見出し画像

「AIESECやってて本当によかった」と思う6つのこと

2021年3月13日、アイセック・ジャパン事務局(MC)主催の「2020年度活動報告会」がありました。その翌日の14日には、アイセック同志社大学委員会(DO)と慶應湘南藤沢委員会(SFC)の合同イベントにて、アルムナイとしてお話させてもらう機会がありました。

久しぶりにAIESECの今に触れて、改めて「アイセック、やってて本当によかったなぁ」と感じました。そこで、社会人をちょうど3年間経験した今、AIESECをやっていてよかったと感じているポイントを言語化しようと思います。海外インターンシップという主幹事業を停止した中で、この組織で活動する意義を考える材料として使ってもらえたら嬉しいです。

AIESECをやっててよかったこと

「AIESECをやっていて本当によかったな」と社会人を3年経験した今、思うことはこの6つです。

AIESECをやっててよかったこと
【1】自分を相対化する視点
【2】プロジェクト立ち上げ
【3】スラム街の友達
【4】チームマネジメント
【5】共通言語をもつ仲間
【6】大規模組織のマネジメント

それぞれ僕自身のエピソードとあわせて解説していきます。

【1】自分を相対化する視点

AIESECやっててよかったなと感じる1つ目のポイントは自分を相対化して捉える思考癖がついたことです。

スライド13

AIESECで活動していると「他LCで、めちゃくちゃ優秀な同期がいるらしい」「2年目でMCにいった化け物がいるらしい」「あのビッグプロジェクトは大失敗に終わったらしい」みたいな噂がよく耳に入ってきます。同い年で、同じ組織に所属していても、まったく異なる次元で挑戦し突き抜けた成果を出している仲間がいることに驚きと焦りを感じる毎日でした。そのため、1600人が所属する組織において、「自分の強みは何か」を捉える視点が身についたと思います。

また、戦略を考えるときも、他社での成功事例、他国での成功事例を一般化して自分のおかれた環境におきかえる思考プロセスが自然と身についていきました。

「社内で自分がオンリーワンと言える強みは何なんだろう?」
「業界内のトッププレイヤーたちは何を考え、何をしているんだろう?」
「海外の産業保健の成功事例で、日本市場に転用できるものはないだろうか?」

ということを、社会人になっても常に考えて行動できているのは、大規模組織内で自分を相対化し、自分に残せる価値を追求してきたからなのかなと思っています。

【2】プロジェクトの立ち上げ

2つ目は、ゼロからプロジェクトを立ち上げ、計画し、完遂して、成果を評価して組織に説明責任を果たす一連の経験を何十回も経験できたことです。

スライド14

大学1年生の頃から、「YP(ワイピー)」と呼んでいた年間活動計画(Year Plan)をプロジェクトごとに作って、四半期ごとの行動計画に落とし込むプランニングを何度もやってきました。最初は「KPIってなに?」「分析ってなに?」「戦略ってなに?」というレベルだったのですが、何十回もゼロからプロジェクトを立ち上げて、KGIを設定し、チームを組成し、戦略推進して成果を振り返り組織にレポーティングするサイクルを経験したことで、プロジェクトを回すスキルが身についていきました。

このスキルは何をやるにも活用できるものなので、学生のうちに失敗も含めたくさんプロジェクトの立ち上げを経験できたのは貴重でした。

画像9

なんか小難しいこと書いてますが、僕自身は海外インターンシップに挑戦する若者(EP)に本気で向き合い支援するAIESECの姿勢が好きで、この価値の再現性を高めたりより多くの顧客に提供したいという想いだけでがむしゃらにプロジェクトを推進していました。

【3】スラム街の友達

3つ目は、スラム街など、異国の地、自分とは全く境遇の異なる世界に、友達ができたことです。

スライド15

当時の自分は「社会課題に興味がない自分へのコンプレックス」がありました。正直、フィリピンのスモーキーマウンテンというスラム街に飢餓で苦しんでいる子どもがいる話を聞いても、2013年に起きたバングラデシュの縫製工場ビルが崩壊した事故の話を聞いても、どこか対岸の火事で。自分ごととしてその痛みを理解できなかったのです。

