見出し画像

プロの女子アメフト選手吉田未央さん〜カッコ良さとその裏にある困難〜

2023/01/18(水)、札幌の「本気のリーダー朝会」登壇者だった吉田さんのお話を聞きました。カッコいい生き方に感銘を受けて、非常に勇気づけられました。それと同時に、深刻な現実を目の当たりにもしました。だから、その時に話を聞きながら取っていたメモと、ネット上で検索して出てくる内容を元に今回はこのnoteを書いています。

noteにすれば、自分が感じ取ったこと、考えたことを共有し、他の人にも知ってもらう出来ます。話を聞いてから時間が空いてしまいましたが、自分としてもまたお話の内容を思い出せる良い機会です。

こんなことを言うのはおこがましいのですが、こうして書くことで吉田さんの思いや活動をより多くの人に知ってもらうという意味では「応援」にもなるのではないか?とも思っていいます。

この文章で僕が伝えたいこと
・「無理かな?」と思うことでも、やろうと思えば出来る
・「諦めてしまう理由」をも変えていく方法は「知ること」

プロフィール

吉田未央さん
WNFC アメリカ女子アメリカンフットボール選手
北海道留萌市出身の27歳。(1995年生まれ)
現在の活動拠点は札幌。

留萌東光小時代:少年野球、スノーホッケー
留萌中・留萌高時代:バスケットボール
高校卒業後:東京のスポーツトレーナー専門学校に進学。
専門学校:アメフトXリーグの東京ガスで2年間実習
就職:ジムのスポーツトレーナー(3ヶ月で退職)
現在:プロのアメフト選手

吉田さんの思い、そしてその裏にある辛い経験

今回のnoteでは、あえてプロアメフト選手である吉田さんの「辛い経験」から入りたい。個人的には、世の中には美しいストーリーが溢れすぎていて、「負の感情を原動力にする」パターンは、なんだか良くないのかな?なんて思ってしまうからだ。

原体験(小中高、専門学校、社会人、選手)

小学校時代
少年野球チームに所属しプレーしていた。その時の夢は、女子野球選手。しかし、中学校に上がる時「女子は試合に出られない」と言われ大好きだった野球を辞めた。

中学校時代
将来はバスケット選手になることも考えていた。高校進学は道内のバスケ強豪校への進学を試みた。しかし、家庭の事情でその希望は叶わず。強いチームでプレーをしないと意味がないと思っていたため、バスケで食べていく夢は諦めた。

専門学校時代
スポーツに関わりたい一心で選んだ仕事は、スポーツトレーナー。スポーツチームやクラブに帯同するトレーナーを目指し、高校卒業後は東京の専門学校へ入学。

社会人(就職)
蓋を開けてみれば「男性トレーナー募集」の文言ばかり。手の大きさや力の入れ具合は男性トレーナーの方が優位。そのせいか、スポーツトレーナーとしての女性の需要がほとんどない現実に直面だ。専門学校卒業後、ジムに就職するも、3カ月で退職。

アメフト選手
マイナースポーツならではの課題に直面。
・監督やコーチが少ない
・チーム数が少なく、男子チームに混ざっての練習が中心
・情報収集が難しい

登壇者紹介の様子

厳しい現実を何度も経験している吉田さんだが、結論から言うとプロアメフト選手として現在活躍しているし、その他の活動にも取り組まれている。そこに至るまでのストーリーを以下で紹介したい。

背中を押されるストーリー

アメフトとの出会いと「圧倒的スピード感」

スポーツトレーナーを目指して関東進学し、実習先でアメフトを選んだことがきっかけで、19歳からアメフトを始めた。実習の帰りにGoogle検索でアメフトのチーム発見すると、「体験させて欲しい」とすぐに連絡をとった。

そこからチームに入り、キャプテンに「半年後のグアム国際試合出る?」と聞かれた際は「はい、行きます」と即答。20歳の誕生日にはグアムで初の試合を経験。さらに上のレベルが知りたいということで、グアムの帰りの飛行機内で、アメリカ行きを決意

そこからは「三ヶ年計画」を掲げ、愛知の会社で働きながら、大阪のチームで練習するように。その後、初めてアメリカに挑戦。全て手探りで「1人じゃ何も出来ない」という感覚からSNSでの発信、人に積極的に会うように。

吉田さんのアメリカへの挑戦

トライアウト前には、人を巻き込んだがゆえに感じるプレッシャー、不安、恐怖もあった。スポーツ・自分の価値を考え直した時期もあった。「やりたいか、やりたくないか」という自問自答もした。

ユタでのトライアウト後にテキサスから "We love your work, are you coming to the states?" (意訳:あなたのプレーがとても気に入った。アメリカには来るの?)というメッセージが。これが人生で1番嬉しい瞬間だった。即、YES。そして、次の晩にはテキサスに着いていた。

ワクワクと緊張の会場入り。1on1の練習で合否が決まるシチュエーション。人生で一番深い深呼吸をして、2本勝負。その練習後、待ちきれずに「一緒にプレーできるか?」と質問。すると、チームからは「そのためにここに呼んでる。今日ここに来てくれたんだからもちろん。あなたの才能をアメリカで輝かせられるということを非常に誇りに思う。」との答えが。

チャンスを掴めなかった経験

しかし、まさかのビザの手続きが間に合わないという事態に。その絶望感から、2ヶ月間は無気力だったという。そんな中、親友からはこんな言葉が。「お前ってこんなもんだっけ?」

