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3DCGについて

私が初めて映像の世界に入った時は、
3DCGのアニメーターをしていました。

アニメーションの世界の映像というのは、
基本的に全ての映像が、コントロールされています。

少なくとも、
現場で、たまたま偶然撮れた映像というものはなく、
その日の空の雲が綺麗だからとか、雨が降ったからシーンを変えるとか、
また、動きを役者に委ねるようなことも、ほぼないです。

映像として映るもの、すべてをコントロールし作り上げる必要があります。

私が、初めて映像の世界に入る際に、

CGの世界では、
『映像として映るもの全てをコントロールして、描くことができるっ!』

I "can" control everything.

という、ある種、監督という立場で考えると理想的な、夢のような感覚を抱いていました。

ただ、実際に、アニメーターとして、参加してみると、
そこから受ける印象は、かなり異なっていて、

正しくは、

『映像として映るもの全てをコントロールして、描かなければならない。』

I "must" control everything.

という、究極の状態を強いらされる状況であることを感じました。

どういうことかというと、文字通りすべて。

例えば、
人が会話する画を撮影しようとしたときであれば、

実写の場合、

とりあえずは、
キャスティングして、
場所を選んで
人物に会話をしてもらって、そこをカメラで撮影すれば、一応は、会話をするシーンをとることができる。
(もちろん、ライティングなど、こだわりたいところはたくさん出てくるかと思いますが、とりあえず、会話を撮影するという最低限の目的を果たすことができるわけです。)

それに対して、
3DCGアニメの場合

まず、人物を形作ることから始まります。
眼球を作ります。
耳を作ります。
目を作ります。
口を作ります。
鼻を作ります。
人物として、すべてをつくります。

キャスティングまでにかかる時間が、まず、あります。

空間も、地面も作ります。
壁も作ります。
壁の素材、地面の素材も、決めなければいけません。
その他、必要な要素の形は、既存のものを使うという事が難しいので、やはり、0から作ることになります。

ライティングは
光の当たり方、その光がどのような種類の光なのか
必ず当てないと真っ暗です。

そして、動き
人の動きというものを再現するために、
瞬きにしろ、眼球の動きにしろ、口元の動きにしろ、ほおの動きにしろ
正しく人間の動きを再現しなければいけません。

ちなみに、口の中には必ず歯を描いておかないと、会話のシーンは、あきらかにおかしくなります。

ここまででも、わかるように、
会話を始めるための下準備がめちゃくちゃ多い
下準備をしてから、初めて、会話の動きを作っていかないといけません。
その動きも、不自然なく動かそうとすると、なかなか難しいです。

そして、やっと、カメラを設定して撮影(というかレンダリング)

文字通りすべて、決めていかないといけません。
映像として映っているものを100%コントロールしています。

そういう意味では、
映像の演出に対しては、実写よりも、アニメのほうが細部まで考えられている気がしています。
(まあ、私の一意見です。)

で、そんな、
細部まですべて考えているであろうアニメの映像演出
しかも、ピクサーのやつが学べる!うーん、まじか!

いい時代になったもんだ

ふと、アニメーターだった頃
アメリカのSIGGRAPHに参加したんだけれど、
自分だけPIXARのTシャツをもらって帰ったら、同僚にかなり妬まれたのを思い出したよ。

#PIXAR
#SIGGRAPH

https://gigazine.net/news/20150828-pixar-in-a-box/


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