見出し画像

褒めてあげても?

既に周知の通り、ソフトバンクGが、肝いりの買収案件であった、半導体設計大手のARM社(2016年当時買収価格3.3兆円程度)を、米エヌビディアへ売却を決めました。以前の投稿で『売却しきるのも経営陣の能力』と私も書いておりますので、まずは孫さんに拍手!!って思っています。

2016年に買収した際には3.3兆円という規模から、あまりにも高値である、という意見もありましたが、2020年の売却時は最大1兆円程度は上回る水準で売却合意にたどり着いたわけです。

エヌビディアは契約時にアームに20億ドルを支払ったうえで、その後、ソフトバンクGと10兆円ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」に現金100億ドルとエヌビディア株215億ドル分を支払う。さらに業績に応じ対価の一部を後払いする「アーンアウト」として、最大50億ドルを現金かエヌビディア株でソフトバンクGとSVFに支払う。アーム従業員に対し15億ドル相当の株式報酬を付与する

下記記事や投稿にもあるように、売却になった動機はいくつかあると思いますが、これだけあれば個人的にはそれなりにConvincingかな、と思います。
①ソフトバンク自体も米中対立によるARM社への注力をシフトする必要が出てきたこと。(最大の半導体消費が予想される中国で、ファーウエイなどもしかしたら使用できないかも?)
②Weworkなどにより既に悪化していたが、更にコロナショックでパフォーマンスが悪化していたSVF(ソフトバンク・ビジョンファンド)のリカバリーにもなり、
③ARMの業績もそこまで芳しくなく、加えてARMチャイナにおける経営陣の対立(そして中国政府側が結局は勝ったわけで)
④IPOマーケットは出口戦略として常に存在するオプションでしょうが、この度は買収側の株(成長株)も一部貰いながら、結果的には高く売却できるという事情

今後の注目は、1)各国独禁法当局の反応(中国を含む)と2)ソフトバンクGとSVFの今後だと思っています。1)に関しては、孫さん自身はどうしようもない点が多いですが、2)については投資会社として、大株主の孫さんが、親子上場とかの批判を無視して、MBO(経営陣による企業買収)をするのか。そうでなくても、中アリババの一部売却、通信会社の売却(米スプリントの売却や日ソフトバンクの一部売却)とARMの売却が済むと、アリババ、日ソフトバンク、Yahoo JapanみたいなZHLD(でもNAVERと一緒になるか)という、これといった大規模な投資先?がなくなるわけです。

孫さんのことなので、ヘッジファンドのような単なる上場株式取引で収まらないでしょうし、昨今の多くの売却を通じて創造された現金を元に、次の大きな投資機会を探しているでしょう(もしかして、インドや東南アジア系かも)。その孫さんの心の中の”次”が、私にとっては楽しみです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?