見出し画像

カスタマーサクセスとは#3-2-3

前回はメルカリの事例でした。
私の中ではメルカリの事例の一文で「カスタマーサクセスは組織横断で取組み合意形成しながら進める必要があり、時に困難」と言うワードが最も腹落ちしました。
結局ワンタイムバリューを最大化する企業文化が急にカスタマーサクセスを成功させる、と意気込んでも文化を変えるのはかなり困難だと思います。スタートアップが最初から文化を作って行ける点で優位だな、と感じています。
今回は最後事例、Sansanです。

参考図書

事例3:Sansan

Sansanは「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と個人向け名刺アプリ「Eight」を展開
・2012年に国内企業で初めてカスタマーサクセス部門を設立
・Sansanの3つの成功要因
①2018年にゲインサイトを他社に先駆けて導入
+Sansanは顧客価値を生み出すために「まず使ってもらうことが大事」という想いからカスタマーサクセス部門を創設され、当初はオンボーディング支援が重視された
+一方カスタマー数が増えてくると「使ってもらう」オンボーディング率から、「価値を出してもらう」アダプション率アップによるネットリテンション率(NRR:Net Revenue Retention )アップへと成長ステージが移行した
+このタイミングでデータからカスタマー一人ひとりを知り尽くし予測的な対応をとるカスタマーへと進化させる事を目的に、ゲインサイトという世界標準のプラットフォームを導入した
+ゲインサイトは成功した数多くのグローバル企業の実務ノウハウや、利用企業ごとの最適解を考え易いフレームワークなど無形資産としての価値が大きい
+Sansanもこれらフレームワークから、独自のヘルススコアやデータ収集→統合→打ち手の実行までの一連のプログラムを短期間で設計して運用した

②ゲインサイトの導入と同時に組織を見直した
+Sansanのカスタマーサクセス部門のミッションは「お客様の成功に向けてSansanの価値を届けLTVを最大化すること」
+Sansanのカスタマーサクセス部門が大事にする5つの柱
1.CSM:利用促進を担う
2.トレーニング&コミュニティ
3.プロダクト・フィードバック
4.テクノロジー&マーケティング
5.リニューアルセールス:契約に責任を持つ

+1と5がNRRのアップを目指して対となり連携
+1と5の活動を支えるマーケティング基盤4を構築
→以前は拠り所とするデータがバラバラだった3つのセクションがゲインサイトの導入により同じデータを見て議論出来る様になった

③顧客価値を上げることができた結果、売上も上がった
+カスタマーが増えたことできめ細やかなフォローが出来ない事もあったが、ゲインサイトを導入しカスタマーの変化に素早く気付く事が出来るようになった
+カスタマー企業でIDが追加されたり管理者が変更されたりするといった変化を検出し、CSMやリニューアルセールスが絶好のタイミングでコンタクトし売上増加につながった
+Sansanは原則その4「データの統合・分析に投資し組織全体でデータをフル活用せよ」を文字通り実行し成果を得た

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P212~218参照

<所感>

今回の参考インタビューはSansan取締役 共同創設者 富岡 圭氏です。
本書に記載がなかったですが、興味深い内容を少しピックアップしています。

■カスタマーサクセスの根底にあるミッション
1~2年周期で、相当な人員と時間をかけてミッションステートメントを見直している
名刺を企業の価値にしていき、全社で共有し気付いてもらいたいという想いは創業時からある。
■顧客の要望に100%応えることが必ずしも重要ではない
日本における「お客様は神様」という概念はお客様に言われたことをすればよいというマインドであり、本当の顧客価値はお客様すら気付いていないことであり、それを見つけて作ることが本当に意味での成功

ちなみにここで紹介のあるゲインサイトを含むカスタマーサクセスツールの比較サイトも多くあります。

いくつか確認してそれぞれの特徴を「導入期・定着期・拡大期」の3つのパートに分けて比較している以下のサイトは参考になりました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?