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なぜライカを選ぶのか?——「シンプルさ」こそが最強の武器である

ライカ。
半ば伝説のように語られるブランドです。

ちびまる子ちゃんの「たまちゃんのお父さん」がよくカメラを持っていますよね? あれです。

スクリーンショット 2021-03-29 9.53.43

(画像は公式ページより)

最近、若い方を含め、ライカを使う人をしばしば見かけるようになりました。
noteやyoutubeでも珍しくありませんね。

かつてはシリアスなフォトグラファーか金持ちおじさんのためのものでしたが、徐々にそのあり方を変えているように思います。

twitterでも書きましたが、私もその1人。
ライカM8を手に入れてから、沼を転がり落ちるようにはまってしまいました。

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(現在はライカM10を使っています)。

以前は私も「どうせブランドだけだろ」と思っていましたが、今では間違いであったことを痛感しています。

しかし、そもそもなぜライカなのでしょうか?

これほどまでにデジカメが溢れ、スマホが普及し、フィルムカメラが人気の時代、わざわざライカを選ぶ理由はどこにあるのでしょう?

私なりに言葉にすることが出来たので、以下、書いてみようと思います。

●なぜライカを選ぶのか?

実のところ、これは難問です。
冷静に考えると、選ぶ理由はないんですよね。

・高い
・使いにくい
・ライカ以外の選択肢が大量にある

と三重苦揃っているからです。

まずライカは高い。高すぎるくらいに高い。

定価でそろえたら本体だけで100万円、純正の最新レンズは数十万円からそれ以上。
ライカM8で15〜20万円します。2006年発売のデジタルカメラがですよ。
今現在のスタンダードと言えるα7III(2018年発売)が実売18万円ほどと考えると、とんでもないですね。

使いやすい、とも言えません。
「シャッターを押せばピントがあって綺麗に写る」ではない。

レンジファインダーと呼ばれる、今ではほぼすたれた仕組みを採用しています。
くわしくはこちらを見ていただきたいのですが

ざっくり言うと「さっと写せるけど、望遠やマクロ撮影に弱い」「汎用性が低い」システムですね。

「どんな時でもなんでも撮れる」カメラではないのです。

何より、今はカメラの選択肢が無数にある。
キャノン、ソニー、ニコン、お手頃で高性能なデジカメが山盛りです。
いや、デジカメを買うまでもない。iPhoneをはじめ、どのスマホも驚くべき写りをします。十分すぎるほどに。

そう。
普通に考えれば、わざわざライカを選ぶ理由はないのです。

ですがそれでも、私も含めライカを選ぶ人間は一定数以上いる。
数十年にわたり、世界中で愛されている。

「ブランドだけ」ではこうはいきません。
これほど熱烈に支持されるからには、それなりの理由があるはずです。

その理由とは何なのか?

●ライカは「シンプル」である

答えは、「シンプルだから」です。

ライカというカメラはシンプルです。
シンプルすぎる、とすら言える。
なにせ「写真を撮る」以外のことができないのですよ。

・動画は一部機種をのぞき撮れない
・液晶は動かない
・オートフォーカスがない
・ズームレンズがない
・EVFは外付けで高くて性能いまいち
・ライブビューは一応あるけどこれまたいまいち

ないない尽くしです。

出来ることといえば「感度と絞りを設定して」「ピントをあわせて」「シャッターを切る」だけです。

"Simple is best"を体現しているんですね。

そしてこのシンプルさこそが、ライカを選ぶ最大の理由なんです。

シンプルなら迷わない。
迷わないから、すぐに行動に移せる。

あれこれ考えるヒマがあれば一枚で多く写せという、一番大事なことを半ば強制的に実践できるんです。

想像してみてください。

あなたが路上でポートレートを撮影しているとします。
手には最新のミラーレスと、どの距離でも対応出来る高性能ズームレンズ。
それこそ「なんでも撮れて」しまいます。

雲間が晴れ、良い光が差し込んできました。
シャッターチャンス! カメラを構えると同時に、無数の思考がよぎります。

・広角で背景も一緒に写そうか?
・望遠で顔をアップにしようか?
・あえてストロボを使って日中シンクロしようか?
・スローシャッターでMVっぽく撮ろうか?
・エモい音楽のついた動画を撮ろうか?

選択肢はそれこそ山ほど。
どれにしようか、と迷った次の瞬間、もう光が消えてしまっていた……
そんなことが起こりかねないのですね。

この点、ライカは強い。
シンプルなのであれこれ考える必要がありません。

焦点距離は変えられない
オートフォーカスをどうするか、動画をどうするか悩まない。
いや、悩めない。

良い光が差し込んできたら、撮るしかないんです。
言い換えれば、シャッターチャンスと撮影が直結してるんですね。

被写体を見て。
設定して。
撮影する。

それしか出来ないし、そこに特化している。
2021年にもなって、こんなカメラは他にちょっとありません。

米国の写真家、Ken Rockwellは言います。

「私の知っているプロフェッショナルの写真家がライカを使っているのは、ライカがシンプルで、壊れにくく、小さくて軽いからである。彼らが、よりライカを好むのは、Olympus XAよりシャープで高画質だから、ではない。ライカがシンプルだからである」

Blue-Periodさんの私訳より引用)

そう。
ライカはシンプルです。
ひたすらにシンプルなんです。

言ってみれば、研ぎ澄まされた刀のようなもの。
強く、美しく、何より「斬る」という点において他の追随を許さない。
単機能に特化した武器には、他に変えがたい美しさがあります。

ライカも同じこと。
「撮る」という目的に特化した道具だけが持つ魅力があるんですね。

この設計思想こそ、今もって多くの人を惹きつける理由でしょう。
私もその点に魅了されています。

●シンプルさこそ最強の武器である

もうおわかりでしょう。

ライカはシンプルです。シンプルすぎるほどに。
そして、このシンプルさがこそが最強の武器なんです。

最強の空手家は、一撃必殺の正拳を撃てる人です。
無類の音楽家は、誰にも真似できないバリトンを歌い上げます。
不世出の小説家は、唯一無二の作風を持ちます。

ライカはそれを実現してくれる道具なんです。
ライカを手にすることで、写真は研ぎ澄まされるんですよ。

大袈裟だ、とお思いでしょう。
何を言ってるんだ、と感じるでしょう。

そんな人こそ、ライカを使ってみて欲しい。
今までにない経験が出来ることは保証します。

では、本日はこのあたりで。

(了)

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