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『小説 西海屋騒動』関連

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今日(7/26)は幽霊の日ですよ

今日(7/26)は幽霊の日ですよ

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 タイトルの通りですが、今日は幽霊の日です。

 いや、かくいうわたしも、今日初めて知りました。
 なんでも、鶴屋南北『東海道四谷怪談』が初めて公開された日が7/26とのこと。なるほどー、それは確かに幽霊の日ですわ。
 夏と言えば幽霊。幽霊と言えば夏。夏の風物詩を作ったなんて、なんとお岩さんと鶴屋南北は偉大なことか。

 というわけで、現代の戯作者たるわたしたちも、先人が作ってくれた歳

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑯結局、誰もが悪党なのだ

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑯結局、誰もが悪党なのだ

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 本作を書いている最中、わたしが強く感じたのは、「誰もが悪党なのだ」これにつきます。
 原典において割と善玉風に描かれている人物も結構深刻な前科持ちであったりしますし、悪玉と呼ばれている人々も、シチュエーションなどを考えてやると「こうなっちゃうのはしょうがないよね」と思わざるを得ないだけのなにかがあります。
 もちろん、だからといって、彼/彼女らの行いが免罪されるわけではありませんけど

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑮本作、悪のにごこり、九兵衛

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑮本作、悪のにごこり、九兵衛

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 本作において、一番の悪役は誰か。
 かなり難しい質問なんじゃないかと思います。
 慶蔵? お蓮? 理吉? いや、どれもしっくりこない気がするのは、結局本作に出てくる三人は、なんとなく「悪であること」に最後は倦んでいるような気がするからです。
 わたし自身、本作を書くに当たり、徹底的に悪役として書いた人物はいません。各人が各人なりの弱さを抱え、その中で悪に身を染めていった人々でした。

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑭お柳の父母、辰五郎とお山

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑭お柳の父母、辰五郎とお山

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 今日ご紹介するのは、ヒロインであるお柳の父と母であり、一時は理吉のことを雇い入れていた辰五郎とお山の二人です。
 この二人はあるときから高崎で居酒屋(煮売り酒屋)を始めて繁盛させており、一時は理吉を雇い入れるほどには店が上手くいっていたようでした。ところが、やがて辰五郎が博打にハマったことでどんどん家運が傾き、ついには店が潰れるか否かのところまで行ってしまう……というのが原典の流れで

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑬理吉の父と母、志村屋太平と美津

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑬理吉の父と母、志村屋太平と美津

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 拙作における主人公、理吉の父と母に当たる志村屋太平と美津についてなのですが……。いえね、もちろん原典には登場しますし、太平については台詞もたくさんあるんですけどね……。実は、二人ともあまり扱いが大きくない印象があります。
 それもそのはず、この二人は九紋龍の新吉と黒旋風の理吉の親、あるいは青春時代を用意した二人、という印象しかありません。原典でもその扱いは粗略なものでした(とはいえ、

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑫原典には登場しない登場人物・定丸

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑫原典には登場しない登場人物・定丸

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 さて、『小説 西海屋騒動』には、一切原典に登場しない人物がいます。チョイ役でいえば、川越宿のやくざ、血染めの又兵衛は一切登場しません。あれは、やや原典では分量が少なかった魯心編を膨らませるための一エピソードで、やられキャラ以上の意味はありません。
 ところが、ストーリーに大きく影響を与えている人物で、かつ拙作でしか登場しない人物がいます。定丸です。本作においては、幼少期の理吉に博打を

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑪理吉の兄、九紋龍の新吉

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑪理吉の兄、九紋龍の新吉

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 さて、今回は本作における主人公の理吉の兄である新吉についてです。

 それにつけても、原典を読んだ上で訳がわからないという意味では、この新吉の右に出る者はいないかも知れません。

脇本陣の長男に生まれるもやくざに憧れ彫り物を彫ってしまう わかる
親、それを嘆きながらも家に住まわせる         まあわかる
ある日やってきたお坊さん(魯心)に棒術を学ぶ     まあわかる
突然江戸

