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バビロンのデイライト(連載小説)

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「バビロンのデイライト」という長編小説の、第1章のみを全10回に分けて連載いたします。
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2018年5月の記事一覧

バビロンのデイライト(第1章の8)

 実は明日、と代々木上原課長が言った。  明日には発表になるが、ドライムスについて、重大な発表がある。その発表は、あまり好ましからざる方向のものだ。/欠陥ですか?/いや、正式には製品の欠陥ではなく・・・製品の話でもなく・・・どこかの偉い教授が、非公式に、ドライムスについて発表することになっている。社長が昨日、リークしてきたのだ。  代々木上原課長は重々しく言ったが、話が抽象的に過ぎたために、何を言っているのかまったくわからなかった。それは、彼がほぼ何も知らない、ということを

バビロンのデイライト(第1章の7)

 お前え、きちんと俺たちの言ったことを会社に報告しろヨ。/ペガサスだかなんだかしらん・しらん・知らんが、ドライムスが「根」に干渉するのはよくわかっているんだぞゾゾ。調べべべべべがついてる。ついてる。ついてる。/何も知らんとノコノコ来やがって。ウスノロ。/あんたらが、今からそれを発表しようとしてるんだから、それは周知の事実・事実・事実ダ。/いいから黙って「根」を生やして、あいつら、マフィアの奴らを、追い出すのに黙って協力しロ!  いいか。  動くのはお前だ。  お前は単独犯だ

バビロンのデイライト(第1章の6)

町田はこの話を神妙な顔をして聞いていたが、それがどのように自分の仕事に結びつくのか、いまいちピンときていなかった。彼は、商工会議所のおじさんたちの誰かがつづいて口をひらくのを待っていた。しかし、そこにあるのは静寂であった。誰もしゃべらない。おじさんたちは、自分の言いたいことを言ってしまったので、すっかり満足してしまっていた。 狛江氏は、次は町田の喋る番であるということを沈黙のうちに促していた。 つまり・・・と町田は言った。私は何を協力すればよろしいのでしょうか? 「根」