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第65回:こども家庭庁発足!予算倍増!こども政策の主戦場となる会議とタイミングをおさえよう


1)こども家庭庁で職員の働き方改革がスタート

4月に「こども家庭庁」が発足します。3月7日には、終業後次の勤務を開始するまでの勤務間インターバルを11時間確保するなどの方針を小倉こども政策担当相が発表しています。

国会会期中には、ひとたび質問通告があれば深夜まで答弁をかき、翌日早朝の大臣レクにそなえ、国会会期中以外には法案作成作業などで深夜まで残業をする。そんな官僚の過酷な働き方は今後変えていかなければ、人材をつなぎ止め、新しく獲得することは難しいでしょう。

あまり国民的な関心事ではない本件について、よくぞ大臣ご関心を持っていただけました、という感謝の気持ちもありつつ、これを実現するためには永田町(政治サイド)と霞が関(行政サイド)の仕事の進め方を抜本的に変えなければいけないこともあり、外部からも改革に汗をかく人たちの援護射撃をしなければいけないとも感じています。

こども家庭庁の働き方改革もその一例ですが、こども家庭庁のような新組織の設立があると、これまでになかった政策が大きく動くことになります。
特に4月に新組織が正式にスタートした後は、こども政策の大きな変革が想定されます。どのタイミングで、どの会議体で政策が動くのか、4月の前に一度整理しておきましょう。

2)こども家庭庁設置の経緯

今回のこども家庭庁の設置経緯は、2021年にさかのぼります。2021年1月には以前からこどもに特化した行政組織の必要性を感じていた自民党の山田太郎議員が菅総理に「こども庁」の設置を提案します。

その後山田議員は自民党の自見はな子議員とともに勉強会を立ち上げ、1週間に一度のハイペースで「Children First の子ども行政のあり方勉強会」を開催し(2022年11月までトータル36回も開催しています!)、各界の有識者からこども政策に必要な事項をヒアリングします。
参考:https://www.projectdesign.jp/202107/drastic-reform-child-administration/009561.php
参考:https://www.child-department.jp/

2021年3月には、「こども庁」創設に向けた緊急提言を公表し、4月に菅総理に手交します。5月には第2次提言を出し、のちにこども家庭庁で新たに実施することとなった①Child Death Review:予防のための子どもの死亡検証②子どもにかかわる職種で働く際に犯罪歴確認をする仕組み(日本版DBS)等がこの提言の中で言及されています。
参考:https://www.child-department.jp/_files/ugd/3200a1_78faa026a35b4b8b83d4def98125c8c0.pdf
参考:https://www.child-department.jp/_files/ugd/df1fed_d82a23d8e53442bb81eaeba819190eda.pdf

そして2021年6月の骨太の方針にこどもに特化した行政組織創設に着手することが記載されたのです。

政策を動かすモメンタムとして、官邸の強い意志や議員グループの活動があげられます。こども家庭庁設置への政府の意思決定の裏には、山田太郎議員や自見はな子議員らの議員グループの活動が菅総理を中心とする官邸を動かした構図があったといえます。

(執筆:西川貴清、監修:千正康裕)
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