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「恐怖の報酬」画を映す、これこそが映画…

これまで4,000本以上の映画を観てきた中で、コレはスゴイ!という作品を記録していこうと思う。

中でも没入感の強い、マインドフルな状態にさせてくれる作品にリスペクトを感じる。

その第一本目がコレ。

「恐怖の報酬」

これはもう、とんでもない映画体験。

もう、凄すぎ。
もう、渋すぎ。
そして、怖すぎ。

ここ数年で観た映画が全部吹いて飛ぶほどの強烈なトラウマ体験。(良い意味で)


「恐怖の報酬」とは?

あらすじ

4人の悪人が行き着いた最底辺の場所。そこから逃げ出す為に高額な報酬の仕事に命を賭ける。僻地の火災を止めるため、ニトログリセリンを積んだトラックでジャングルを疾走する。 はたして4人は無事火災現場に到着するのか!?

1977年に作られた作品のデジタルリマスター放映。完全版は2018年日本初公開。
自分と同い年の43年前に産まれた作品。
なのに、古さを微塵も感じないパワーと狂気とリアリティ。

ウィリアム・フリードキン監督は『エクソシスト』、『フレンチコネクション』を撮った巨匠。小津安二郎や黒澤明にも影響を受た映画人。その彼が最高傑作と断言した今作。コッポラの『地獄の黙示録』に並ぶ衝撃の作品だと思う。


この映画のココがスゴイ!

この映画、現代の映画と決定的に違う点がいくつかある。

1.画力の強さ

もちろん当時はCGなどない。
つまり、映像化されている画は実際にカメラの前で起こっている「現実」。

吊り橋のシーンは生死のギリギリの極限状態。
よくもこんなシーン撮れたな、と観た後も信じられない気持ちが今も残る。


2.説明の少なさ

この作品に、過度な演出はない。

セリフも少なく、仕草と表情で語る。
その表情から感情を想像し、没入する。

これは説明しすぎでバカ丁寧な現代の映画と全く思想が違う。
想像する余地は深みがあり味わい深い。


3.画がとにかく汚い

不衛生な環境をこれ以上ないリアリティで表現している。

登場人物は常に汗まみれ。泥まみれ。

極限状態を役者がマジで生きている。
演技を超えた、説得力と緊迫感がある。


まとめ

CG全盛の今、改めて見直したい至高の一本。

画力の強さ、圧倒的リアリティで観る者に、現実を突きつけるシリアスドラマ。

いろんな大人の事情で公開されてなかったが、40年以上の時を経て、日本で上映されて本当に良かった。

普通40年も前のお酒にはそれなりの値段がつくもの。
でも、映画は通常通り1800円…。
時間の付加価値が乗るのであれば、もっと高い値段がついてもおかしくないと思う。

「画」を「映す」、それが映画。

改めて映画の面白さを気づかされた。

これまで観た中で間違いなくトップ5に入る好きな映画。

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