「悲惨な社会問題は色々あるけど、僕がその問題を解決する意義がよくわからないし、そこまで興味を持てないなぁ。自分はいったいどんな社会課題を解決するリーダーになったらいいんだろう?」

まさにモラトリアムで、悩める10代でした。世界の諸問題について、一次情報に触れている量が少なすぎたからだと考え、AIESECで事業を創る中では現場から生の情報を取ってくることを意識して行動に移すようにしていました。

大学2年生のときに、フィリピンの教育番組制作会社のマーケティングチームで2ヶ月間インターンをしていました。その中で、現地スタッフに案内していただいてスラム街を取材したことが大きな転換点でした。

画像10

こちらがその時撮影した写真です。歩いてたらずっとついてきた3人組。現場のリアルを五感で感じ取ることで、本当にたくさんのことを考えました。

「もし自分がフィリピンのスラム街に生まれていたとしたら、ゴミ山から拾った残飯を今日食べていたのかもしれない」
「自分が日本に生まれ落ちたことに何か必然性はあるんだろうか?」
「自分の方が恵まれているような感覚がするけど、果たしてどっちが幸せなんだろう?」

フィリピンに行く前は考えたこともなかった問いが頭の中で浮かび上がるようになってきました。

画像14

社会人2年目の年末には、AIESECの仲間である、おかりな、くまもん、なつきとインドに行き、日本の廃材石鹸をリサイクルしてジャイプールのスラム街に届けるプロジェクトを手伝っていました。

画像11

この時はがっつりスラム街の中の1つの家庭に入んだことで、支援の難しさを痛感する体験ができました。

「あの国のあの子、なにしてるかな?」

と思える存在が、いろんな国のいろんな場所にいます。もちろん、スラム街に限らず、母国を変えようと挑戦する諸外国のAIESECerたちもたくさんいます。Facebookのタイムラインで自然と近況が流れてくるので、世界がちょっとだけ身近になるのです。

その変化はちょっとだけでも、無関心だった頃とは比べものにならないくらいに、世界の問題と向き合えるようになったなぁと思います。

【4】チームマネジメント

4つ目は、チームマネジメントの経験を積むことができて、社会人になってからも良いチームを創り率いることを自分の1つの強みにできたことです。

スライド17

AIESECは学生団体です。そのため、活動の動機は「お金」ではありません。お金以外の意味報酬(やりがい、楽しさ、承認欲求、権威、好意など)がなければ人は動きません。毎週のチーム定例で「今週進捗なしです。」という言葉を何度聞いたことかという感じです。

そのため、「どうしたら人は動機付けされるのか?」を嫌というほどに考えさせられるのです。家庭環境、思考特性、感情特性、挫折経験、将来の夢など過去の行動事実から推察して人の強みや動機を分析し、その人が一番輝ける環境を創ることに尽力していました。あらゆる自己分析ツールを試して、チームマネジメントの理論や成功事例を勉強して、それを自分のチーム内で試してみる、の繰り返し。お金が動機にならないからこそ、より本質的な人の動機付けを実践的に学ぶことができたなと思います。

社会人になったら、給料をもらっているので人は言った通り動くだろうと思ったらそれは大間違いです。むしろそんなリーダーのもとではチームが崩壊します。

丁寧にチームの1人1人を理解し、「強み」と「機会」をマッチングをして、チームが発揮できる価値の最大化に努めることが大きな成果に繋がります。「この人はこういうタイプだな」と考えるのに慣れていて、いろんなサンプル数を持っているのは若くしてチームを率いる上でとても役に立ったなと感じています。

【5】共通言語をもつ仲間

5つ目は、仲間です。これはAIESECをやって本当によかったと思う最大の価値です。AIESECという共通言語をもった仲間が、世界中で、色んな業界に、色んな年代でいます。「AIESECマフィア」と呼ばれたりしてます。