そこからは、その言葉が原動力になって、ユタのヘッドコーチに直接交渉しに。第一希望であった全米1位のテキサスでのチャンスを掴むことは出来なかったものの、元々声をかけてもらった全米2位のユタのチームに舞い戻ることに。「roster utah falconz」の背番号1番としてプレーすることに。

吉田さんの現在の活動内容

・プロアメフト選手としてプレー
・スポーツ教室、異文化交流、リーグ選手を呼んでのイベント開催
・道産子アスリートとしての他種目の発信活動
・北海道から世界に挑戦する女性アスリートの応援

笠井康弘の感想

一般的には躊躇してしまうような決断を、勇気を持ってしたからこそ、吉田さんは今の景色を見ているんじゃないかな?と思った。Googleで調べてから連絡するまでのスピードは特に印象的だった。連絡してみないとわからない。連絡しないと実現の確率はゼロのまま。何かやりたいことがあるなら、口に出してみることからでも、始めようと思った。

出来ない理由を考えて頭を抱えることに時間を使うくらいなら、実現したいことをどうすれば実現できるかに頭を使った方が良い。そう強く感じた。

2ヶ月間の無気力の期間の話も個人的には印象に残っている。アップダウンがあって、ちゃんと1人の人間って感じがして、どこか安心した。鋼の心でまるで機械のような人にはあまり惹かれないから。

プレゼンテーションの様子

吉田さんの思い

「やりたいことをやってほしい」
人生を楽しむ女性、本当にやりたいことを追求する女性を増やしたい。
スポーツを通して女性リーダーを生み出したい。

課題感とその原因:あなたもその一部?

吉田さんの感じている課題感としては、「自分で自分の可能性を閉ざしてしまう」ケースが多いこと。吉田さんのように自ら可能性を掴みに行く行動が出来るのは素晴らしいことだが、それはそう簡単なことではないと思う。自分の中では頑張っているつもりでも、一歩はなかなか踏み出せないこともあるかも知れない。ここで1つ持っておきたい発想は、「その原因は必ずしも自分の中にあるわけではない」という考え方だ。

スポーツを辞める理由の例として、「否定的な身体イメージから来る自信のなさ」が挙げられる。男が筋肉質なのは良い。しかし、それが女性の場合はネガティブに取られてしまう傾向にある。女性の自信のなさのいち要因は「世の中が女性に対して求める姿」によるプレッシャーだと捉えることも出来る。結婚や出産などの変化もあって、世間で言われる「良い母親でありたい」との思いから、一歩を踏み出すことを恐れてしまうパターンも少なくない。

会の最後に撮った写真

知らず知らずのうちに社会の中で出来上がっているこの「固定されたイメージ」。吉田さんの原体験を聞いて初めて「そんな辛さがあったのか…」と気づく人も多いのではないかと思う。自分はプレゼンテーションを聞いた時に、個人的に経験したことの無い内容ではあるが吉田さんの中での「歯がゆさ」「やるせなさ」といったニュアンスを感じ取った。そういった思いが社会で知られていないこと、「個人の無知」が誰かの「諦める理由」しまうことは大いにあると思う。一見「システム上どうしようもない」と思われることでも、ひとりひとりがその「辛さ」を知る事で、変化は起こせるはず。

進む男女の機会均等

少しネガティブな内容が続いてしまったが、ポジティブな動きもある。

タイトル・ナイン(Title IX. )
アメリカの公的高等教育機関における男女の機会均等を定めた連邦法の修正法。公的な教育機関での性別に基づいた差別を禁止している。学校スポーツにおける女性参画を推進した。別名、教育改正法第9編。1972年6月23日成立。

アメリカではこうした法的な枠組みの助けも相まって、女子スポーツは奨励されている傾向にある。「スポーツから人生のやりたいことが見つかる!」という共通見解もあるようだ。豆知識にはなるが、世界の女性CEOは幼少期にスポーツを経験している場合が多いらしい。このような内容(↓)も更に浸透していくと、女子スポーツだけではなくて、スポーツ自体への目線も変わってきそうだ。

スポーツの価値
・健康:社会保障費を減らす
・経済:地域経済の活性化
・教育:未来を担う人材の育成

女性の挑戦する姿

残念ながら、日本での女子のスポーツ離れは著しいが、吉田さんの「女性として挑戦する姿」を見て、挑戦を後押しされる人が増えていけば、今の「常識」も少しずつ変わってくるはず。そして、「スポーツの価値」ももっと広がっていくはず。

女性だから、マイナースポーツだから、スポーツはお金にならないから…。色々と障壁はあるかも知れない。ただ、吉田さんがプロアメフト選手になるまでのこの経緯を見れば「やろうと思えば実現出来る」と感じられるのではないか?と感じた。

「夢を実現する姿」は、「女性だから出来ないなんてことはない」「マイナースポーツも広がる」「プロとして生きていける」という多くのメッセージを放っていると思う。それと同時に、「吉田さんが夢の実現までに体験してきた困難」にもスポットライトを向けている気がする。それは自分にの目には、社会に対してのある種の「問題提起」にも写っている。

音楽アーティストが社会風刺的な歌詞で歌ったりするのと同じように、スポーツ選手も人々に勇気を与えるだけじゃなくて、強いメッセージを発信している人たちなんだと感じた。

最後まで読んでくださってありがとうございます!
また次回のnoteでお会いできるのを楽しみにしています
👋

僕のnoteを読んでくださって、ありがとうございます!お金という形でのご支援に具体的なリターンを提示することは出来ないのですが、もしサポートを頂いた際は、僕自身の成長をまたnoteを通して報告させていただけるように頑張りたいと思っています。