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転職の6つの基本条件 その2

前回に続き、6つの基本条件の解説です。

3.貯金はあるか、もしも収入が途絶えた時に頼れる人がいるか。 
 
 転職初心の場合、この項目の重要性を分かっている人は非常に少ないと言っておきます。
 その代表例が「親がいるから何とかなる。」と言う人ですが、実はこの程度では考えていることにはなりません。
 転職には必ずリスクが伴うので、自分が思い描くような理想的な転職は、ほとんど望めないのが現実だということを先ずは覚悟しましょう。

 特に実家から離れて就職した人の中には、親には転職することを隠しておいて、決まれば話すという人が比較的多いと思いますが、そんな人こそ、転職活動に入る前に最初に行うべき行為が、生活費の援助依頼です。
 何故かというと、転職活動は一時的に生活費を捻出する術を断つことになり、当然その期間が長くなればなるとほど、生活費は枯渇して行き、次第に焦りが生じるのは、容易に想像できるはずです。
 いざ、本気になって転職活動を開始しても、直ぐに仕事が見つかる保証などどこにもありません。
 ましてや、時間がかかり焦りが強くなれば、その行動は煩瑣でワンパターンになり、返って転職を遠ざけてしまうかも知れないのです。
 従って、最悪の状況を想定し、「もしもの時は生活費を援助して下さい。」と頭を下げておくことは大変重要であり、必要な行為です。

 誰でも最初は、「直ぐに転職できれば大丈夫。」と考えるものですが、大抵の場合は想定以上に長引くのが転職活動の怖さでもあるのです。
 転職のために、誰かに経済的援助を求める行為は、決して恥ずかしいことではありません。(勿論、後でお返しするのは当然ですが。)
 むしろ、自立している大人なら、まずは生活資金の目途を考えて転職のタイミングを図ります。
 最悪の事態になっても人に頼れないなら、はなから転職などは考えない方が良いと私は思います。

 転職するには、ある程度の時間とお金が必要です。時間はともかく、お金の工面が出来ないなら、素直に近親者に頼って転職活動に集中する方が得策です。したがって、自分の貯金の残高や協力者の有無を確認することは、実に大切な行為なのです。

4.次に希望する仕事がだいたい定まっているか。(志望動機が言えるか)
 
 これは、以前紹介した問1「貴方は、転職したいのですか、退職したいのですか?」で、「転職したい」という人にとっては、最も悩ましい問いになります。
 言い換えると、この問いに答えられない人は、実は「退職をしたい人」なのかも知れません。

 転職活動で最も重要なテーマは、次に何をしたいのか、どうなりたいのか、ということであり、それを志望動機として発信することになります。
 一般論として、一度就職している人の志望動機には、初めての時よりも、より明確で強い意志を示すことを求められます。
 この点が、問1で「転職ありきの退職をする人」と「退職したいから転職する人」の差となるのです。

 「退職はしたものの、次に何がしたいのか分からない、しかしとりあえず仕事をしなくては…。」などと考えているようでは、転職活動が長引くだけでなく、後でなぜ辞めてしまったのかと、後悔する破目にもなります。
 しかし、この問いは「だいたい定まっているか」となっているように、ピンポイントで“この会社のこの仕事”とまでは絞る必要はありません。(相手がいることですから…)
 勿論、明確になっているに越した事はありませんが、その分リスクも伴います。
 従って、「次はこんな事がしたい。」「次はこんな自分を目指したい。」と言った具合で近未来を語れるようにさえしておけばよいという事です。
 しかし、その理由が相手に理解されるかどうかは、別問題です。

5.転職活動の中で、前職を辞めた理由をはっきり言えるか。
 
 これこそ、転職ならではの特徴であり、転職を考えるのであれば、避けて通れないのがこの質問ということです。
 これも、本当に転職したい人なら、それほど抵抗感は無いと思われますが、転職はしたいけれど、退職の理由を聞かれるのはちょっと辛いと思う人は要注意です。
 これは、元々退職希望であったが、同時にやりたいことも出来たので、この際思い切って転職しようといった感じの人に多く見られる傾向です。
 さらに言及すると、退職を“逃げの行為”にしたくないので、転職をする事にして退職を正当化しようとする人は、ほぼ全員がこのパターンになります。表向きは転職希望と言っていても、本音は退職希望という隠れ目的のケースです。
 従って、退職の理由としては前述の「退職したい人」の理由と左程変わらないことになり、しかも、そういう事を理由に退職した自分を隠そうとする心理が働いていることが伺えるのです。
 
 実は、こういうパターンで転職活動する人は非常に多く、そのほとんどが長引きます。
 そもそも、なぜ退職理由を聞くのかと言うと、一つには、また次に同じような事が起きれば、この人は辞めたいと考えるかも知れないと不安になるからです。
 例えば、志望動機は明確で力強く言えたとしても、「では、前職を辞めたのは何故ですか?」などと訊かれたとたんに、表情が暗くなり、はっきり言えなくなってしまうケースはよくあることです。
 この様な応募者を面接する担当者は、貴方が前職を辞めたこと自体を、決して責めたりはしませんが、何か気まずい状態のままでは、うちでも同じようになるかも知れないと、不安に思うのです。
 何があったにせよ、それを未だ乗り越えていないなら、もう少し考えて気持ちを新たにして応募して欲しいと考えるのです。
 
