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読書履歴#19_場の空気を理解して楽に生きる

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読書期間 7月1日〜7月3日
文字数:約4,100

はじめに

ここのところ、読書は継続していますがnote投稿がおろそかになっていました。
少なくとも週1の更新は心掛けていたのですが一度間が空くと人間ダメですね。また気合入れて頑張ります。

さて少し前に日本語に着目して日本人らしさについて見てみましたが、今回は「空気」です。
もう死語になっているかもしれませんが、少し前に空気読めない(KY)という言葉が流行りました。

私も当然の様にこの言葉を受け入れ、使っていました。

よく考えると、この(場の)空気というのはかなり複雑かつ厄介な事象で、また日本特有でもあることから興味は持っていました。

今回の本はその空気の謎を解き明かす良書です。
岩波ジュニア文庫から出版というのがまた分かりやすくて良いです。

早速見ていきます。

参考図書

1.先輩に従う理由

相手に従うのは、相手が尊敬に値し、素敵だと思うから尊敬する
・尊敬できない人には従えない
・相手が年上かどうかでなく尊敬できるかどうかで従う

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P1〜P7

2.人の頼みを断れない理由

・日本人はイヤなことをイヤと断るだけで苦しさを覚える
・そこには「世間」と「社会」がある

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P8〜P12

3.世間と社会

世間とは現在または将来関係のある人達のこと
社会とは世間の逆で現在または将来何の関係もない人達
・日本人は基本的に世間に生き、社会の人達とはなるべく関わらない様にする(正確に言えば関わり方が分からない)

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P13〜P19

4.世間の始まり

・江戸時代まで日本人は世間にだけ生きていた
村という小さな世間が強力な存在だった
・日本は多神教であり、キリスト教やイスラム教の様に一神教でないが、一神教と同じくらい強力な神が「世間」だった
かつての村はひとつにまとまっていないと生きていけなかった
・例えば田畑の水は我田引水すると村の収穫が減り村が滅びることになる
・水が全体に行き渡る様に厳しく監視し、掟を破る人はいわゆる村八分にされる
村の掟さえ守れば村は村人を守る、これは一神教と全く同じ

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P21〜P 28

5.世間を壊そうとする人達

明治政府は世間を壊そうとした、これは国が国民を守る時代に入ったから
明治時代になって政府は知らない人達を集める必要が出てきた(学校、軍隊、工場など村を超えた知らない人が集まる場所)

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P29〜P37

7.世間は中途半端に壊れている

・世間に生きることは安心するが同時にいろんな掟に縛られる
・大切なことは、今は世間に属していない人も世間という考え方・感じ方が日本人として残っているということ

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P39〜P42

8.外国に世間はない

・海外に行くなど日本人を「相対に考える」ことは生き苦しさから救う術となる
・私たちは苦しくなるとモノの見方が狭くなる

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P43〜P52

9.人の頼みを断るのが辛い理由

・村では隣の人から田植えを手伝ってくれと言われれば、それは掟として手伝っていた
村の頼みごとはすべて巡りめぐって自分のためになる頼みごとと思えた
・つまり何か言われたり頼まれたりした時、「世間」の人に言われたと日本人は考えてしまい、自分のことを心配し思ってくれている言葉と感じてしまうので断りづらいと思ってしまう

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P53〜P57

10.もし人から頼まれたら

何かイヤな頼まれたら、まずその人は「世間」の人か「社会」の人かを判断する
・社会の人であれば堂々と断れば良い、世間の人であればどのくらい強い世間かを考える
・いまは昔ほど強力な世間はないので、断れば良いが厳しい人のお願いをどう断るかを後述する

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P59〜P64

12.空気の正体は世間

世間は中途半端に壊れて日本人のマインドに残っている、そしてそれがよりカジュアル化してどこにでも現れるようになったのが空気
・世間よりは軽くはなったものの、一度空気が定着すると強力な力を持つ様になる
・空気や雰囲気、ノリなどの正体は世間が日常化したもの

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P69〜P79

13〜17.世間の5つのルール

①年上がえらい

②同じ時間を生きている
・日本語の「これからもよろしくお願いします」は英語に翻訳できない
・日本人にはこれから先、同じ時間を過ごしますからうまくやっていきましょうという意味と分かるが、英語では伝えられない
仕事や部活でも成果でなくどれだけ長時間同じ時間を過ごしたかが評価に繋がることがあるのも日本特有