スライド18

仲間については、2つの価値があるなと実感しています。

【AIESECの仲間の価値】
・「AIESEC」の看板で色んな人に会える(アルムナイになってからも)
・志の同調圧力で、自分もがんばろうと思える

【1】「AIESEC」の看板

1つ目の価値が「AIESEC」の看板です。何かやりたいことに挑戦するとき、AIESECの仲間は無条件に色々協力してくれます。それは共通言語をもった仲間という感覚があるからです。学生時代は面識がなくても「AIESECをやっていた」という事実だけで、会ってもらいやすい、協力してもらいやすいという特権があるなと思っています。至る所で活躍する「AIESECマフィア」に、突然DM送っても無碍にはされないというプレミアムチケットです。

きっと、お世話になった組織への恩返しの気持ちがあるのと、単純に自分と似ていて価値観が合う人が多いから応援したくなるんじゃないかなと感じてます。僕自身も、やっぱりAIESECerから連絡が来ていたら、少し優先的に時間を使いたいなと思ってしまいます。

【2】志の同調圧力

2つ目の価値は志の同調圧力。高い志をもって挑戦する同期や先輩がたくさんいるので、それに同調せねばという焦りがあったり、現役AIESECerと話すたびに若者の純粋なビジョンに感化されたりと、高い志に対する同調圧力が働く環境下に自分を追い込めるのが大きな価値だと感じています。

現役時代に「社会課題を解決しよう」「志を強くもって行動に移していこう」と豪語しまくっていただけに、社会人になった途端に会社という組織に埋もれて、輝きを失うのはアルムナイとしてかっこ悪いと思っていて。だからこそ、定期的に現役のAIESECerと話して、「もっとあの頃の純粋な熱量を思い出してがんばろー!」と自分を鼓舞できるわけです。

Forbesで同年代のAIESECerが載っているのをみかけて「まじか!」ってなったり。プレスリリースを見たりして、挑戦を続けている姿に勇気づけられます。僕はそんなに人脈が広いわけじゃないのですが、パッと思いつくだけでもAIESECerで活躍してる同年代の方がこんなに。

みんな本当にすごいよね。自分ももっとがんばろう!

【6】大規模組織のマネジメント

最後にAIESECをやっていてよかったなと思うことは、大規模組織をマネジメントする経験ができたことです。大学4年でMC(事務局)でさまざまな事業と組織の課題に対して25支部全体を動かしていくことに挑むことができたのが大きかったです。

スライド16

僕はそんなに頭脳でバリューを出すタイプではなくて、AIESECの中だと「やすまさって頭脳は凡人だけど、熱量と行動によって背中で人を引っ張って成果出す人材だよね」という評価でした。そのためMC(事務局)での仕事を始めたての冬NLのときは、バリューがなさすぎて「MC辞めたい」と弱音を吐いてました。

25支部を動かす全社の戦略を立案する上では、スピードも、観点の広さも、深さも、全然出せてなかったので、全く議論についていけずただ無言でずっとログとるだけみたいな感じで。25支部を2軸で切ってプロットし、3×3の9つの分類を作って、9タイプの組織特性ごとにMCとしての支援方法を変えるみたいな議論をしていて、「ほえ〜〜〜、わしSFCのことしかわからんし、そんな神様みたいな視点で組織を捉えてるのね、あなたたちは...!」ってなっていました。本当に。笑

画像15

「こんな化け物しかいチームでやっていけるのか」と不安でしたが、意外とやってみたら何とかなるもので、楽しく挑戦できた1年でした。神様の視点だと思っていたものも、観点は有限で意思決定の本質は大規模組織であろうと変わらないので、徐々に本社から組織全体を動かす感覚がつかめてきました。

スクリーンショット 2021-03-15 18.28.47

当時はブランド戦略・PR戦略で事業を前に進めたいと考えていて、意図的に「尖ったコンセプト」の事業やイベントを創り、社内のニュースを然るべきメディアに届け発信してもらうためのPRの基礎を社内に浸透させていました。プレスリリースの雛形を作ったり、社内教育をしたり、広報物審査のガイドラインを作ったり、実際発生したニュースに対してプレスリリースの原稿執筆を支援したりです。

