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2024 Heavy Metal Party Playlist

梅雨が明けて夏がやってきました。ヒャッハー!

ということで、渾身のヘヴィメタルパーティープレイリストを作ってみました。さまざまなストリーミングサービスで公式メタルプレイリストがありますが、ヒット曲とか中心だとシリアスになりすぎるきらいがあります。最近のメタルシーンってシリアスだったり激烈でヘヴィな感情表現が主流なので。今回のプレイリストのコンセプトは「パーティー!」ということで、メタルの大きな要素である「エンタメ」「ユーモア」「ビール(酒宴)」的な側面を大きく出してみました。

曲順はフェスを意識しています。ひたすら盛り上がりを重視したヨーロッパのフェスのイメージ。基本的に2020年代の曲を中心に。マニアックなものからメジャーなものまで。フェスなので後半になるにつれて大物になっていきます。今回はYoutube、Apple Music、Tidalで作成。約100分の仮想メタルパーティーへようこそ!

YouTube

Apple Music

TIDAL

全曲解説行ってみましょう。

1.Steve'n'Seagulls / Master Of Puppets

フィンランドのカントリー・ブルーグラスバンド、Steve'n'Seagulls(スティーブンシーガル、バンド名自体沈黙シリーズで有名なアクション俳優のスティーブンセガールのパロディ)によるメタリカのメタルマスターのカバー。1曲目は前夜祭的なイメージです。こういうバンドがヨーロッパのフェスを盛り上げているイメージ。日本でもドイツビールの祭典、オクトーバーフェスに行くとこういう感じのバンドが出てきて乾杯したりします。なお、「フィンランドの」カントリー/ブルーグラスバンドというのも笑いどころ。本来フィンランドにこんなバンドいませんからね。さすが人口当たりメタルバンド世界一の国。あらゆる手段でメタルを楽しんでいます。元曲はこちら。

2.Nanowar Of Steel / Das rote Pferd

メタルパーティーにはかかせないNanowar Of Steel。バンド名はUSのパワーメタルバンドManowarのパロディから。イタリアのバンドですが、この曲はドイツのマーカス・ベッカーというアーティストのカバー。これなんかまさにオクトーバーフェストで流れていそうな曲。なぜこの曲をカバーしたんだ。元曲はこんな感じ。子供向けの歌なのかな。

3.Nanowar Of Steel / El Baile del Perrito

もう1曲、こちらもカバーでもともとはWilfrido Vargasというドミニカのメレンゲアーティストの曲。南米音楽ですね。前の曲はドイツ語、この曲はスペイン語。グローバル! 犬のMVもゴキゲンです。やっぱり南米のリズムはパーティー感が強いですね。

元曲はこんな感じ。

4.TrollfesT - Piña Colada

ノルウェーのフォークメタルバンド、トロールフェストのパーティー曲。この曲も南米的ですが彼らのオリジナル。フィンランド的なユーモラスなバンドですがノルウェーなんですね。歌詞はノルウェー語と英語のちゃんぽん。ピニャコラーダはカリブ海のカクテルの名前ですね。

ピニャコラーダ
出典

5.TrollfesT - Happy Little Boozer

もう1曲トロールフェストの曲を。こちらはフィンランドのフォークメタルバンドで日本でも根強いファンを抱えるコルピクラーニのカバー。やけくそ気味にハイテンションかつ高速なカバーバージョン。なお、トロールフェストは2024年に結成20周年を迎え、リリースしたベストアルバムに収録されている曲なんですが、そのアルバムタイトルが「20 years in the wrong lane」。20年間間違った道を歩いてきた、って自覚あるんかい。

素晴らしいジャケット

ちなみに元バージョンはこちら。

6.KORPIKLAANI / Gotta Go Home

というわけで本家コルピクラーニの曲も。海でパーティ感あふれるMVが素敵。この曲ももともとはディスコバンド、ボニーMの曲のカバーですね。元曲はこちら。

7.8 KALACAS / Labios Negros

メキシコのハードコア/メタルバンド、オチョカラカスの名曲。スカやマリアッチ(メキシコの伝統音楽)をうまく取り込んだ音楽性が素晴らしい。元ニュークリアブラストの創設者が作ったアトミックファイアーレコードに現在は在籍しています。

アトミックファイアレコードのオチョカラカスのオフィシャル写真
出典

8.BardoMagno / Magister Barbero

イタリアはミラノのフォークメタルバンド、バルドマグノの曲。イタリア語です。イタリア語で歌うメタルバンドって非常に珍しくて、Nanowar of Steelが時々イタリア語曲も出していますが基本的に英語(Rhapsodyとか)。かつて、イタリアンプログレが隆興したときは基本的にイタリア語だったんですけれどね。イタリア語の響きっていいですよね。

ちなみにタイトルはマギスター・バルベロ、で、マギスターというのは「先生」みたいな意味。むこうで有名な知識人のバルベロさんという大学教授がいるらしく、その人を称える歌みたい(本人の映像もMVで使われています)。

