着けると信じることができる度合いのこと。

「自己効力感」に似た言葉で「自己肯定感」がありますがこの二つは異なります。自己肯定感はありのままの自分を認める、自己の存在を肯定するということ。

自己効力感の方がより具体的です。目標・ゴールを自分で決めて、自分で達成する。自分で決めるので、達成もしやすく、達成を繰り返すことによって自分を信じる度合いが高まります。自分を信じる、つまり「自信」が高まっていきます。

ただ、高い目標があれば誰もがチャレンジするわけではありません。たまに「目標は高ければ高い方が良い」と聞きますが、それは正しいわけではなさそうです。

自己効力感については以前記事にまとめたので、そちらも参考ください。

https://note.com/yawarakamegane/n/nbd83d09621f6

意欲のメカニズム

意欲を強く感じるためには「自分はこれをきっとやり遂げることができる!」という自信を持つ事が重要となります。

それこそが自己効力感ですが、これは実は二つの要素で成り立っています。

社会的学習理論や自己効力感に関する研究で知られる心理学者バンデューラ氏による自己効力感理論によると、人が何かにチャレンジする時、実は2段階に分かれています。

1段階目:人が行動をする
2段階目:行動した事が結果につながる


これら2つのステップそれぞれで「期待」があるといいます。

1.効力期待
人が行動をする時に「自分がその努力を実行できるのか?」ということに対する確信のこと。要するに「自分にやり切れるのか?」ということ。

2.結果期待
行動した時に「その努力をしたら成功するのか?」ということに対する期待感のこと。つまりは「これでうまくいくのか?」という見通しのことを指します。

実はこの2段階の「期待」が両方揃わなければ人はチャレンジをするという行動に移りにくいのです。

冒頭の彼の言葉は2の「それをやれば確かにうまくいくだろう」という結果期待は信じられるけど、「でも自分にはできなさそうだ…」という1の効力期待が欠けているケースと言えます。

勉強でも、例えば「毎日20時間勉強し続ければ東大に合格できる!」と言われても、「いやいや、そりゃ無茶でしょ…」と思ってしまうとモチベーションは上がりません。

「自分にはこれができる!」、そして「これができれば努力は報われる!」この両方が揃わなければ人はチャレンジできないということですね。

意欲を高める方法

高すぎる目標は意欲を削ぐ結果になってしまう事がわかりましたが、ではどうすれば意欲を適度に高められるのでしょうか。

その解決策が、「意欲の分割」です。つまり、一気に富士山の頂上を目指さないということ。5合目から6合目、6合目から7合目と目標を分割しタイムスケジュールを組んで、それぞれをこなしていくイメージです。

漠然とした大きな目標を目の前にすると、冒頭の彼のように自分の力量と比べて愕然とし、自己効力感を育みにくいです。

しかし、タスクを分割する事で、「ここまでできたら次に進める」そして「ここまでなら自分にもできる」と小さなタスクへの意欲を高め、それを繋げていく事で大きなタスクにも取り組む事ができます。

こうしたタスクの分割、意欲の分割は日々の動きに落とし込むと「今日は全部クリアできた!」という達成感を何度も感じながら毎日を進むことになります。このプロセスは正に自己効力感を少しずつ高めていくプロセスと言えます。

階段を少しずつ上がっていく事で、はじめは途方もなく高い目標に思えたものが「あと半分!これなら自分にも達成できる!」とモチベーションをマネジメントしていくことができます。


まとめ

勉強、スポーツ、仕事、あらゆる分野で日々みなさん何らかのチャレンジをしているのではないでしょうか。

高い目標は学びと成長の機会を与えてくれますが、時にあまりに高い目標に途方に暮れるケースもあるかも知れません。

そんな時は、意欲やモチベーションは2段階構造になっていること。つまりそれは「効力期待」と「結果期待」に分かれていてそれら両方が揃わないと高いモチベーションで行動できないことを知っておきましょう。

そして「自分にできる!」「この努力は報われる!」と感じれるまで目標を小さく分割する事が大切です。

自分で難度をコントロールしながらスモールステップの挑戦意欲を維持し、日々自己成長に取り組んで行けるといいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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