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第1話: 俺は矢口八虎。ただの一般人。

お前らと何も変わらない、ただの一般人

俺の名前は八虎。

23歳で、これから社会に出ようとしている。

藝大で4年間。留学で1年間を過ごしてきた。

春からデザインの会社で働くことになっている。


「藝大に行くってすごいね!」「藝大出身って天才じゃん!」


こんな言葉をたくさん言われてきたが、別に美大出身の奴らなんて、たくさんこの世界には溢れているし、俺からしたら、俺にはできないことができるお前らのほうがすごいと思うよ。

ただ、俺は俺らの世代からしたら、少ない美大出身という枠でしかない。

もっと藝大や美大にはこいつにはなれないって思う天才がたくさんいる。

つまり、何の変哲もないいわゆる一般人のうちの1人だ。

最近、左ききのエレン っていう漫画が流行っているし、俺もそのファンの1人だ。

俺はあの中で言えば、天才になれなかった者だ。

ずっと高校生のときに絵を描き始めてから、俺は天才ではないということはわかっていた。

「天才」に憧れを抱きつつも。

でも、これだけは自分の中で心に留めている言葉がある。


「1位の絵じゃなくて、矢口の『最高の絵』を目指さなきゃね」


受験時代の予備校の先生からの言葉だ。

隣の芝が青く見えるなんて、よくあることだ。

でもそこから俺なりの納得解を出せるか、それが俺にとってこれからもずっと持ち続けていくこと。

一般人であろうが、俺は矢口八虎だ。

矢口八虎の第3章。

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