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連載小説《Nagaki code》第17話─いざ、夜の花見へ

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 その日の仕事終わり。照内さんに花見の買い出しを命じられたのは、僕とカズさんだった。
「なんつーかさ、やっぱり俺らが買い出しなのな」
「だって……そりゃあカズさんが言いだしたんですから」
「それもそうか」
「お疲れ様です! ふたりともこれから買い出し?」
 聞こえてきたのは椿さんの声。
「お疲れ様です」
 僕は挨拶を返す。「お疲れー」とカズさんは右手を上げた。
「私も一緒に行っていいかしら?」
「いいぜ、一緒に行こうか」
 カズさんは、俺についてこい、みたいな勢いで玄関に向かって歩き出した。僕らはそれを見ながらちょっと笑ってカズさんの後ろをついて行った。そして、駐車場に停まっているカズさんのランドクルーザーに乗り込む。カズさんは「行くぞ」と勢いよく車を発車させた。

「いらっしゃいませ、こんばんは」
 元気な店員さんの声が響く。僕ら薬師岱郵便事業局と薬師岱郵便局の職員行きつけのコンビニだ。
 僕らはチューハイやビール、おつまみを、どんどんカゴに入れていく。カゴ2つがいっぱいになったところで、レジに持っていった。
「おー長岐、いらっしゃい」
 このコンビニには僕の同級生がいる。それが、目の前のレジに立っている石垣湊斗(いしがき みなと)。赤縁眼鏡をかけた、アニメ好きの男だ。
「石垣、お疲れ」
「お疲れ。ほんと疲れてきたよ。まあ、あとちょっとで終わりだけどな」
 石垣は店内の時計を見る。7時に20分前。
「お疲れさん、石垣君」
「お疲れ様。あと少し頑張ってね」
 カズさんと椿さんが石垣を気遣うと、「あざっす」と石垣は笑った。
「今日はみんなそろってどうした?」
 石垣が僕に尋ねる。
「今日はね、薬師岱公園で夜桜見ながら飲み会」
「へぇー、いいねぇ」
「で、買い出しするのに近くの店って言えばここだし」
「ほんと、郵便のみなさんにはごひいきにしてもらって」
 石垣は大げさに頭を下げた。
「あ、そうだ! 石垣君も一緒にどうだ?」
 カズさんは手を叩きそう言った。
「え、いいんすか?」
「いいのいいの! 人数多い方が楽しいって、長岐君とも話したんだ。一緒に飲もうぜ!」
「あ、じゃあお言葉に甘えちゃおうかな」
 そんなわけで、石垣も花見に加わる事になった。会計を終え一旦店を出た僕らは、カズさんの車で石垣が仕事を終えるのを待っていた。僕はカズさんの車の助手席に乗っていた。後部座席には椿さん。
 午後7時を少し過ぎた頃。店から出てきた石垣が「お待たせしましたー」とカズさんの車の後部座席に乗り込む。そして僕らは薬師岱公園に向けて出発したのだった。

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