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【NPO書評】ビジネスに効く対話型アート思考 脳が脱皮する美術館: あなたの知らないアートが最強のチームを作る

昨年の夏、ワークショップに参加させてもらったものが書籍になって出版されました!
対話型アート鑑賞をテーマにした本です。
著者の福島さん、出版社の坂本さん、ご恵贈いただき、ありがとうございました。

人知れず「東京藝術鑑賞金曜夜行倶楽部」というアート鑑賞の会を主宰している身として、アート鑑賞は気になります。
クローズドの体験型のワークショップにお声掛けいただき、参加してみました。
対話型アート鑑賞の仕組みはいろいろあると思うのですが、「障がい者アート」の作品等を真ん中に置いた「対話型アート鑑賞」になります。

本書では、対話型アート鑑賞のことも、障がい者アートのことも、両方学べるものとなっています。お得です。

ビジネスに効く対話型アート思考 脳が脱皮する美術館: あなたの知らないアートが最強のチームを作る
2024/2/9
福島 治 (著)

昨年は2種類のワークショップに参加しました。
いずれも、「障がい者アート」を鑑賞して、ファシリテーターと一緒に参加者のみなさんと作品の印象などをシェアする形式でした。リアルに集まっての鑑賞と、オンライン(Zoom)での鑑賞の2パターンがありました。

ふだんの美術館でのアート鑑賞では多くの作品をいろいろ見て、大量に情報のシャワーを浴びるような感じです。逆に、その没入感が好きです。
対話型アート鑑賞は一つの作品をじっくり見て、他の方の感想を聞いて、さらに作品を鑑賞して、自分が気づかなかった新たな魅力や不思議を発見したりするというのは不思議な感じですね。
他の人と一緒に作業をすることで、自分だけではきづかないものを気づくことができるのはなるほど面白い体験です。まさに、ビジネスのチームビルディングの参考になる仕組みですね。
一方で、普通のアート鑑賞だと、その作家や作品の背景などの情報がどうしてもついて回ってしまいます。その情報を知っている知らないなどの余分な条件がついてしまいます。今回のアート鑑賞では、「障がい者アート」を使用することで、そういった先入観や情報などなしに、純粋にアート作品に向き合って、自分の感想を共有するのがよい仕組みなんですね。自分で感じたままの感想や意見を述べ合えるのは、今の情報過多の時代、すごく貴重な機会です。
この対話型アート鑑賞を繰り返していくと、自分の思考の癖にも気づきそうです。また、他の方の意見やアイデア、印象などを素直に聞くことができるのは、ビジネスのコミュニケーションでもすごく必要なことです。さらに、その中から良いアイデアや見方などは素直に聞いて感心することができるマインド(意識)やスキルも身に着けられそうです。
いやー、奥の深い仕組みです。

本書は、山田が参加したワークショップの様子などを誌面に起こして表現しています。参加した身なので余計臨場感を感じますが、本を読むだけで追体験できる内容になっています。山田もわかるように登場しているので、ぜひ本書で確認してください。

あと、「障がい者アート」の紹介もあるので、とても面白いです。
山田は日本財団時代は福祉を担当していたので、「障がい者アート」の担当をしていたので、懐かしくもあり、新しい発見もありました。面白かったです。
「障がい者アート」に興味がある人もぜひ読んでほしいですね。

さらにこのプロジェクトを進めているのは、あの「シブヤフォント」を開発した方々です。「シブヤフォント」の誕生秘話からの展開の物語もよかったです。すごく、楽しめました。

気になった方はぜひ読んでみてください。
他に、NPO的には、ワークショップなどを独自に開発しているNPOのみなさんは、自団体のワークショップの売り出し方や、紙上体験型の書籍の出版の手法などについても、参考になりますよ。

あらためて、福島さん、坂本さん、素晴らしい書籍をありがとうございます。


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