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ドラマ「しんがり」が熱かった

Amazonプライムビデオで見た「しんがり ~山一證券 最後の聖戦~」というドラマがとても熱かったので紹介したい。

どんなドラマなのか?

これは骨太ドラマで有名なWOWOWの連続ドラマWシリーズの作品だ。

山一證券が破綻(自主廃業)したのはもう20年前になる。大企業の終末期に、会社内の場末とまで言われた内部監査を目的とした部門の責任者となった主人公(江口洋介)とその仲間たちの物語である。

当初は悲観的だったメンバーも徐々に主人公に影響を受け、自ら自社の問題の顛末を明らかにするという仕事を成し遂げるまでを、50分もの全6回、無駄なシーンも殆どなく、ゴールに向かい一直線に進むシナリオは、次を見ずにはいられなかった。

惹かれた点①リアリティ

たこのドラマの最終ゴールとも言える社内調査報告書の実物は、今でも実物がネットで公開されている。下記リンクの

「社内調査報告書 -いわゆる簿外債務を中心として-」
http://kunihiro-law.com/files/open/writing/555d7e5511jn4cpn563ju_pdf.pdf

資料を見ると、その中身はドラマの内容に非常に近い。飛ばし全体図や、社内の極秘の会議がホテルの会議室の領収書から発覚する場面、冒頭に用語解説を添付する辺り、まさに作中のシーンさながらである。

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惹かれた点②主人公のリーダーシップ

「本当の人望とは、その人が何を見ているかで決まる。その人の上司や自分の出世を見ているか、部下や社員全体や顧客を見ているかどうかだ。あの人は明らかに後者だった。」

作中そんなニュアンスのセリフがあった。部下にそう言わせしめるのが主人公である。その他、「惚れてまうやろ」と言わざるを得ない言葉が登場するから是非楽しみにして欲しい。

惹かれた点③「背徳の階段」の恐怖

最終的には2600億円の簿外債務を抱えていたわけだが、もちろん最初からそんなに大規模だったわけではないし、私利私欲のためだったわけでもない。会社と社員とその家族を守る、その大義名分の元当時の経営者達は一段づつ背徳の階段を登っていった。

新卒から山一に入り、一生を山一に捧げてきた優秀な企業戦士だった方々が、企業組織という閉鎖的な世界観の中で歪んでしまった正義感を全うしていく姿を見て、自分だったらどうなっていただろうと恐怖を感じずにはいられなかった。

組織マネジメントにどっぷり浸かっている方に是非見て欲しい

改めて総括してみると、チームや組織のもつ脆さと希望の両面を感じられるドラマだと言える。ドラマの紹介文を見ると、「自己犠牲を優先した人たちの美談」という先入観を持たれるかもしれないが、その解釈でかたづけるにはあまりにももったいない作品だ。

単純にエンターテーメントとして見ると、同じ企業ドラマである「半沢直樹」のようなわかりやすさはないかもしれない。ただ日々組織論やコンプライアンスと向きあいながら、昨日とは違う明日にしようと頑張っているマネジメントの方々には、きっと感じてもらえる何かがあると思う。是非ご覧あれ。



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