③贈り物が大切

④仲間外れを作る
・仲間内だけで通じる言葉やサインを持つのも世間の特徴
・他の人たちが知らない、分からないルールが世間の人たちを強く結びつける
・ある一人に対して原因が徹底的に無視するいじめは日本にしかないいじめ

⑤ミステリアス
・会社や部活で「いつもこうしている」「昔からそうしている」などなぜか分からないけどそういうものだということが世間の持つミステリー
・世間は理屈が通じない

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P81〜P106

18.世間はなかなか変わらない

世間は誰かに押し付けられたものでなく、日本人の心の中に自然に生まれたもの
・日本は農耕文化で集団生活が中心かつ異民族による侵略の歴史がなく世間が残っている
日本は侵略の歴史はないが、天災が多く、結果として「しょうがない」を連発する民族になった
・しょうがないは英語に直訳できず、It cannot be helped(負け犬発言)、We have no choice(やることはやった)など近い言葉はあるが正確には翻訳できない
・料理のおまかせなども、外人にはあり得ないが日本人は任せる、これも日本文化

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P107〜P118

19.5つのルールとの戦い方

①どうしてこんなに人の頼みを断るのが苦しいのか
・世間のイメージに支配されて、私のために思って言ってるんだと思ってしまうから

②どうして周りの目が気になるのか、周りに合わせようとしてしまうのか

・世間に生きている限り周りの目は気にしてしまう
・世間を気にしているのか、世間の記憶に振り回されているだけなのかは区別すべき

③どうして先輩に従わないといけないのか
・年上がえらいという世間の不文律の一つ
・本当に尊敬できる人とそうでない人は区別する

④どうしてLINEやメールが気になるのか
・世間が強力なものだと思い込み、仲間外れになりたくないと思ってしまうから

⑤なぜ空気に流されるのか
・空気は世間がカジュアル化したもの
・世間の5つのルールのうちのどれかが欠けると空気になる

ルールと戦うのは「裸の王様作戦」が有効
例1)友達とどこに行くかの相談でなんとなく遊園地に決まりそうだが、遊園地がイヤな時は「絶対に遊園地に行きたい人は誰?」と聞く
例2)自己紹介の場で、名前・年齢・出身地だけになり始めたら「名前・年齢・出身地を言うのがルールですか?違うなら趣味の話しますね」と言ってみる
空気はすぐに変えることができるとも言えるし、逆に簡単に変わる怖さもある

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P119〜P131

20.強力な世間との戦い方

・空気はすぐに変わるが世間はなかなか変わらない
・変わらない世間のルールをうまく使って戦う

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P133〜P139

22.自分を大切に思う

・海外では自分を大切にする意識、自分を好きだと言う意識して、認める意識である自尊意識を育てようとする
日本は同調圧力が強く、自尊意識が低い国、これは世間は個々人よりも集団の力が重視されるから
・これからの時代は人に迷惑をかけない生き方でなく、自分と人が幸せになる生き方を目指すべき

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P151〜P158

23〜25.仲間外れを恐れない

・たった一つの世間ではなく複数の弱い世間に所属し、いつも一緒にいるグループだけでなく、たまに会う人たちとの関係も作っておくことで、生き苦しさから救うことになる

空気を読んでも従わない
生き苦しさからラクになる
ISBN978-4-00-500893-3
P159〜P177

<所感>

空気とは「世間」がカジュアル化し
日常化したもの
そして日本人は今も世間に生きる

とても分かりやすいですし、世間と社会を理解しておくと社会人としてどんな態度でコミニュケーションを取れば良いのかのヒントがあると思います。

最近では、世間や空気を強く意識せず自分らしさを発揮し、それを受容する社会(ダイバーシティ)が重要であると叫ばれています。
100年前とは大きく変わってきていると思いますが日本人のDNAから「世間」という意識が消えるのはまだまだ先だと思います。

やはりマジョリティに流され易いですし、周りに合わせて和を保つことが日本人らしさであり、良さとも言えます。

ただ「世間」と「社会」という考え方と日本人らしさを知っておくことと知らないままでいるのでは、(特に海外の人との)コミニュケーションで雲泥の差があると思います。
胸を張って日本人らしさを語れば、相手も理解してくれますからね。


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