 退職理由は、大抵の場合本当に自分が納得して乗り越えたことなら、明るくあっさり言えるものです。
 そういう応募者の場合は、面接担当者も「気持ちが切り替わっており、頑張ってくれるだろう。」などと安心しますし、深い事情までは探ろうとはしないものです。
 つまり、スムーズな転職をしたいなら、退職理由を明瞭簡潔に、精神的にも明るく言える状態にしておくことをお勧めしておきます。
 
 そして、もう一つ、退職理由に関しては覚悟しておかなければならない事があります。
 実は退職理由というのは、今後の人生で予想以上に多くの場面で登場します。
 まずは、現職を辞める過程で、上司や先輩方に、または同僚や親にその理由を話します。次に、転職活動の過程で、履歴書や職務経歴書などに書いたり、面接で言ったりします。
 勿論、場合によっては複数の会社の面接で、同じ理由を繰り返し話すことにもなりますが、これで終わりではありません。
 無事に次の職業を得る事ができても、新しく入った会社で新たな人間関係を築いて行く中では、やはり同じ理由を話さなくてはならない場面もありますし、得意先廻りの最中に、挨拶の場面で取引先の担当者に、前職の事や辞めた理由を聞かれることもあるかも知れないのです。
 他にも、これから出会う人との交流の中で、自分の経緯を話すことなど、何度もあるのです。中には、本当の理由をひたすら隠し、それなりの理由付けで説明できる場面も多いでしょう。
 しかし、もしも貴方が、「こんな理由で辞めたなんて言えない。」と思っているなら、早めに認識を変えておいた方が良いかも知れません。
 そんな時こそ、以前の「人の壁」の中で紹介した「自己開示」が役にたちます。
 もちろん場合によりますが、最初に述べたように、仕事を辞める理由など然程大きな差はありません。貴方と同じような理由で悩んだ末に辞めた人など、世の中には数えきれない程いるのに、あたかも自分だけが、こんな理由で退職してしまった。などと自己嫌悪になることはないのです。
 明るく堂々と、「過去の良い経験談」として話せるよう準備しておけばよいことです。
 自分では考えるには難しいと思う人は、キャリアコンサルタントなどの専門家に相談する事をお勧めします。時には、退職理由も自己アピールに使えることもあります。

6.転職だけが一番の方策であると、他者に自信をもって言えるか。
 
 これは自分自身の気持ちの整理に繋がる問いかけです。
 言い換えると、後で後悔しないための自己点検のようなものです。
 転職活動に入ると、大半の人が途中で「本当に転職したかったのか?他に方法はあったのかも知れない。」などと考え、不安な気持ちになります。
 ある意味、それは当たり前ですが、今更言っても遅いこととなってしまいます。
 転職活動は、意外にエネルギーを必要とします。転職経験者には、二度と転職活動はしたくないと言う人も多いのです。
 なので、転職活動を乗り切るためにも、堂々と転職が最良の方策だと言えるくらいの気持ちになっておいて下さい。

 以上、6つの問い(基本条件)の解説をしてきましたが、事情によっては他にも考えておくべき項目はあると思います。

 まずはこの6つの条件を明確にし、しかもメモに書き留めるなど、可視化出来るようにする事が重要です。
 当然、次の就職先が既に用意されている訳ではないし、活動を開始したからといって、直ぐに希望の仕事が見つかる保証もありません。
 つまり、いくら転職をしたいと思っても、見切り発車では苦労するということです。
 従って、まず3つの壁をクリアーし、問1で「転職したい」と回答し、問2で6つの条件を全てクリアー出来ている人は、転職がスムーズに行く可能性が高い人と言えますが、そうでない場合は、退職を今一歩考える必要があるかもしれません。
 転職には、考えている以上に固い決意と覚悟を要することをまずは理解して、希望する仕事を探し、応募し、選考を受けるという活動を、どうか乗り切って欲しいと思います。

次回は、退職初心者の正しい辞め方のお話しです。

株式会社 夢をかなえる研究所
高野泰寛

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株式会社夢をかなえる研究所 取締役 2級キャリアコンサルティング技能士 メンタルヘルスファシリテーター(MHF) 「働いて幸せになろう」をテーマに、公私ともに活動しております。 或る時は”働き手”の、また或る時は”雇い主”のご相談にお応えしております。

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ここに述べることは、新卒採用で入社したものの、今の仕事を変えたい、今の会社を辞めたいと考えている退職初心者と、もう既に辞めているが、次に何をしたらいいのか分からい、などと立ち止まっている転職初心者に向けて、これから何を考え、何をなすべきかをまとめたものです。

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