光は。(インターミッション及び解説編)
(前回「光は。」の続きです)
☆ ☆ ☆ ☆ インターミッション ☆ ☆ ☆ ☆
ここまでは、できるだけ分かるように、伝わるようにと書いた、いわば入門編です。
これが光の全てではないけれど、尽きないので、また別の機会に譲ります。
本当の目的は光合成を書くために光から始めたら、たどり着きませんでした。
ここからは、解説編です。
入門編に書いたことは根拠があることなので、それをざっと書こうと思います。
光は何か、については現代物理学の中の「相対性理論」と「量子論」に出てきます。
「相対性理論」はマクロの世界の物理学、「量子論」はミクロの世界の物理学と言ってもいいのではと思います。
このあたりの理論が現実離れしていてイメージが難しいことも多いのですが、それでも現実だというところが、とてもおもしろいのです。
蛇足ながら、インターミッションとは、休止、中断とか途中休憩の意味です。閑話休題とは、余談はこれくらいにして、とか、話を元に戻すと、という意味です。
☆ ☆ ☆ ☆ 閑話休題 ☆ ☆ ☆ ☆
「飛光よ、飛光よ、汝に一杯の酒を勧めん 」
「光陰矢の如し」
光は速いもの、そして後戻りもできないことから、時間やその短さを表す言葉として使われてきました。
「飛光よ・・・」は、中国唐代の詩人李賀の「苦昼短」の冒頭ですが、飛び去る光、過ぎ去る時間に、酒を勧めています。
即ち、光も時も、あまりに早く過ぎ去るのでちょっと待って、という気持ちを表していることが伝わってきます。
また光陰とは月日のことを表し、矢があっという間に飛んでいくように短い、という言葉もあります。
科学が発達する以前から、光というものは人々に認識され、少しずつその性質が明らかになってきています。
(光、光は不思議)
物理学者アインシュタインは相対性理論で、光は最も速く、かつ一定の速度を持つものと明らかにしました。
そして重力とは、質量をもつ物体が作る空間の歪み(ゆがみ)であり、光もその歪みで曲げられます。
またエネルギーと質量は等価(エネルギー=質量×光速の二乗)で、変換できるとしています。
光は、他の物質(分子や原子)と接触すると、その物質に影響を与えます。影響の種類はいくつかあり、
・光、即ち可視光は電磁波の一種なので、電荷を持つ分子や原子を揺り動かします。 そうすると「動きのはげしさ」=「温度の上昇」となります。
・分子や原子の構成要素である、電子にエネルギーを与え励起状態=高エネルギー状態となります。 高エネルギー状態は不安定で、安定した低エネルギー状態に戻るために、光を再放出します。
・金属の光電効果といって、光を当てると電子が飛び出す現象があります。 ちなみにアインシュタインがノーベル賞を受賞したのは、実は相対性理論ではなくて、光電効果の研究によるものです。
などがあります。
(光は無数、無)
光を見る、ということは、目の奥にある光を受け取る細胞が刺激され、脳に信号を送って認識する、ということです。
だからいくら光が無数に空中を飛び交っていても、目に入らないと認識することができません。
また光の素粒子である光子は、力を伝える素粒子の一つです。
素粒子の種類には、物質を形づくるもの(原子をつくるアップクォークとダウンクォークや電子など)と力を伝えるもの(電磁気力を伝える光子など)があります。
物質を形づくる素粒子は、素粒子同士重なることはできませんが、力を伝える素粒子は、重なることができるという特徴があります。
そして光子は質量が0(ゼロ)です。素粒子の種類にはもう一つ、質量を与えるもの(ヒッグス粒子)があります。
質量とは動きにくさを生じさせるものなので、光は質量ゼロのためヒッグス粒子の影響を受けずに、この宇宙の最高速度で動くことができます。
(光は波)
光は粒子であるとともに、波の性質も持っています。波とは海の波のように、波形がある方向に進んでいますが、水分子がその場で上下動、もうちょっと正確に言うとその場で回転運動をしているだけです。
水分子が進んでいるわけではありません。
隣合ったたくさんの水分子同士が影響しあって、連動してその場で運動しているのが、波になっている訳です。
でも光の場合は、光子がたくさんあって、連動しているわけではありません。
粒子であって波でもあるというところが不思議で理解が難しいところですが、光も波特有の回折という現象をすることが実験で明らかになっています。
回折とは、壁のすき間を通過した波が、壁の裏側にも回り込む現象のことです。
光が壁のすき間を通過しても、真っ直ぐにしか進まないと考えられそうですが、実際には通過後に広がって、波のように回りこみます。
他にも干渉など、明らかに波と言える性質を持ちます。
(光は色)
次に虹の話です。光は波ということでしたが、波には波の頂点から次の頂点までの、波長という長さがあります。
そして波長の長さによって、紫から青、緑、黄、橙、赤と変化していきます。
ここまで光というのは、可視光線のことを言っており、波長がさらに短くまたは長くなると、目には見えない紫外線、赤外線となっていきます。
太陽の光は紫から赤まで、まんべん無く含んでおり、これらが混ざると白色になります。
そして虹は、雨粒の水滴一つ一つがプリズムとなり、入射時に屈折し、水滴内部で反射し、出るときにも屈折します。この屈折の度合いが波長によって違うので、各色に分光されます。
これはもちろん見えている虹の部分だけで起きている訳ではなく、雨粒のすべてで起こっています。
(光は謎)
光は生まれた瞬間から宇宙の最も速い光速で、何か物質に当たると消えてしまうという不思議なものです。それでもどこかに存在して、この宇宙に飛び続けています。
粒子性と波動性の両方を持つというのは、様々は検証から正しいことですが、その姿をイメージすることができません。
これからも研究が進んで、未知のことが明らかになることが楽しみです。
それがなるべく早いとありがたいのですが。
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