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑩キーマン・花和尚魯心

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑩キーマン・花和尚魯心

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 理吉を主人公にした『小説 西海屋騒動』において、特段目立った地位を占めるのが花和尚魯心です。
 色々あって高崎の奉公先から逐電し、その途中、騙されて身ぐるみ剥がされた理吉を救い、一時の宿を与え、さらには理吉のために勤め先まで紹介するという、あまりにも人がよすぎるお坊さんです。
 けれど、実は彼には秘密があるのですが……。
 実は原典ではこの辺りの因縁は一切隠されずに語られていきます。

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑨原典のほうが烈女、お蓮

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑨原典のほうが烈女、お蓮

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 原典『西海屋騒動』『唐土模様倭粋子』において、特に印象を多く残すのが、慶蔵の情婦にして妻であるお蓮でしょう。
 そう、原典のお蓮は、とてつもない烈女なのです。
 原典におけるお蓮は、かなりの活躍を見せます。
 経歴は『小説 西海屋騒動』に描かれるとおりですが、そちらのほうではお蓮は男に寄りかかり、己の人生を開こうとする女でした。しかし、原典においてはかなり積極的に自ら幸せを奪い取りに

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑧原典ではしれっと悪事を働く女、お柳

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑧原典ではしれっと悪事を働く女、お柳

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 原典『西海屋騒動』『唐土模様倭粋子』において、主役級なのに今ひとつ影が薄いヒロインといえばお柳でしょう。
 三大主人公の一人である理吉の女なのに!
 この人物、とにかく薄幸です。
 高崎にある居酒屋の娘として生まれるも、奉公にやってきた理吉に感化されて十歳にして博打の味を覚え、十四くらいまでには理吉と男と女の関係になってしまいます。そして、色々あって理吉とともに駆け落ちを決意するも、

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑦慶蔵という「悪の雛形」

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑦慶蔵という「悪の雛形」

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 原典「西海屋騒動」「唐土模様倭粋子」にて、理吉を主人公に置いた場合、その前に大きな壁として立ちはだかるのが慶蔵です。
 原典においても、慶蔵は重大な意味を持つ登場人物です。何せ、タイトルにもなっている「西海屋」の乗っ取りを画策し、事実成功する男なのです。
 原典は、いくつかのストーリーがこんがらがって成立しているのですが、大まかに、この三つのラインに分類できます。

・理吉の人生

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1/26、本日『小説 西海屋騒動』(二見書房)発売日です

1/26、本日『小説 西海屋騒動』(二見書房)発売日です

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 本日が発売日です、ひゃっはー!
 といいつつ、数日前から店頭に並べてくださっている書店さんもちらほらあるのであんまり発売日という感じはしませんが、それにしても発売日はどきどきします。

 そして発売日、谷津はあることに気づいてしまったんですぜ。

 今、落語ブームのただ中です。
 もちろん出版もそのブームに目をつけないわけはなく、有名演目の解説書なんかも出回っていますし、落語をネタに

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑥主人公にした理吉という男

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑥主人公にした理吉という男

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 さて、一応明日辺り発売ですが、早くも店頭に並べてくださる書店さんも出てきている『小説 西海屋騒動』(二見書房)です。皆様、お見つけ次第ゲットしてくださいね。

 喜久屋書店仙台店さま、ありがとうございます!

 さて、ここでそろそろ、『小説 西海屋騒動』の主人公である理吉の話をしようと思います。
 ここから先、ちょっとネタバレがふくまれているので、もし中身を知らずに読みたいという人は

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1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑤女の話

1/26発売『小説 西海屋騒動』(二見書房)はこんな話⑤女の話

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 本作には「女」が多数登場します。
 皆、登場人物の妻や恋人という位置づけで現われているのは原作に準拠したからですが、それにしても、原作に出てくる女たちは、時に男たちよりもどぎつい色彩をでもって作品の中を飛び回っています。
 特に本作の中ですごい女といえば、「お蓮」でしょうか。
 この人物は本作『小説 西海屋騒動』主人公である理吉の憧れる、西海屋主人代行の慶蔵の妻に当たる人物です。しか

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