スクリーンショット 2021-03-14 13.57.45

その締めくくりとして、社内コンペを実施して、電通さんに審査員としてついていただき、全国から集まった事業企画をフィードバックしていきました。「もっとセグメント絞って、尖らせよう」っていうフィードバックをひたすらにして、電通さんの評価の視点も学べて、ほんと楽しかったです。

「PR?ブランド?なにそれ?やる意味あんの?」と言われることもありましたが、信じた道を貫いて1年間やりきったことが、ほんの少しでも組織の今に繋がっているとは思うので、描いたシナリオを現実に変えるため愚直に挑戦してよかったなと思います。

「どうやって経営層の意思決定を引き出すか?」
「どうやって大規模組織の中で課題特定をするのか?」
「どうやって各支部に戦略を落とし込むか?」
「どうやって全体最適な中長期のシナリオを描くか?」

といったことを学ぶ貴重な経験でした。大手企業のリーダー、マネージャー、経営層がたどる思考プロセスを10代、20代で経験している人材は相当レアなんじゃないかな〜と。

AIESECはスタートアップと大手企業のいいとこどり

AIESECは機会の固有性として、「圧倒的裁量権」×「動かすリソースの大きさ」という特徴があると思います。スタートアップと大手企業のいいとこどりな経験をできたのが恵まれていたなと。

スライド19

スタートアップ、ベンチャー企業では、若いうちから高い裁量をつかめます。僕自身も、新卒入社した会社では内定者インターン時代から成果を出していたので、4月から部署を立ち上げて管轄していました。しかしマネジメントできるリソースは小さくなりやすいです。小さな歯車を自ら全力でコントロールして回せる感覚です。自己決定したことが成果と直結するため、学習スピードを早められる魅力があります。人数が少ないので確率論的に「魅力的な上司」「魅力的な同僚」に恵まれる可能性が低いのがデメリットかと思います。

大手企業だと、動かすリソースは大きいですが裁量権は小さくなりがちです。すごく大きな歯車のうち、ごく一部を自分がコントロールしていて、総体としては非常に大きなインパクトを生み出しているような感覚です。魅力的な先輩や優れたノウハウがあり、社会に大きな影響を与える仕組みを学べる一方で、自分で成果を出した感覚が得にくいのがデメリットかと思います。

この2つのいいとこどりをできるのがAIESECです。日本だけでも25の委員会を抱えるNPO法人なので、ある意味大企業です。他の委員会やアルムナイ、他国のAIESECerも含めると、魅力的な仲間はたくさんいますし、先輩たちが残したノウハウも多分に蓄積されています。その上、学生組織であるため、10代のうちから成果を出せば高い裁量をもって経営層やマネージャー・リーダー層に挑戦できるのです。大きな裁量をもち、チームを率いて、自己決定したことが成果としてフィードバックされる経験を大企業に近い環境でできるのがAIESECの魅力だと思っています。

【AIESECで得られる機会の特徴】
「圧倒的裁量権」×「動かすリソースの大きさ」

一方で、中途半端にやってもスタートアップと大企業の悪いところどりな経験にしかならないので、現役のAIESECerにはやってみたいと思ったことに全力で挑戦してもらえたら嬉しいです。

海外への渡航がストップしたことで、海外インターンシップ事業を停止し別の事業への転換が求められている中で挑戦できるのは今しかないチャンスともいえます。ゼロからイチを生み出すのは色んな困難があるかと思いますが、泥臭く仮説検証を繰り返して一歩一歩前に進んでいくことを祈ってひたすらに応援してます!

画像4

クレジットカードを使ってCANPANで寄付する方法をこちらのnoteにまとめているので、ご活用いただけたら幸いです。

なかなか言語化するの難しかったし、いろいろ書いたけど、1番はやりたいことをLINEしたら無条件に応援してくれる仲間を得られたことが何よりの財産ですね。

多くのAIESECerが「アイセック、やっててよかった」と感じているかと思うので、みなさんがアイセックやっててよかったと感じていることもシェアしてもらえると嬉しいです〜。

スクリーンショット 2021-03-22 22.24.31


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?