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東洋大学で「保育所のAI&ICT活用」をテーマに講義を行いました

会社で行っている東洋大学 国際学部への寄附講座「社会保障論」で、6月17日に1コマお話をさせていただく機会がありました。その話しの内容を記事にしていただきましたので、こちらでもご紹介します。

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技術が保育園にできることとは?

今回の講義テーマは「子ども理解のための洞察やインサイトをどのように獲得するべきか?~保育所のAI&ICT活用について~」です。

石塚は、保育の個別最適化を実現するため、当社の直営保育園AIAIから収集・蓄積した子どもの発達に関するデータを解析やプロダクト開発に向けた研究を行っています。

講義は「技術を使って保育で何をやるの?と思いませんか」との問いかけからスタート。石塚は「現在、当社では保育所保育に情報通信技術や統計的機械学習技術を導入することを進めています」と説明し、その背景に保育士が辞める原因として「保育士にある3つのストレス」(①保護者対応に不安がある②人間関係③実は、子どものことが良くわからない)が関係することや、今後、少子化がますます進み、保育園が過剰になり保育士の質をあげることが大切という点を述べました。

さらに、「教育×イノベーション」と「DEEP MECICINE」という2冊の本を挙げつつ、保育におけるイノベーションとして「個別最適化」についても言及しました。


データを分析することで、さまざまな可能性が広がる

さて、当社が運営するあい・あい保育園では、保育に関する記録が蓄積されています。当社では、そのデータを分析し、新しいインサイトを見出す事業も行っています。「データを分析することで、保育における「子どもの理解」を進めるのもそのひとつです」と石塚。

講義では、これらのさまざまなデータを紹介しながら、データの活用法や機械学習などについても言及。たとえば、できる行動、できない行動を分類したグラフからは「4月はできないけど最後はみんなできる行動はステップなど4つに分類すれば、その子どもの成長が理解しやすいし、データできちんとみることで保育に役立てていける」と石塚は話します。そして、もうひとつ、ヒヤリハットの例も紹介しました。

「給食の時の誤飲やお昼寝のときに指をはさんだなど、医者にかかるほどではない“ヒヤリハット”について保育園では報告書を作成しています。ただ、そのような報告だけでは、“ガラスが割れた”などといっためったに起こらない出来事の印象に引きずられたバイアスがそのままになってしまいます。つまり、日常的におこるハットヒヤリより、めったに起きない事象に対応しがちということです。これを、日常的に生じている事象を丁寧に統計的に処理すると、水木金の午前中にヒヤリハットが多いなどデータ化&可視化され、週の後半に多いからこういう注意をしようと対策も立てやすくなります。」

その後も、「保育士に高い専門性が求められているが、専門性とは何か?」や「集団をコントロールできるリーダーシップが保育士には大切」など、さまざまな事例や専門家の言葉を引用しながら解説し、多彩で専門性の高い講義となりました。

最後に石塚は「保育だけでなく、この広義のテーマである社会保障全般にデータを分析していくということの意味や価値について考えるヒントにしていただきたい」と結びました。