9ー1.Bloodywood / Rang De Basanti

9曲目はApple MusicとTidalで曲が違います。こちらはApple Music版(YouTubeは両方入っています)。インドのメタルバンド、ブラッディウッドによるA.R.ラフマンの映画主題歌のカバー。ARラフマンはインド音楽界におけるめちゃくちゃ売れっ子のプロデューサーで、日本で言えば小室哲哉の黄金時代が何十年も続いている、みたいな人。元曲は完全なボリウッドサウンドで、ブラッディウッドがそのタイトル通り「ボリウッド+メタル」のサウンドを奏でています。まだラッパーのラウル・カー加入前の音源。これ、TIDALにはないんですよね。Apple Musicのみ。

元曲はこちら。もともとの曲も好きです。

9-2.Nine Treasures / Nomin Dalai

中国、内モンゴル自治区のバンド、Nine Tresures(九宝)。いわゆるモンゴリアンメタルの中で一番好きなバンドです。こちらはTIDALのみ。Apple musicにはありません。モンゴリアンメタルは颠覆M(Ego Fall)や九宝、アメリカでも活躍したテンガーカヴァルリーらがいて、2010年代にモンゴル本国からThe HUが現れてくる。Nine Treasuresは来日経験もあり、橋の下音楽祭に来ています。

10.Týr / Unwandered Ways

デンマークの自治領、フェロー諸島(イギリスの北にあるめっちゃ寒い小さな島々)のバンド、ティア。バイキングメタルの中でもかなりプリミティブというか伝統を重んじたような曲構成を持つバンドで反復が独特の感覚を持っているのですが、この曲は唐突感すら感じるほどの名曲。こういうバンドってときどき超名曲を生み出すんですが、この曲はまさにそれ。1998年から活動するベテランの会心曲。ちなみにフェロー諸島は日本と同じく捕鯨の文化があるらしく、そこに着目したインタビューがありました。ニッチ!

11.VISIONS OF ATLANTIS - Tonight I'm Alive

オーストリアの男女ボーカルを擁するシンフォニックメタルバンド、ビジョンズオブアトランティスの新作からのシングル曲。ここ数作はバイキング色が強まっています。オーストラリアなのでバイキングとあまり関係ない気はしますが。ちょっとレゲトンっぽいリズムが祝祭感があって好き。

海賊味が強い最近のアーティスト写真

12.ALESTORM ft. PATTY GURDY - Voyage Of The Dead Marauder

バイキングメタル、ということでお下劣パイレーツパーティバンド、エイルストームの出番です。一聴すると真面目な曲ですが歌詞がひどい曲が多いバンド(Nanowar Of Steelもそうですが)。UKのバンド。今回のゲストPATTY GURDYはハーディガーディという伝統楽器を演奏するドイツの女性ミュージシャン。この曲は歌詞がふざけていませんね。普通にかっこよい系の曲。

ハーディガーディを弾くパティガーディはこちら。

13.GLORYHAMMER / Mighty Wings

エイルストームのメインソングライター(ボーカル兼キーボード)が「歌うの上手いシンガーを迎えてやっているパワーメタルプロジェクト」グローリーハンマーのシングル。この曲はチープトリックのカバーです。映画トップガンのサントラに使われた曲。さっきまでバイキング、フォークメタルが続いたのでここからはちょっと80年代、ハードポップ的なコーナーを。

元曲はこれ。

14.Lordi / Be My Maniac

フィンランドの誇るメタルモンスター、Lordi。かつてユーロビジョンにフィンランド代表として出場した栄光を持っています。めちゃくちゃおどろおどろしいビジュアルなのに曲調はキャッチーなハードロックというKISSを更に推し進めたようなバンド。コロナ禍の2020-2021年に一気に7枚のアルバムを作り、バンドの歴史を20年延ばすという荒業をやってのけたバンド。詳しくは下記の記事をどうぞ。

で、この7枚のアルバムはけっこう名曲が多いのでそこから3曲選んでみました。1曲目は1989年にリリースされた(という設定)の曲。

15.Lordi / Believe Me

これは1979年の曲。ディスコサウンドです。なお、パンクってプログレッシブロックやハードロックを敵視していた印象(ジョンライドンの「Rock Is Dead」発言)が強いですが、一番敵視していたのはディスコ。メタルバンドもディスコ的なものは当時は嫌っていましたね。N.W.O.B.H.M.バンドはディスコ的なものからは距離があった。時代を経て欧州メタルが(主に北欧のバンドから)ディスコサウンドに接近しているのは面白い現象です。あ、この曲は「1979年にリリースされた」という設定ですが。きちんと1979年感があるのが面白い。ちなみにさっきのボニーMの映像は1979年のもの。

