_三人孫市_書影_おびなし_

【予習】8/22頃発売「三人孫市の世界」④

【PR】

 はい、ついに四回目ということで、盛り上げてまいりましょう。
 第四回目の「三人孫市の世界」は、本書を彩る宗教についてです。

 実は本書、かなり「宗教」が話に関わっています。
 とはいえ、現実に雑賀庄にあった問題というよりは、かなりフィクションの味を強めているのですが……。
 歴史上の雑賀庄はかなり早い時期から一向宗の影響下にあったようです。孫市が石山本願寺に加勢するのもそうした背景があるからなのですが、本作においては、一向宗の流入期をかなり遅くし、戦国中期の後半ごろに設定しています。その代わり、本書においては「鴉信仰」という信仰があったという風に設定しています。
 本書で描かれる「鴉信仰」はほぼフィクションですが、実は元となる信仰はあります。熊野三山の一つ、熊野本宮神社では、八咫烏を神使としており、そことの関係か、孫市は実際に八咫烏を旗印にしていたりします。このイメージから、

 旧来の宗教=在来のもの =鴉信仰
 新宗教  =流入したもの=阿弥陀信仰

 という二つの信仰が並立し、せめぎ合う雑賀庄の姿を描き出しました。
 実を言うと、今回かなり強化をしたのはこの辺りの信仰のありようでした。単行本版では少々この辺りの並置がうまくいかず、結局投げっぱなしになってしまった面もありましたので、最後まで二つの信仰がせめぎ合う図に変更しています。

 また、この二つの信仰の間に立つ人物として、さやという登場人物を創出しました。
 鴉信仰を執り行う巫女にして、二つの信仰のシーソーゲームに翻弄される女性です。実はこのさやの存在が、やがて雑賀庄に小さな亀裂を生み、やがてそれが修復不能な大きな傷となるのですが……おっとっと、ネタバレはこれ程度で。

 といったわけで、パワーアップしてます「三人孫市」、発売まであと2~3週間といったところです。何卒よろしくお願い申し上げます。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?