東芝から見る、株主と会社との距離

2005-6年あたりによくメディアで名前が出た、村上ファンドを率いていた、元通産省官僚の村上世彰氏(その時の簡単な流れは下記をご覧ください。)また村上さんの思いや考えが下記の本『生涯投資家』に書かれています。またオリラジの中田さんもこの本の要約されていますので、ご覧ください。

ここからが本題です。その村上さんの思いを彼の仲間たちが貫き、コーポレートガバナンスの名のもとに、日本の本丸的な大企業の取締役交代の一歩手前まで来ている、ということで象徴的と思い、書いてみます。

去る2020年7月31日、東芝の株主総会で車谷社長兼CEOが選任されましたが、その賛成比率が58%であったとのこと。これはかなり低いです。そして、『エフィッシモ・キャピタル・マネージメントの創業者で役員の今井陽一郎氏が、43%の賛成を集めた。』とのこと。

エフィッシモキャピタルは村上ファンドにいた社員が作った、コーポレートガバナンス推進に重きを置いた、アクティビストファンドの運営会社です。そして上記リンクにもあるように、ここ数年でいくつかの企業(川崎汽船やリコー等)にも投資をして、社外取締役も送り始めていました。またレオパレスや東芝機械など、他の会社にも投資をしているようでもあります。

東芝に話を戻しますが、旧東芝の半導体関連事業会社であるキオクシアが2020年に上場?するとか言われており、4割程度を保有する東芝は上場後にキオクシア株の売却を進め、資金を東芝本体への株主へ還元する、と発表していました。(2020年6月22日)またこのことは中国の半導体製造のインソース化の投稿でも話しております。

持ち株会社の株売却で株主還元をする、ということは問題なく、株主に寄り添っている、ともいえるでしょう。正しくコーポレートガバナンス、会社は株主のものである、という村上さんが以前から抱いていた方向に向いているわけです。しかしその株主還元を発表しても、車谷CEO兼社長の賛成比率が低かったわけです。確かにこの度エフィッシモが指摘した問題点は、2019年11月に発覚した東芝子会社での架空取引を通じた企業統治、でありましたが、そうであっても、この状況であった、ということが来る来年の取締役選任はかなり注目が集まるかと。

日本の上場企業の課題として長年言われてきた、企業統治(ESGのGですね)と株主対応(それかステークホルダー対応)。村上ファンド等で15年前に騒がれ日本の企業統治や株主還元という意識が徐々に助長されてはいましたが、この度もまた旧村上ファンドによる大企業改革の波が大きく来るのでは、と思いますし、株主と会社の距離がまた狭まった気がします。

ちなみに変なニュアンスで取られていたら、という意味で、村上さん(村上ファンドを含む)がやったアクションが良かった悪かった、ということでは全然ないと思います。アクションに対して着色はしてないつもりですが、変化を作るきっかけになったことは確かだと思います。

最後に東芝決算に関する他の方の投稿を載せておきます。



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