バビロンのデイライト(第1章の10) (連載最終回)
突如、「四十八時間」(すでに一時間が経過)という命の宣告を出され、「やべえ!」と発奮するかと思いきや、町田は小便を垂らし、何をなす気にもならなかった。
彼としても死ぬのは怖い。しかし、「死への回避」は仕事へのモチベーショントリガーにはなり得ない。同期の小田原君は勇ましかった。彼は自分の意志で産業スパイを試み、そして死んでいったのだから。それに引き換え、俺はなんて情けないのだろうか。仕事ができない、ただそれだけのために死んでしまうなんて。
町田はしばらく恐怖から小便を流