16.FEUERSCHWANZ / Dragostea Din Tei

ドイツのフォーク/パワーメタルバンド、ファイアーシュヴァンツによる「恋のマイヤヒ」のカバー。このバンド、ドイツではナショナルチャート1位を取るほどのバンドです。こういうノリはドイツ人本当に好きなんですね。元曲はこちら。もっともカラオケで歌われた非英語の洋楽かも(ジンギスカンとどっちが多いだろうか)。


17.BEAST IN BLACK / Power Of The Beast

こちらは最新型のディスコメタル。フィンランドのビーストインブラックの2024年シングル。ディスコと言うかこの曲はトランスですね。他にはスウェーデンのAmarantheとかもディスコサウンドへの接近が強まっています。ディスコ、エレクトロサウンドの導入。

18.BABYMETAL x ‪ElectricCallboy‬ / RATATATA

ディスコ、エレクトロサウンド繋がりで。だんだん大物が出てきます。日本のBabymetalとドイツのエレクトリックコールボーイのコラボシングル。日本のフェス、Fox_Festでも披露されました。ドイツらしい抑制された低音の効いたビートが印象的。ただ、ボーカルが多いのでアッパーな祝祭感があります。

19.F.HERO x BODYSLAM x BABYMETAL / LEAVE IT ALL BEHIND

以前、PA PA YAでコラボしたタイのラッパー、F.HEROとBabymetalの再コラボ。今度はF.HEROがメインの楽曲にゲスト参加と立ち位置が逆転しています。タイ語、日本語、英語が混ざるこれまたグローバルちゃんぽんな曲。ちょっと昔のJ-POP的なメロディが出てくるのが面白い。リズムはPA PA YAでも使われていたレゲトンリズムも一部出てきます。

BODYSLAMはタイのロックバンドですね。他の曲はこんな感じ

20.Bring Me The Horizon / Top 10 staTues tHat CriEd bloOd

こちらもBabymetalと絡むことの多いUKニューコア界の王者、ブリングミーザホライゾンの2024年曲。発売延期を続けていたアルバムがリリースされ、アルバムの中の曲ですね。情報量が多くハイテンションな曲です。2024年のメタル的な「高密度の情報量の表現」の最先端と言える音像。

21. Ozzy Osbourne and Lemmy from Motörhead / Hellraiser (30th Anniversary Edition)

この曲だけ90年代の曲ですが、30周年バージョンと言うことで。2021年に出たバージョンですね。元は1991年のオジーのアルバム「No More Tears」に収録された曲。ギターはザックワイルド。故レミーとオジーがデュエットしている貴重な曲。今改めて90年代初頭の音源を聞くと独特のテンションの高さを感じます。

22.Steve Stevens, Ozzy Osbourne, Billy Morrison / Crack Cocaine

続いてオジーの最新参加曲。メインはビリーモリソンというビリーアイドルとも一緒にやっていたギタリストで、彼のソロ作にさまざまなミュージシャンがゲスト参加しています。本局はスティーブスティーブンスもギターで参加。ボーカルはオジーです。オジーはさまざまな健康上の問題がありついにツアーから引退せざるを得なくなっていますが、最後にもう一度オリジナルブラックサバスは果たしてライブをするのだろうか。

オジーとビリー

23.Mötley Crüe / Dogs Of War

ギタリストがジョン5に変わって初のシングル。なんだかんだ盛り上がりがあるのは流石。今どきっぽさを出しながらもやっぱりチープ、どこかハッタリ感があるのはこのバンドならでは。完全CGによるメンバーはヴィンスニールが痩せすぎていませんかね。でも、最近はツアーが好評のようで再始動したての頃よりは声も出るようになってきたし少し復調している気がします。やっぱりツアーに出ると鍛えられるんですね。なんだかんだモトリーがいまだに活動中ってのも凄い。肉体的に(比喩ではなく)生き延びたという点含め。

24.Judas Priest / The Serpent and the King

最新作がまさかのバンド史上に残る傑作で2020年代も君臨するメタルゴッド、ジューダスプリーストの2024年曲。衰えを感じさせないザクザクしたメタリックな曲。ロブは今年72歳!

ghostパロディの猫シャツを着ているメタルゴッド

25.Ghost / The Future Is A Foreign Land

スウェーデンのゴースト。ヨーロッパ以来、USで天下を取ったスウェーデンのメタルアーティストと言えるでしょう。今度ライブ映画「Rite Here Rite Now」が公開されるらしく、それに合わせた新曲。このタイトルはかつてのVan Halenのライブ盤「Right Here Right Now」のパロディですかね。映画のトレイラーはこちら。本編エンディング曲。

26.Steve'n'Seagulls / The Trooper

プレイリスト最後は後夜祭ということで再びスティーブンシーガル。今度はIron Maidenのカバーですね。いやー、メタリカとメイデンはやっぱりメタルプレイリストには入れないとね。おあとがよろしいようで。

元バージョン。


以上! 「ワールドミュージックとメタルについて書いているブログ」の通りのプレイリストになったと思います。

それでは良いミュージックライフを。

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