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お金のむこうに人がいる――元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門

田内学さんの『お金のむこうに人がいる――元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが書いた 予備知識のいらない経済新入門』を読んだ。

本書の趣旨を簡単に要約すれば、次のようになる。

お金が価値があるという背景には、お金自体に価値があるわけではなく、お金を払えば、他の人に働いてもらえる。人が働くのは、人を幸せにしたり喜ばせいたり、人の手間や面倒を取り除くためだ。これが価値の源泉である。

しかし、この両方向の対価のコミュニケーションをお金に任せると、徐々に人が見えなくなってしまう。お金のむこうに人がいて、誰かを幸せにするために働いているという事実が忘れ去られてしまう。

このようにお金の価値の源泉を考えると、インフレや貿易などに様々な経済にまつわる問題の根源が見えてくる、というようなことが著者が本書で表現したかったことだと思われる。

ただ、私が本書で物足りなかったのは、その上で、何をすればいいのかというような考えがあまり述べられていないことだ。(まだ、完全に本書を消化できているわけではないのだが)

単純に複雑な経済を読み解くための、1つの視点を与えている点でとても興味深いし、示唆があるが、何かしらの原理を提示しているわけでもなく、特定の課題解決を検討するためのものでもなさそうだ。

私はさらに次のようなことを問いたい。

お金の価値の源泉は人が人を幸せにするために働くことがある。

であれば、現代において幸せや、人が喜ぶことは何か?

人が働いて作る商品やサービスで、人が苦労した経験(お金)を払って買うようなものは何か?

そういうものが、なくなっているというのが現代の問題なのではないか?

というのが私の仮説。

次回これについて書いてみたい。





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